F1で2拠点チームを運営するのは難しい? 元トヨタF1のティモ・グロックが語るマシン開発の裏側「最後の最後で日本側からNGが出たりした」

かつてトヨタF1に所属したティモ・グロックは、同チームがドイツを拠点とする日本の自動車メーカーのチームだったことから、意思決定プロセスの遅さがネックになっていたと振り返った。

Timo Glock,Toyota TF109

Timo Glock,Toyota TF109

写真:: Rainer W. Schlegelmilch

 元F1ドライバーであるティモ・グロックが、同じく元F1ドライバーのデビッド・クルサードと元F1チームオーナーのエディ・ジョーダンによるポッドキャスト番組『Formula For Success』に出演。トヨタなどで活躍した自身のF1キャリアや、母国ドイツの自動車メーカーであるアウディのF1参入などについて語った。

 F1では2026年から、新たな自動車メーカーが参入することになっている。それがアウディだ。彼らは現在のザウバーを引き継ぐ形でワークスチームとしてエントリーし、パワーユニット(PU)も自社で製造することになっている。

 そんなアウディだが、気になるのは現状のザウバーチームの不振。9戦を終えて唯一の無得点チームとなっているのだ。グロックはアウディには期待をしているものの、ここから急浮上するのは簡単ではないと語る。

 グロックはその理由のひとつとして、車体開発はザウバーのファクトリーがあるスイスで、PU開発はアウディのファクトリーがあるドイツで……といったように、拠点が分かれていることを挙げた。

「彼らには大きな困難が待ち受けていると思う。というのも、彼らにはBMWとザウバーが組んでいた時のようなことが起こるかもしれない」

「当時はスイスとドイツ、ふたつのファクトリーがある中で、物事をまとめ上げないといけなかった。そこをやりくりするのは難しい」

「だから彼らには困難が待ち受けていると思うけど、一方で彼らは力を持っていると思うし、アンドレアス・ザイドルはF1で成功を収めるために必要なものを理解している。1年目からすぐに浮上してくるとは思っていないけど、その経験値やニコと契約したことを考えると、(躍進の)兆候は大いにあると思う」

「ドイツのメーカーがドイツ人のドライバーと協力することで弾みがつくだろう。彼らの活躍を期待しているけど、とはいえトップチームと対峙するのは簡単じゃないね」

 また話題がアウディF1に移る前にも、F1チームの拠点がふたつに分かれていることの難しさについて言及される場面があった。MCのクルサードは、トヨタがイギリスではなくドイツを拠点にしていたことで地理的な問題があったのではとグロックに尋ねると、グロックは日本、ヨーロッパ間での意思決定プロセスが問題になっていたと語った。

「それが問題になるなんて思ってもみなかった。トヨタと働き始めた当初は本当に良い感じで仕事ができていた。施設は本当に大きくて、建物と建物の間を自転車で移動するくらいだった。風洞などのR&D(研究開発)関連で言えば、勝てるF1マシンを作る上で考え得るものが全て揃っていた」

 グロックはそう振り返る。

「衝撃を受けたし、同時にプレッシャーにもなったよ。トヨタの代表として、ケルンで働いている1200人を超える人たちを代表して戦うんだ。ただ、最終的に分かったのは、トヨタの人たちはとても素晴らしい一方で、その意思決定プロセスに問題があった」

「意思決定は迅速に行なわれるべきなのに、そこに時間がかかり過ぎていたんだ。例えばグレーゾーンのエリアをアップグレードするとなった時に、日本からストップがかかったりした。要するに全て日本でのダブルチェックが必要だった」

「覚えているのは、リヤウイングの効率を上げるDRSのようなものの投入を計画していて、僕たちは直線テストも終わっていて準備ができていた。少なくともコンマ5秒は上がる見込みがあったけど、そこはグレーゾーンだったので日本から『失格になる可能性は避けるべき』とストップがかかったんだ。そういう感じで、最後の最後でNGが出ることがあったんだ」

 

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