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ジョルジョ・ピオラ【F1メカ解説】
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ジョルジョ・ピオラ【F1メカ解説】

【F1メカ解説】メルセデスは、どのようにしてフロントウイングを”合法化”したか?

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【F1メカ解説】メルセデスは、どのようにしてフロントウイングを”合法化”したか?
執筆:
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協力: Matt Somerfield
2019/04/22 3:44

今季開幕3戦連続で1-2フィニッシュを果たしたメルセデス。しかし、フロントウイングのデザインについては、試行錯誤している。

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メルセデスW10のフロントウイング:中国GP仕様

メルセデスW10のフロントウイング:中国GP仕様
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写真:: Giorgio Piola

 メルセデスは、中国GPに新仕様のフロントウイングを持ち込んだ。この新仕様は、特に翼端板に関する変更が施されており、翼端板の長さが短く、そして後端が外側に曲げられ、さらにその上部に緩やかな切り欠きが設けられている。これによってチームは、フロントタイヤの前面を横切り、マシンの外側に向けて流れる気流を生み出そうとしている。

 各チームは昨シーズンまで、この外向きの気流を、カスケードウイングやウイングレット、フィンなどを使って生み出してきた。しかしFIAは今季からこれを禁止……そんな状況下でもなんとか外向きの気流を生み出そうと、各チームは奮闘している。

アルファロメオC38フロントウイングデザイン

アルファロメオC38フロントウイングデザイン
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写真:: Giorgio Piola

 今季からの新レギュレーションに対応するために、ふたつの考え方が生まれた。ひとつは従来のようにフロントウイングの外側、フラップの上部と翼端板の上部の高さが揃えられたメルセデスやレッドブルの処理、そしてもうひとつは、アルファロメオやフェラーリのように、フラップ外側を著しく低める形だ。

 アルファロメオが採用した処理は、これまでの常識を大きく覆すモノで、視覚的にも非常に攻撃的だった。これは、今季のレギュレーション変更に応じて発生する問題に対処するため、率直に対応している。つまり、フロントウイングの上部で発生する渦流(=ボーテックス)を、気流を外に向けることに使っていないと考えられるのだ。

 昨年までのF1マシンは、フロントウイングに取り付けられた様々なデバイスで気流の渦を作り、周辺を流れる空気をマシンの外側に向け”誘導”していた。しかしアルファロメオの考えは、フロントウイング外側を低くすることで圧力差を生み出し、この効果で外向きの気流を作っていると考えられる。しかしその一方で、ウイングで発生するダウンフォースを犠牲にしているはずだ。

メルセデスW10フロントウイング

メルセデスW10フロントウイング
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写真:: Giorgio Piola

 メルセデスは当初、上のようなフロントウイングを使用していた。フラップの上部は高く、そして翼端板の後端(赤い矢印の部分)は内側に曲げられていた。

 メルセデスはこのデザインで、翼端板を沿うように流れた気流を、ボーテックスとぶつけるように使い、その回転と向きを変更しようとしていたと考えられる。

メルセデスW10フロントウイング翼端板

メルセデスW10フロントウイング翼端板
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写真:: Giorgio Piola

 メルセデスは2回目のテストに、早速アップデートパッケージを持ち込んだ。このBスペック仕様にはフロントウイングのアップデートも含まれており、その翼端板はからは内側への傾斜は排除された、典型的なモノに変更されていた。

 これに加えて、翼端板の後端上部の角が切り欠かれており、ボーテックスの形成方法は形状、そして方向が間違いなく変更されていたはずだ。

メルセデスW10フロントウイング翼端板内側

メルセデスW10フロントウイング翼端板内側
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写真:: Giorgio Piola

 スペック2の翼端板の内側が上の図である。ここからも分かるように、フロントウイングのフラップ最上部は、翼端板の最上部まで使われていなかった。

メルセデスW10のフロントウイング新旧比較

メルセデスW10のフロントウイング新旧比較
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写真:: Giorgio Piola

 左が、中国GPに持ち込まれたフロントウイング翼端板だ(右が旧仕様)。切り欠きの形状は大きく変更され、外側に向かって曲げられている。ただこれによってフラップの上部後端が露出する形となってしまった(赤い矢印の部分)。これが、テクニカルレギュレーションの3条3.6に違反することとなった。

チームメンバーが持ち、確認するメルセデスW10のフロントウイング

チームメンバーが持ち、確認するメルセデスW10のフロントウイング
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写真:: Giorgio Piola

 FIAのニコラス・トンバジスは、フリー走行開始前に、メルセデスの新型フロントウイングを検査。FIAのスタンスを説明した。そして、チームがレギュレーションの解釈に従うために必要な調整を行えるようにした。

メルセデスW10フロントウイング フラップ

メルセデスW10フロントウイング フラップ
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写真:: Giorgio Piola

 チームはFIAの指摘によって旧仕様に戻すのではなく、新デザインのウイングに特別な変更を施した。

 結局のところ、翼端板を短くし、後端部分のデザインを変更したことは、フロントウイング全体の変更の中の一部に過ぎなかったようだ。

 メルセデスはFIAの裁定に従うべく、フラップ最上部の外側の一部を切り取った。これにより、フラップ全体が翼端板に覆い隠されるようになった。ただその一方で、変更による空力的な影響も少なくなったはずだ。

メルセデスW10フロントウイングディテール

メルセデスW10フロントウイングディテール
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写真:: Giorgio Piola

 写真で見た方が、この対処がよく分かるだろう。翼端板の後端には小さなフィレットが追加され、フラップ先端を覆い隠している。

レッドブルRB15フロントウイング:中国GP

レッドブルRB15フロントウイング:中国GP
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写真:: Giorgio Piola

 レッドブルも、中国GPに新型のフロントウイングを持ち込んだ。これは、グランプリに先立ちトンバジスが出したテクニカル・ディレクティブ(技術指示書)に応じて準備されたもの。レッドブルのウイング翼端板にも切り欠きがあったのだが、これが排除される形となった。

レッドブルRB15フロントウイング翼端板

レッドブルRB15フロントウイング翼端板
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写真:: Mark Sutton / Motorsport Images

 この画像は、レッドブルのマシンに、切り欠きのある翼端板を設けたフロントウイングが取り付けられていた当時のモノだ。フラップの先端が側面から見た時に露出しているのがよく分かる。

ウイリアムズFW42フロントウイング

ウイリアムズFW42フロントウイング
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写真:: Giorgio Piola

 ウイリアムズもフロントウイングの翼端板に変更を強いられたチームのひとつだ。彼は翼端板の端の部分の半径が、レギュレーションに準拠していなかったためである。これは他のマシンと接触した際に、タイヤを傷つけるのを防ぐためのもの。レギュレーションでは、翼端板の角の半径は50mm以上なければならないと規定されている。

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