FIA、開幕前にレーシングポイントに立ち入り検査も……ブレーキダクトはスルー
FIAは開幕戦を前にレーシングポイントのファクトリーを検査した際、ブレーキダクトの調査は行なっていなかったことを明かした。
写真:: Giorgio Piola
2020年のF1の大きなトピックとなっている”ピンク・メルセデス”問題。レーシングポイントの今季マシン『RP20』がメルセデスが昨年使用していたマシン『W10』に酷似しているとして、開幕前から話題となっていたが、第2戦シュタイアーマルクGPのレース後に、ルノーが正式に抗議を行なった。
ルノーは、RP20の前後ブレーキダクトがW10のそれをコピーしたものだと訴えたのだ。ブレーキダクトは今年から、チームが独自に開発・製造を行なう必要があるリステッド・パーツに指定されている。
一方レーシングポイントはFIAがファクトリーを訪れ、マシンを検査しており、それをパスしていると一貫して主張している。
FIAは3月に開催される予定だった当初の開幕戦オーストラリアGPを前に、レーシングポイントのファクトリーに訪問。不正がないかチェックを行なったのだ。
FIAシングルシーター部門の技術責任者であるニコラス・トンバジスは、レーシングポイントがメルセデスの空力コンセプトを”リバース・エンジニアリング”した証拠として、それに使用した写真を提示されたという。
FIAはRP20は問題ないとしたものの、今回ルノーが行なった抗議の焦点となっているブレーキダクトについては、特に調査を行なっていなかったと、トンバジスは語った。
「2月に一部のチームから”ノイズ”が出ていたため、オーストラリアの前に調査をすることを決め、レーシングポイントのファクトリーに行った」
「我々はブレーキダクトではなく、マシンの他の部分に焦点を当てていた。それらはとても似ていた。CAD(コンピュータ支援設計)の情報が何らかの形で入手されていたとすれば、明らかに違法だっただろう。その場合、メルセデスとレーシングポイントが深く関与しているということになる」
「我々はそこに行き、この問題を調査した。主にマシンを調べ、撮影された写真からレーシングポイントがリバースエンジニアリングを行なったというプロセスが、もっともらしいということを確認した」
「彼らは自分たちのやり方を示し、我々は彼らが行なったプロセスに納得した」
「つまり、冬の議論ではエアダクトの詳細には触れなかった。正しいか間違っているかと言えば、必ずしも正しかったとは言えない。後から考えれば、もっと詳しく調べる必要があったかもしれないが、マシン全体と伝統的にリステッドパーツとされてきたコンポーネントを調べていた」
ブレーキダクトに関して、トンバジスは次のように話した。
「確かにエアダクトに関しては意見が分かれていて、法的およびレギュレーション的に微妙な問題であるため、内部的にも議論が行なわれている」
「しかしルノーの抗議は問題のもっと複雑な部分、例えば2月や3月に我々が調査したフロントウイングやノーズ、ディフューザーではなく、比較的簡単な部分に焦点を当てている」
「例えば、ディフューザーに関する情報がメルセデスからレーシングポイントに提供されていたことが判明した場合、両チームはかなり深刻な問題に直面していたと思う」
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