FIA、F1サウジアラビアGP予選での過度なスロー走行の取締強化……フリー走行ではニアミスが多発
FIA F1レースディレクターのマイケル・マシは、サウジアラビアGPのフリー走行中に各車が行なった予選想定プログラムでヒヤリハットが多発したことから、他車とのギャップを作るべく極低速で走ることを厳しく取り締まることを発表した。
写真:: Simon Galloway / Motorsport Images
F1サウジアラビアGPの予選では、より良いトラックポジションを得るべくスロー走行することを厳しく取り締まると、F1レースディレクターのマイケル・マシが発表した。
これは、金曜日のフリー走行でスロー走行をするドライバーとアタックを行なうドライバーとでニアミスが続発し、夜に行なわれたドライバーズ・ブリーフィングで議題に上がったことに起因する。
この厳密な取り締まりは、FP2でシャルル・ルクレール(フェラーリ)がマシンを大破させたターン22から後の最終セクションのみに適用されることになる。
FP2終了後、ルイス・ハミルトン(メルセデス)はこう指摘していた。
「間違いなく僕らがレースをしてきた他の多くの場所より(状況は)悪い。言ってみればモナコだ。他のクルマとの接近スピードは、ちょっと危険な領域になってきているのは間違いないよ」
ブリーフィングでは、コース上でどのエリアにそうしたリスクがあるのかを中心に議論が進められ、超高速の最終セクションが適用対象として選ばれた。
ロシアGPやアゼルバイジャンGPでも、マシは予選セッション中に過度なスロー走行を行なうことを問題視していた。特にアゼルバイジャンGPでは、コントロールラインに向かう高速セクションではなく、低速セクションで他車とのマージンを作らなければならないと指摘していた。
改訂されたサウジアラビアGPのレースディレクターズノートにはこう記されている。
「クリアラップを得るために前車とのギャップを作る場合、ドライバーはターン23からターン25の間ではそれを行なってはならない。このような行為を行なったドライバーは、スポーティング・レギュレーションの第27.4条に抵触したとして、スチュワードへ報告される」
それに該当するスポーティング・レギュレーションの第27.4条にはこうある。
「いかなる場合も、マシンを不必要に遅く、乱暴に、もしくは他のドライバーや他の人に危険を及ぼす可能性があるような運転をしてはならない」
しかしチーム側は、タイヤを予選走行に適切な温度にするためには複数周を要するとして、トラフィックの問題が悪化する可能性があると考えている。
「マシンを前に行かせるのに最適なスペースを見つけるのが容易ではないエリアがある」とアルピーヌのエグゼクティブ・ディレクターであるマルチン・ブコウスキーは、motorsport.comに語った。
「だから予選は忙しくなると思うし、ドライバーにトラフィックの情報を伝えるために多くの無線が飛び交うことになるだろうね」
「ひとつハッキリしているのは、基本的にソフトタイヤとミディアムタイヤは周回を重ねるごとに益々速くなるということ。(最適なパフォーマンスを発揮できるまでには)2〜3周はかかるだろう。トラフィックもあるし、トリッキーな予選になるから、そこがセッションを面白くしてくれるだろうね」
「それ以上に私が心配しているのは、他車を抜かせるのが難しい高速コーナーが続くセクションだ」
一方、アルファタウリ・ホンダのチーム代表を務めるフランツ・トストは、こうした問題を懸念しておらず、ドライバーたちを信頼していると語っている。
「レースはかなりタフになるだろう」と彼はmotorsport.comに語った。
「でもドライバーたちは(金曜日に)規律正しく仕事をしていたし、予選でも同じようにしてくれるだろう。彼らはモナコやハンガリー、アゼルバイジャンなどのコースに慣れている。だから予選でトラブルが発生することはないと思う」
トスト代表はこう語っているが、予選前最後のフリー走行3回目でも随所でニアミスが続発。アタック中のニキータ・マゼピン(ハース)が、チームから聞かされていなかったためレーシングラインに留まっていたハミルトンにあわや高速で激突……と肝を冷やすシーンも見受けられた。
ウォールが左右に迫るジェッダ市街地サーキットはほとんどがブラインドコーナーであり、ドライバー本人が後方から接近するマシンを認識して進路を譲ることは困難。予選では、トラフィックの処理に加え、チームが逐次状況を報告することが必須となるだろう。
なおその他の変更点としては、ピット出口のホワイトラインが延長され、ピットアウトしたマシンがコースに復帰する時のラインが改善された。また、タイヤの最低空気圧が前後で1psiずつ引き上げられた。
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