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予選全開率UPと安全性向上のために……F1レギュレーションの一部調整が全会一致で合意。WMSCの承認を経て、マイアミGPから導入へ

FIAとF1、そして各チームとパワーユニットメーカーが、2026年のレギュレーション調整案に関して全会一致で合意した。変更点は主にエネルギーマネジメントに関するモノで、予選をより全開で走れるようにし、安全性を高めることが目指された。

Max Verstappen, Red Bull Racing, Esteban Ocon, Haas F1 Team, Arvid Lindblad, Racing Bulls

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写真:: Rudy Carezzevoli / Getty Images

 4月20日(月)に、FIA、F1、F1参戦各チーム、そしてパワーユニットメーカーによる会合が開かれた。この会合の議題は、今季開幕3戦の結果を踏まえ、2026年から導入された新レギュレーションの一部を、マイアミGPまでにどう改善できるかということであった。

 この会合の結果、全会一致で新レギュレーションの一部に調整が加えられることになった。これにより、予選でより全開でアタックできるようになり、日本GPで起きたオリバー・ベアマン(ハース)のクラッシュのような危険な状況を避けることが目指されている。

■スーパークリッピングの上限引き上げと、予選でのエネルギー回生制限

 

Safety concerns were raised after Oliver Bearman's crash

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Photo by: Kym Illman / Getty Images

 今回合意された内容は、エネルギーマネジメントの調整に関することだ。今回会合に参加したメンバーはこの調整案に賛成しており、この後世界モータースポーツ評議会の承認を得ることになる。

 まずマイアミGPからは、スーパークリッピング時のエネルギー回生量の上限が、250kWから350kWに引き上げられることになった。このスーパークリッピングとは、全開での走行時にエネルギーを回生するというもの。今回の調整案により、各ドライバーはフルスロットルで走行しながら、より多くのエネルギーを回生できるということになる。

 これはプレシーズンテストの段階から、マクラーレンのアンドレア・ステラ代表らが提唱していたものだ。

 スーパークリッピング時のエネルギー回生量が引き上げられたとて、ストレートエンドの手前で減速に転じるのは変わらない。しかし早めにスロットルを緩め、惰性で走行してエネルギーを回生するリフト&コーストに比べれば、速度変化はより自然になるはずだ。

 また予選中の1周あたりのエネルギー回生量の上限を、8MJから7MJに引き下げることも決まった。ただ残りの開催予定のグランプリのうち、12のグランプリに関しては、この上限値がさらに引き下げられる可能性がある。

 このことにより、予選アタック中に使うことができる電力量が減ることになる。その結果、ラップタイムは遅くなるだろうが、リフト&コーストやスーパークリッピングへの依存度が減るため、よりエンジン全開率の高い走りが見られることになるはずだ。

「今回の変更は、スーパークリッピングの最大持続時間を、2〜4秒程度に短縮することを目的にしている」

 FIAはそう説明している。日本GPでは、暫定的に予選での1周あたりの最大回生量を引き下げたが、これによってスーパークリッピングで走行する時間が、10秒から6秒に短縮されたという。

 今回のレギュレーション調整により、この回生量上限の引き下げは、暫定的な措置ではなく構造的なモノとしてF1に組み込まれることになる。

 MGU-Kにおけるエネルギー使用(デプロイ)にも調整が行なわれる。FIAが「主要加速ゾーン」と呼ぶ区間では、MGU-Kで使えるエネルギー量はこれまで同様最大350kWである。しかしそれ以外の区間では、250kWの制限。さらにレース中にブーストモードを使った場合には、最大出力は+150kWまでに制限されることになる。

「これらの措置は、オーバーテイクの機会と全体的なパフォーマンス特性を維持しつつ、過剰な接近速度を抑制することを目的としている」

 FIAはこれについてもそう説明している。

■スタート時の安全システムをテスト

Start Grid

Start Grid

Photo by: Lars Baron / Getty Images

 レーススタートに関する安全性の向上に関しても、今回の調整案に盛り込まれている。

 今季からはMGU-Hが廃止されたことで、スタート時にターボの回転が足りず、うまく加速できないマシンが数多く出ている。これを避けるために、実際のスタートが切られる前に、5秒間エンジンとターボの回転数を上げるための時間が設けられた。

 しかしそれでも十分ではなく、あわや追突というシーンもあった。

 これに対処するため、マイアミGP以降は「低出力スタート検出システム」がテストされることになった。これは、クラッチを繋いだ直後に加速度が異常に低い車両を検知するためのシステムだ。

 FIAはこう説明する。

「このような場合、MGU-Kの自動デプロイが作動し、最低限の加速を確保し、スタート関連のリスクを軽減する。競技上の優位性を生み出すことはない」

 これにより、後続のマシンに追突されるリスクを引き下げることになる。また視覚的警告システムが導入され、「低出力スタート検出システム」の対象となったマシンの後部および側面のライトが点滅するという。

 このスタート時の対応策については、あくまでテスト。チームやドライバーのフィードバックを得て、実際に導入されるかどうかが決められることになる。

 またウエットコンディション時の安全性向上に関しても合意された。インターミディエイトタイヤのタイヤウォーマーの温度が引き上げられるとともに、ERSの作動が抑制され、リヤライトシステムも簡素化されるという。

■FIA会長はチームの建設的な姿勢を賞賛

 FIAのモハメド・ベン・スレイエム会長は、今回の会合の結果、そして各チームが建設的な姿勢で会合に臨んだことについて賞賛した。

「FIAのスタッフ、チーム、ドライバー、PUメーカーなど、F1の経済システム全体における全ての方々が、非常に短い期間で建設的かつ強力的な取り組みを行なってくれたことを賞賛する」

 ベン・スレイエム会長はそう語った。

「スポーツ界の事情とは無関係な状況により、開催カレンダーに予期せぬ空白期間が生じてしまった。しかしすべての関係者は、F1の最善の利益のために行動することに全力を尽くしてくれた。これまで以上に、ドライバーたちは今回の議論の中心にいた。このプロセス全体を通じて、彼らの貴重な意見に感謝したい」

「安全性とスポーツの公平性は、FIAにとっての最優先事項だ。今回の変更は、序盤戦で明らかになった問題に対処し、競技の公平性と質を維持するために導入された」

「エキサイティングなシーズンになるであろう、2026年シーズンの残りのレースを楽しみにしている」

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