FIA、グリッド降格ペナルティによる混乱回避に向けF1レギュレーションを明確化。今後は5段階式に処理
FIAは、今年のイタリアGPで発生したグリッド降格ペナルティを巡る混乱を受け、システムの明確化を実施する。
FIAは、F1のグリッド降格ペナルティの適用システムを刷新することとなった。
事の発端は、今年モンツァ・サーキットで開催されたイタリアGPだ。このグランプリでは、比較的オーバーテイクが容易なサーキットということから、多くのチームがパワーユニット(PU)コンポーネントやギヤボックスを”戦略的”に交換し、グリッド降格ペナルティを適用するドライバーが多数発生。最終的なグリッドの確定までに約4時間を要し、グリッド順を把握できないファンからは怒りを買うこととなった。
ペナルティが科されるプロセスを詳細に説明する正式なレギュレーションが存在しないため、最終的なグリッド順は分からないとするチームもおり、アルファタウリのピエール・ガスリーは「誰か明日のレースで僕がどのポジションからスタートするのか教えて」とTwitterで自身のグリッド位置を尋ねていた。
F1関係者の多くはこの状況に対処する必要があると語っており、フェラーリのマッティア・ビノット代表もそのひとりだ。
「(グリッド発表に)これほど時間がかかったのは、間違いなく異なる解釈があるから。レギュレーションが十分に明確ではないからだ」
そうビノットは言う。
「ペナルティに基づくグリッド位置の確定方法だけでなく。科されたペナルティの量も多すぎると思う」
モンツァでの出来事を受け、FIAはF1のレギュレーションを改訂し、ペナルティ処理のためのプロセスを明確化すると説明。10月19日(水)にロンドンで行なわれた世界モータースポーツ評議会(WMSC)の会合を経て、改訂事項は即座に2022年のF1競技規則へ盛り込まれることとなった。
ただセッション後の精査はまだ必要なため、今回の改訂によりFIAが最初に暫定グリッドを発表するまでのプロセスが早まることはなく、土曜日の夜に数時間を要すこともあるだろう。
しかしレギュレーションが明確化されたことで、少なくともチームとファンは自分たちでグリッド順を計算することが容易になるはずだ。
新たなグリッド降格ペナルティ適用方法
Max Verstappen, Red Bull Racing RB18, Charles Leclerc, Ferrari F1-75, arrive on the grid
Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images
今回、通常イベントとスプリント形式で行なわれる週末の両方でレギュレーションが改訂された。数年前に導入された新しいプロセスでは、グリッド降格を受けたドライバーが他のペナルティ適用者によって繰り上げられていくのではなく、降格されたグリッド位置に留まることとなる。
以下は、最新のF1競技規則(Issue 9)の第42.2条に記載されているグリッド降格ペナルティの処理方法に関する記述だ。
- グリッドペナルティが累積15以下となるドライバーには、予選順位にグリッドペナルティを加算したグリッドが一時的に割り当てられる。ふたり以上のドライバーが同じグリッドに並ぶ場合、その順番は予選順位に従い決定され、最も遅いドライバーが割り当てられたポジションを維持し、他のドライバーはそのすぐ前のグリッドを獲得することとなる。
- (a)に沿ってペナルティを受けるドライバーに一時的なグリッドが割り当てられた後、ペナルティを受けないドライバーには、予選順位で空いているグリッドに割り当てられる。
- ペナルティを受けないドライバーにグリッドが割り当てられた後、(a)で定義された一時的なグリッドを持つドライバーは、空いたグリッドを埋めるために繰り上げられる。
- 累積15以上のグリッド降格ペナルティを受けたドライバー、もしくはグリッド最後尾からスタートするドライバーは、その他のドライバーの後方からスタートすることになる。その相対的なグリッドは、予選順位に準じて決定される。
- スチュワードによってレース出走を許可された”予選順位なし”のドライバーは、全てのドライバーの後ろのグリッドからスタートする。その相対的なグリッドは、第39.3条(b)に従い決定される。
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