F1分析|2台揃って初完走。アストンマーティン・ホンダは前進を遂げたのか? データによる裏付け
アストンマーティン・ホンダは、F1マイアミGPで2台揃って完走した。彼らは日本GPと比べて前進を遂げたのか?
Fernando Alonso, Aston Martin Racing
写真:: James Sutton / Formula 1 / Formula Motorsport Ltd via Getty Images
F1マイアミGPでは、アストンマーティン・ホンダの2台が完走した。2台揃っての完走は、このコラボレーションが始まって以来4戦目で初。しかしスプリントレースも2台完走、さらにライバルとのバトルも繰り広げた。これまでとは一歩違った段階に入ったように感じられる。
今季開幕から苦戦してきたアストンマーティン・ホンダ。その最大の問題は、パワーユニット(PU)で発生した振動が起点となり、マシンが異常振動に悩まされてしまったことだ。この振動はバッテリーを破壊し、ドライバーの身体をも痛めつけた。
しかし中東2連戦が中止になり生じた5週間のシーズン休止期間に、アストンマーティンとホンダは対策を施してきた。日本GP後、鈴鹿からホンダの開発拠点であるHRC SakuraにAMR26を1台輸送。実車において振動がどのようにマシンに伝わっているかを検証し、その対策を施したパッケージをマイアミに持ち込んだ。
その効果は確実に出ていたようだ。スプリント予選や予選では、順位こそ下位ではあったものの、セクターによっては中団と遜色ないタイムだった部分もあったのだ。
そしてその効果は、決勝のレースペースでも見て取れた。
F1マイアミGPレースペース推移(中団〜下位)
写真: Motorsport.com Japan
このグラフは、中団グループ各車のレースペース推移を、折れ線で示したものだ。このうち緑の実線がフェルナンド・アロンソ、緑の点線がランス・ストロールのレースペースを示したものである。
最初のスティントでアストンマーティン勢2台は、10位入賞を果たすことになるウイリアムズのアレクサンダー・アルボンから1周あたり1.5秒ほど遅れているのが分かる。
しかしこれはキャデラック勢に抑えられたペースであり、実際にはもう少し優れたペースを持っていた可能性がある。実際キャデラックのセルジオ・ペレスがピットインした後、アロンソはペースをアップ。アルボンほどとまではいかなかったが、レーシングブルズと同等のペースは発揮できていた(グラフ赤丸の部分)。しかもアロンソは、誰よりも長くミディアムタイヤでの第1スティントを引っ張ったため、かなりタイヤをマネジメントしていた可能性もあるだろう。
なおアストンマーティン勢は、ストロールが2ストップ、アロンソがミディアム→ソフトと繋ぐ1ストップと、他のマシンとは異なる戦略を採ったため、同列で比較するのは難しいのも事実であるが、キャデラック勢よりも確実に速かったことだけは間違いない。
F1日本GP決勝レースペース推移:下位グループ
写真: Motorsport.com Japan
なお以前もご紹介したが、これは日本GPの時のレースペース推移だ。
アロンソはシーズン初完走したものの、中団グループの他のマシンとの差は実に大きく、キャデラック勢2台にすらまったく敵わないペースであった。
この日本GPの時のペースと今回のマイアミGPのペースを比較すれば、雲泥の差であるのが分かろう。しかも、スプリントでの決勝でも、アロンソはペレスをオーバーテイクしている。
2026年F1マイアミGPスピードトラップ(vs日本GP)
写真: Motorsport.com Japan
もうひとつ改善の傾向が見える部分がある。それが最高速だ。
マイアミGPでのスピードトラップのアロンソの最高速は、329.3km/hであった。これは全体の6番手であった。ストロールも12番手である。
一方で日本GPでのアロンソのスピードトラップは、21番手。最速だったニコ・ヒュルケンベルグ(アウディ)との差は、25km/hもあった。その他の計測地点でも、軒並み最下位か21番手の速度だった。
このことから考えれば、マイアミGPでのアストンマーティン、つまりホンダのPUは、日本GPの時と比べれば、大きく出力を上げていた、いや出力を上げることができたということだろう。
日本GPの時にも、振動の対策を行なっていた。しかし当時HRC(ホンダ・レーシング)の渡辺康治社長はこんなことを言っていた。
「とにかく振動の問題を根本から対策します。今は暫定対策です。バッテリーにダメージが及ばないように、暫定での対策を施しています」
今回HRC Sakuraで検証を行なったことで、根本もしくはそれに近い対策を実施することができたのだろう。それでレースペースも、最高速も上がったということなのだろう。
ただもちろん、今回はまだ最下位を抜け出したというだけの状態。目指すところはまだまだ先であり、遠い道のりが待っている。
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