F1チーム同士の”コラボレーション”開発は許さない! アルピーヌ、FIAによる十分な監視を期待
アルピーヌは、レギュレーションが刷新される2022年に向けて、ライバルチームが共同でデザインを行なうのではないかと警戒しており、FIAが厳しく取り締まることを期待しているようだ。
写真:: Andy Hone / Motorsport Images
アルピーヌF1チームは、F1のレギュレーションが大きく変更される2022年に向けて、ライバルたちが”コラボレーション”してデザインを行なう可能性があると考えており、FIAが十分な対応をすることを期待している。
2020年シーズン、レーシングポイントのマシンがメルセデスの前年マシンと酷似したデザインだったことから、波紋を呼んだ。これをきっかけに、F1ではライバルマシンについての研究を行なうリバースエンジニアリングに関するルールを強化。3Dカメラや複雑なソフトウェア・システムを使ってライバルのデザインをコピーすることを禁止した。
レーシングポイントはメルセデスと提携し、パワーユニット(PU)に加えてブレーキシステムの供給を受けていた。2020年にブレーキダクトの独自開発が義務付けられたが、レーシングポイントはメルセデスの旧型ダクトをリバースエンジニアリングしていたと判断されたのだ。
アルピーヌのエグゼクティブ・ディレクターを務めるマルチン・ブコウスキーは、2022年は”レーシングポイントの悲劇”が繰り返されることを懸念しており、FIAに警戒を呼びかけている。
「2022年に向けて、大規模なレギュレーションの変更が行なわれることは言うまでもなく、巨額の開発費を投じて、マシンパフォーマンスを向上させていくことになる」
「レギュレーションが一新されるため、それが合法かどうかに関わらず、”コラボレーション”による利益は大きい」
「そうしたコラボレーションが実を結ぶ年があるとすれば、それは2022年だ」
「だから明らかに、FIAが全力で取り組むべき年があるとすれば、それは今年なんだ」
Sergio Perez, Racing Point RP20, Valtteri Bottas, Mercedes F1 W11
Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images
現代F1では、PUに加えてギヤボックスやリヤサスペンションを供給するなど、チーム間の協力関係が出来上がっている。特に、2016年にF1に参入したハースはフェラーリと技術的な提携を結び、独自開発する必要がないパーツをフェラーリから購入することで、マシン開発スピードを上げてきた。
F1はこうした”ハースモデル”を分析し、スタッフがチーム間を移籍し、知的財産や情報を譲渡できないように制限を設けた。
その後、F1は予算制限を導入。チームの成績に応じた空力テストの制限も設けられており、いかに開発を効率よく、低コストで行なうかがますます重要になってきている。そうした状況で、ブコウスキーの言う”コラボレーション”ができたとすれば、大きな恩恵を受けるチームが生まれる可能性がある。他チームにPUを供給しておらず、パートナーがいないアルピーヌ(ルノー)だけが不利になるという事態に陥るというケースも否定できないわけだ。
FIAがこの問題を十分に取り締まることができていると考えているか、という質問に対して、ブコウスキーは「難しい質問だ」としながらも、懸念があることを認めた。
「他のチームのファクトリーで何が起こっているのかは分からないし、FIAがどの程度の監視をしているのかも分からない」と彼は説明した。
「独立チームである我々は、当然のことながら、ライバルと何かを共有していると詮索されることはない。我々が見たいF1というのは、10チームあるいは将来的に11~12チームがお互いに自分たちの成功のために容赦なく戦うというモノだろう」
「各チームが共通の関心を持って情報を交換した瞬間から、それは問題となる。なぜなら、ライバルを助けるべきではないからだ」
「懸念はあるが、それがどの程度かは言えないし、事実として分からないので他人を非難するつもりもない。何も起きていないことを願っている」
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