F1開幕まで2週間! 競技規則はどこが変わった? 詳細をFIAが公開
FIAは、2020年のF1競技規則に適用された様々な変更点の詳細を、7月5日の開幕戦オーストリアGPを前に公開した。
Cars on the grid before the start of the race
Jerry Andre / Motorsport Images
新型コロナウイルスによるシーズン中断を経て、ついに開幕を迎える2020年シーズンのF1。ウイルス拡散防止を考慮した様々な競技規則の変更が、FIA世界モータースポーツ評議会(WMSC)で6月19日に正式承認され、FIAがその詳細を20日に公開した。
主な変更点のひとつは、スタート前のグリッドでの手順だ。スタッフを最小限にし、ソーシャルディスタンスを維持。時間もより短くされている。
各チームがグリッドに配置できるスタッフは、計40人まで。これは、レースに参加できるスタッフ総数のちょうど半分に相当する。
従来のレースではフォーメーションラップスタート30分前の時点でピット出口がクローズされるが、これがスタート20分前に変更。そして、レース前のセレモニーなどは省略される。
従来はスタート3分前までにタイヤをマシンに装着しなければならなかったが、これがスタート5分前に前倒しされた。そしてこのタイミングで、『一部のチームスタッフと機材の入ったワゴンはグリッドからの退出を始める必要がある』と規定されている。タイヤ装着5分前ルールは、赤旗中断後などのレース再開時にも適用される。
また、新しいルールでは『スタート3分前の表示が出された時点で、グリッド上では各マシンにつき、16人まで残ることが許される』。残ったスタッフは、通常通りスタート15秒前までに退出することになる。
ソーシャルディスタンスの維持など、新型コロナウイルス対策プロトコルによりガレージでの作業にこれまで以上に時間がかかると予測されていることから、カーフューと呼ばれる夜間作業禁止時間についても調整が加えられた。チームスタッフは木曜日と金曜日の夜の作業可能時間が従来よりも1時間延長された。これにより、カーフューは各9時間から8時間に減っている。
無観客レースにおける表彰式の手順については、具体的な内容が明かされなかった。『レースディレクターが発行するイベントノートに詳述される』となっているため、柔軟な対応をすることが可能となっている。
観客が入るオープンイベントの場合、表彰式は従来の手順に従って行なわれるようだ。
カレンダーが流動的になっている今季、ピレリは各レースに持ち込むタイヤコンパウンドの割り当てを決める上で柔軟性をもたせたいと要求。これが、今回のWMSCで承認された。
2016年から、各ドライバーは計13セットのタイヤ中、10セットのコンパウンドを自由に選択できたが、今季はこの選択はできなくなり、全ドライバーが同一の組み合わせのタイヤを使うことになる(ハード2セット、ミディアム3セット、ソフト8セットに固定)。
これまでフライアウェイではレースの15週間前、ヨーロッパのレースでは9週間前までにコンパウンドの組み合わせをピレリが決定し、チームがタイヤを選ばなくてはいけなかった。しかし、タイヤ選択の自由度を失う代わりに、ピレリは柔軟に持ち込むタイヤを決めることができる。
ルールでは『タイヤの組み合わせはFIAが別途決定した場合と、サプライヤーが同意した場合を除き、各イベントの2週間以上前に決定・通知される』と規定されている。
また、ピレリがテスト用のタイヤを追加で持ち込んだ場合には、各チームはFP2最初の30分間でそれを使用する義務が生じる。
レースを開催する上では、違反行為の判定を行なうスチュワードも必要不可欠だが、スチュワードが出入国に関わるトラブルなどでレースに直接参加できない場合に備え、リモートでの参加も可能とされた。
『例外的な状況において、イベント開始時にスチュワードがいなくても、彼らの義務が果たせるよう常に連絡が可能で、作業ができるようにしなければいけない』
新たな技術規則が導入される2022年マシンの開発に関しては、コスト削減のために2020年中の空力開発が禁止されている。だが、今回のWMSCでブレーキシステムに関する開発は例外となった。その他の空力開発は2021年1月1日まで禁止となっている。
風洞に関しては『最低限のダクトでブレーキシステムのコンポーネントを開発することを目的としたテストを許可する。このテストで、ボディワークに分類されるパーツまたはシステムの性能・耐久性を同時にテストしてはならない』と定められている。
また、チームはCFD(コンピューター流体解析)を『ボディワークに分類されるエアダクトやパーツ、システムを除き、ブレーキシステムのコンポーネントとそれに関連するテストリグの開発をするという目的にのみ』使用できるとされている。
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