F1 イタリアGP

FIA、今季F1全チームのフロントウイングが合法と判断。好調マクラーレンとメルセデスへの嫌疑晴れる

マクラーレンとメルセデスのフロントウイングをめぐる憶測がF1イタリアGPの車載映像から浮上していたが、FIAは2024年シーズンの全フロントウイングが合法であると説明した。

Lando Norris, McLaren MCL38

Lando Norris, McLaren MCL38

写真:: Sam Bagnall / Motorsport Images

 FIAは、今季のF1で使用されてきたフロントウイングが全て合法であり、FIAが実施するテストに適合しているとの声明を発表した。

 これはF1イタリアGPの後、マクラーレンとメルセデスのフロントウイングの合法性についてライバルのフェラーリとレッドブルが追加調査を望んだことがキッカケ。この週末、マクラーレンとメルセデスのフロントウイングが走行中に大きく動いているところ……つまりフレキシブルウイングになっていることが車載映像で確認されていたのだ。

 ベルギーGP以降、FIAはフロントウイングの挙動をカメラで監視し、現在の荷重テストが目的に合っているか、見直しが必要かどうかを検討している。FIAはこれがデータ収集のためのモノであり、ウイングの設計に懲罰的措置が必要と思われるチームを調査するためのモノではないとしている。

 FIAはこれらの追加チェックを導入する際、2024年シーズン中にレギュレーションを変更するつもりはないと主張していた。しかし仮に変更の必要性があるとされた場合には、2025年に向けてレギュレーションが見直されることになる。

 FIAが義務付けている荷重テストに適合しつつも、直線区間で空気抵抗を減らすべく、各チームのエンジニアたちはレギュレーションの範囲内でウイングが変形するような手法を模索してきた。つまり負荷がかかることでウイングの角度が浅くなり、空気抵抗が減るというわけだ。これがフレキシブルウイングである。

 フロントウイングが変形することは、現行レギュレーションで復活したグラウンドエフェクトカーのマシンバランスの問題に対処する上で役立つことが明らかになってきている。そのため各チームは、こぞってこのフレキシブルウイングを駆使しようとしてきたが、それがライバルから目をつけられることもある。マクラーレンとメルセデスは今回、ライバルからの注目を集めたが、FIAは全チームとも問題はないと説明した。

 FIAの声明は以下の通りだ。

「FIAは全てのイベントで、関連するF1テクニカルレギュレーションに関して多くのチェック(表面の適合性、たわみの適合性)を行ない、フロントウイングを検査している」

「現在、全てのフロントウイングは2024年レギュレーションに適合している」

McLaren MCL38 front wing, Italian GP

McLaren MCL38 front wing, Italian GP

Photo by: Giorgio Piola

「ベルギーGP以降、FIAはFOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント)の公式カメラでは見ることのできないフロントウイングの領域をとらえるFIA指定のビデオカメラを使用し、動的挙動を評価するため、FP1及びFP2セッションで追加データを取得している」

「各チームが異なるタイプ(低、中、高、超高ダウンフォース)のサーキットでFIA指定のカメラを使用することを義務付け、この作業は少なくともシンガポールGPまで続けられる」

「これによって、FIAが状況を最も客観的に把握し、コース上で見られる様々なダイナミクスのパターンの違いを定量化することが可能な、膨大なデータベースを確保することができる」

 またFIAは「いかなる部品も無限に硬いわけではない」とし、テストで荷重が加えられた際のわずかなたわみ(変形)を許容するレギュレーションを設けている。

 2024年F1テクニカルレギュレーション第3.15.5条には次のようにある。

「フロントウイングフラップの後縁のどの部分も、フラップの法線方向に60Nの点荷重を加えたとき、荷重軸に沿って測定して5mm以下のたわみしか生じないこと」

 そしてFIAは、次のように続けた。

「フロントウイングは競技者によって空力的な荷重パターンが異なるため、全てのタイプのフロントウイング構造をカバーする荷重軸を見つけることは難しい。そのため、長年にわたって難しい領域となっている」

「リヤウイングやフロアエッジなど、マシンの他の部分はグリッド全体で空力荷重パターンがより一貫しており、より普遍的な荷重・たわみテストを行なうことができる」

「FIAには、不正が疑われた場合に新たなテストを導入する権利がある。短期的な対策の計画はないが、中期的なことを念頭に置いて状況を評価している」

 

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