子供たちのためにも生きないと……生還果たしたグロージャンが事故当時を振り返る
ロマン・グロージャンはF1バーレーンGPでのクラッシュを振り返り、子供たちのためにマシンから脱出しなければいけないと自分に言い聞かせたと話した。
F1バーレーンGPで大クラッシュに見舞われながらも無事生還したロマン・グロージャン(ハース)。彼は事故後初めてインタビューに答え、当時のことを振り返った。
グロージャンは決勝レースのスタート直後、ターン3出口でダニール・クビアト(アルファタウリ)と接触して時速137マイル(時速約220キロ)でガードレールに激突。その際50を超えるGが記録された。
マシンは衝撃で真っ二つとなり、ガードレールに突き刺さったコックピットは炎に包まれたが、グロージャンはその中から脱出することに成功。手の火傷を負ったものの骨折などは免れた。
グロージャンは少なくとも12月2日(水)までは入院し、週末に行なわれるサクヒールGPは欠場することとなった。ただ、最終戦アブダビGPで復帰することを希望している。
フランスの放送局『TF1』からインタビューを受けたグロージャンは開口一番、包帯によって“ミッキーマウスの手”になったとジョークを飛ばしたが、他の箇所については問題なく動かせるという。彼は当時のことを思い出しながら、クラッシュから脱出までの28秒間はとても長く感じたと語った。
「奇跡という表現を使っていいのか分からないけど、いずれにせよ僕はまだ死にたくなかった」
「28秒よりもずっと長く感じた。バイザーがオレンジ色に染まるのが見えたし、マシンの左側に炎も見えた。ニキ・ラウダのこととか色んなことを考えたし、こんな形で終わるはずがない、今じゃない、僕のF1でのストーリーをこんな形で終わらせちゃいけない……そう思っていた」
「そして子供たちのためにも、僕はここから脱出しないといけないと自分に言い聞かせたんだ。炎の中に手を突っ込んだら、シャシーが燃えているのを感じた」
「(マシンから)出たら、誰かが僕のレーシングスーツを引っ張るのを感じた。それで僕は脱出したことが分かったんだ」
現在3人の子を持つグロージャンは、5歳の次男サイモンが父に“魔法の力”があると信じていると言い、さらにこう続けた。
「そういう子供たちからの言葉はとても心強いんだ」
「長男のサッシャは7歳で、もっと合理的に理解しようとしている。一番小さい子供は『手が痛いパパのために』と絵を描いてくれた」
グロージャンはまた、自身の命を脅かしたアクシデントのトラウマについて対処する必要があると認めた。
「自分自身のことよりも、自分の家族や友人、何より自分のエネルギーや誇りの源である子供たちのことが心配だった」とグロージャン。
「死が近づいて来るのが見えたので、精神的な面でやらなければいけないことがあるだろう」
「ハリウッドでもあんなイメージはできないだろう。僕が見た中でも最大の事故だった。マシンが爆発して燃えて、衝突時にものすごいエネルギーが加わったんだ」
そして最後にグロージャンは自身の元に届いたたくさんのメッセージに感謝しつつ、アブダビGPで復帰できるようにしたいと語った。
「今までになかったものを目の当たりにしたから、生きていることに幸せを感じるという感覚がある」
「でも可能であれば、アブダビではマシンに戻らないといけない。僕のF1でのストーリーをちゃんとした形で終えるためにね」
「僕はほとんど1度死んだようなものだ。あの日、炎の中から出てきたことは、僕の人生に永遠に刻まれることになるだろう」
「僕に愛をくれた人がたくさんいて、多くの感動を与えてくれた。だから時々涙目になることもあるんだ」
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