FIA、ハンガリーでハースを罰した、フォーメーションラップの無線規則を見直しへ
FIAは、フォーメーションラップにおけるチームとドライバー間の無線交信のルールについて、見直すことを決めた。ハースはハンガリーGPのフォーメーションラップでピットインしたが、これが無線交信の規則に違反しているとして、ペナルティを受けた。
写真:: Andy Hone / Motorsport Images
FIAは、フォーメーションラップ中のチームとドライバーの間でやりとりされる無線交信の内容に関するレギュレーションについて、見直すことをを決めた。
2020年の第3戦ハンガリーGPは、非常に不安定な天候の中でスタート時刻を迎えた。路面はウエットコンディション……そのためグリッドに並んだ20台のマシンは、いずれもウエットタイヤかインターミディエイトタイヤを履いていた。
しかしハースの2台は、フォーメーションラップを周回しただけでピットイン。ドライタイヤに交換し、隊列の最後尾でレースに復帰した。しかし他のマシンもすぐにピットイン。フォーメーションラップ終了時にピットインしていたハース勢は、ロスタイム無しでタイヤ交換を実施できたこととなり、大きく順位を上げることになった。そして2台は揃ってトップ10フィニッシュを果たした。
ただハース勢にはレース後、10秒のタイム加算ペナルティが科されることとなった。フォーメーションラップで、ふたりのドライバーに対してチームがピットインするよう指示を出したことが、レギュレーションに違反するとみなされたのだ。
このレギュレーションは、2017年に発行された技術指令に端を発する。スポーティングレギュレーションの27.1条では「ドライバーは、1人で援助なしに運転しなければならない」と規定されていて、これを拡大解釈し、クラッチのバイトポイントに関する指示など、スタートを改善するための無線交信を行なわせないようにしたのだ。フォーメーションラップ中に許される無線交信は、安全に関する内容のみに絞られている。
ハースのチーム代表であるギュンター・シュタイナーは、ハンガリーでふたりのドライバーに科されたペナルティに憤慨した。
「私は10秒ペナルティが適切だったとは思わない」
そうシュタイナーはシルバーストンで語った。
「我々はフォーメーションラップを走ったが、グリッドには戻らなかった。そしてピットに入って、ポジションを落とし、その後さらに10秒のペナルティを受けた」
「一方で誰かが誰かのレースを台無しにし、5秒のペナルティを受けても、まだポイント圏内でフィニッシュすることができる。そのため、ふたつのペナルティには差があると思う」
「ハンガリーの事件について、FIAに問題提起した。アルボンとの一件(イギリスGPでレッドブルのアレクサンダー・アルボンとハースのケビン・マグヌッセンが接触。マグヌッセンはリタイアした。アルボンは5秒のタイム加算ペナルティを受けたが、最終的には8位入賞を果たしている)を取り上げるつもりはない。そのことは、私にとっては特に価値があるモノではない」
「それは大丈夫だ。誰かが、ライバルをコース外に追い出し、同じ5秒のペナルティを受けたのなら、それが一貫して扱われているのなら問題はない」
「しかし、誰かをリタイアさせた際のペナルティは非常に、非常に軽いため、それをするリスクを冒すという決断を下す必要があるかもしれない」
「それは私が行なうことではない。そしてペナルティを重くしたいわけでもないんだ。ただ、理解したいと思っている。FIAの中でそれを知る必要がある人にそれを伝えるべく、我々は少しだけ努力したのだ」
FIAのF1レースディレクターであるマイケル・マシは、元の技術指令が見直されることを明らかにした。
「レギュレーションの全ての部分で我々が行なっているのと同じように、随時改訂、更新する必要があるモノについて、我々は議論する予定だ」
そう彼は語った。
「その技術指令は、レビュー済みまたはレビュー済みとみなす必要がある他のレギュレーションと違いはない」
「このプロセスは既に進行中であり、我々だけではなく、全てのチームと協力している」
マシによれば、この技術指令の見直しは、FIA主導で進められているという。
「それはチームからの要求ではなく、実際にはFIAが積極的に提案したモノだ。我々はこれを集合的に見直し、その背景を理解し、それがどうやって起きたのか……意思決定のプロセスの全てのレベルで議論されることになっている」
「必要だと思われる変更がある場合には、それは変更される」
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