今のF1はオーバーテイクするのが簡単すぎる! FIA、2023年のDRSゾーン削減を検討開始「こういう状況を我々は望んでいない」
FIAは来シーズンのF1で、オーバーテイクが簡単すぎるという状況をなくすため、いくつかのグランプリでDRSゾーンを短縮することを検討しているようだ。
オーバーテイクを促進するためにF1で採用されているDRS。しかし、これを使うとあまりにも簡単にオーバーテイク出来てしまうという懸念が生じたため、来季はいくつかのグランプリでDRSゾーンを短縮することについて検討が行なわれているようだ。
DRSはオーバーテイクが少なすぎるため、レースが面白みに欠けるという声を受け、2011年シーズンからF1に導入されたもの。サーキットによって1〜3ヵ所程度にこのDRSを使うことができる”DRSゾーン”が設けられ、決勝レース中はその手前の計測ポイントで前を走るマシンの1秒以内に接近した場合のみ、作動させることができる。作動するとリヤウイングのフラップが路面と並行になり、空気抵抗が少なくなることでスピードが増す……そしてオーバーテイクを仕掛ける機会が生まれるわけだ。これにより、エキサイティングなレースを生み出すことが期待されていた。
ただ、2022年からはF1のテクニカルレギュレーションが大きく変更され、マシンは後方乱気流を発生しにくく、さらに乱気流の影響を受けにくい空力コンセプトとなり、数多くの接近戦が展開されることになった。ただDRSは引き続き搭載されることになったため、一部のDRSゾーンでは、あまりにも簡単にオーバーテイクできてしまうという事態が発生した。
オーバーテイクが簡単すぎるというのは、FIAの理想とはかけ離れている。そのため来季は、いくつかのサーキットで、DRSゾーンが短縮されることになるようだ。
FIAのシングルシーター部門でテクニカル・ディレクターを務めるニコラス・トンバジスは、DRSを使うことで簡単にオーバーテイクできてしまう状況は、絶対に抜けないのと同じくらい、レースを魅力的なモノとする上で悪影響になると明言する。
そして2023年シーズンに向けて調整する予定があるかどうかと尋ねると、トンバジスはmotorsport.comに対して、次のように語った。
「いくつかのレースでは、実際にDRSゾーンを削減する必要があるかもしれない」
「オーバーテイクされるのが避けられない、あるいはいとも簡単にオーバーテイクできてしまうという状況を、我々は望んでいない。それは、バトルでなければいけないんだ」
「DRSを使うと速すぎて、近づいてきて通り過ぎ、ただ消えていくのを見るだけなら……ずっと攻めあぐねているよりも実際には悪い状況だ。適切なバランスを見つけなければいけない」
F1のモータースポーツ担当マネージングディレクターであるロス・ブラウンは先月、DRSの働きを弱めることを恐れるべきではないと語っていた。
「我々が知っているのは、ファンも我々もそれを好まないということだ。ストレートを走る、DRSを開く、オーバテイクする、速く走って差を広げる……ということを、彼らは好まないんだ」
ブラウンはmotorsport.comの独占インタビューにそう語った。
「理想的なのは、DRSが誰かの背後に近付くためだけに使われ、まともな攻撃ができるということだ」
「モンツァのような場所で、DRSゾーンを減らすことを恐れるべきではないと思う。なぜなら、前のクルマの後ろについて、ボタンを押して、そしてオーバーテイクする……それだけのように見えてしまうからだ。それでは、少し形式的だ。そうだろう?」
「これはあまり感心できないことだ。DRSが強力すぎるのが明らかな場合に、その使用を削減することを、恐れるべきじゃないのだ」
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