レッドブル、新車RB20で新たなトレンドを作るのか? 他チームが真似したコンセプトを方針転換
レッドブルは、2024年に向けてF1のトレンドを作ったチームだと言えるが、新車RB20でまたもやゲームを動かしたと言えるかもしれない。
過去2シーズン、圧倒的な強さでF1を支配してきたレッドブル。ライバルチームは、そのデザインを独自にアレンジし新車に取り入れているが、レッドブルは新たなトレンドを生み出そうとしているようだ。
今季発表された各チームのニューマシンを見ると、サイドポンツーンのインテーク部分下側のボディワークが前に伸びた、受け口(アンダーバイト)スタイルのデザインを使用しているチームが多い。この部分で、サイドポンツーン下に流れる気流をコントロールしていると見られる。
今季は実に、ハースやステークF1、アルピーヌ、ビザ・キャッシュアップRB、アストンマーティン、フェラーリの6チームがこのアンダーバイトデザインを採用している。
まだカラーリング発表のみとなっているウイリアムズを除くと、この流れに従わなかったのはメルセデスとマクラーレン、そしてレッドブル自身だ。
この3チームの中でも特にレッドブルRB20はアンダーバイトではなく、インテーク上側のボディーワークが前に伸びた、オーバーバイトのデザインを採用している。
インテークはその”軒下”に配置されているようだ。しかしチームが公開したレンダリング画像では、そのインテークは描写されていない。ただシルバーストンでRB20がシェイクダウンされている画像を見る限り、シャシーの横に縦型のインテークがあることがわかる。これは、実際に現場にいた人々もそれを確認している。
このインテークは昨シーズン、メルセデスがゼロポッドコンセプトを実現しようとした際に使用したインテークを彷彿とさせる。
しかしレッドブルはゼロポッドを再現しようとしたのではなく、よりワイドでハイウエストなサイドポンツーンと極端なアンダーカット、ダウンウォッシュ・コンセプトと組み合わせた、ハイブリッド・ソリューションなのだ。
またメルセデスW14のように、ラジエーターを車体中心線方向に押し出すためにシャシー側面を削るような極端なことをする必要がないことを意味する。
このインテークは、昨年レッドブルがアンダーカットからパフォーマンスを引き出すために行なった集中的な開発プログラムに続くものだ。
レッドブルは昨年のオーストリアGPに投入したアップデートで、ポストの投函口のような細長いインテークと極端なアンダーバイトを取り入れた。吸気口の幅に関するレギュレーションの寸法的制約により、インテークの位置が高くなったことで空力性能と冷却性能の両立が難しくなっていったのだ。
インテークをシャシー側面に縦に設けることで、この領域での気流と圧力の挙動に関していくらかロスをするかもしれないが、より多くのポテンシャルを追求するうえでは許容できるトレードオフなのだろう。
サイドポンツーンの上部からインテークを取り除き、オーバーバイトに置き換えることで、車体上面の気流の挙動はほぼ確実に改善される。この利点を生かすため、サイドポンツーン上面に設けられた溝を使って流れを分離し、コークボトル領域への気流をよりよく管理している。
RB20はまた、昨年のメルセデスに端を発する別のアイデアを採用することで、エンジンカバーの領域も改善しようとしている。
Red Bull RB20 engine cover gullys
RB20のエンジンカバーは棚のような出っ張りが特徴で、上面に深い溝を作り、後方に向かって急勾配になっている。これも、メルセデスW14のエンジンカバーと似た特徴を持っている。
他のチームが追従するトレンドリーダーとなったレッドブル。果たしてRB20が示した方向性が新たなトレンドになるのか、まずはプレシーズンテストでの走りに注目だ。
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