4度王者ベッテルの引退にF1ドライバーから惜しむ声。タイトル争ったアロンソ「彼を恋しく思うだろう」

　7月28日に2022年シーズン限りでのF1引退を表明したセバスチャン・ベッテル。4度の世界チャンピオンの引退という決断に、グリッドのドライバー仲間からは惜しむ声があがっている。

　2019年から2020年にかけてフェラーリでチームメイトとして共にレースを戦ったシャルル・ルクレールは、前戦フランスGPのクラッシュ後にはベッテルからメッセージを貰っていたことなども明らかにしつつ、引退を悲しんでいた。

　彼はベッテルと共に走ることで、多くのことを学んだと振り返っている。

「少なくとも、僕にとっては悲しいことだ」

「彼にとっては、これから向かう場所がより幸せなのかもしれないけどね。でもパドックでセブの姿を目にしなくなるというのは、変な感じだよ」

「僕は彼とドライブして、すごくたくさんの事を学んだし、彼はいつでも僕にとても良くしてくれた」

「パドックからセブがいなくなるのは、間違いなく寂しいよ。でも彼の今後の活躍を祈っている。それから彼なら別の幸せになれる道を見つけられると、僕は確信している」

Charles Leclerc, Ferrari, Sebastian Vettel, Aston Martin

Photo by: FIA Pool

　レッドブルのセルジオ・ペレスも、ベッテルの功績は”偉大”なモノだと称えている。そして彼の語った引退理由には共感を感じていると話した。

「セブのこと、彼の成し遂げたことはとても誇らしいものだと思う」

「セブはこのスポーツの偉大なレジェンドだし、素晴らしい男だよ。いつだってとてもフェアで、しっかりと発言し、素晴らしい成功を収めてきた。そして彼には素晴らしい家族がいる」

「彼は同僚が達成したいと思う全てを手にしている。だから僕も彼のことは誇りに思うし、彼と家族に最高の未来があることを祈っている」

「引退はとても個人的な決断だと思う。自分がどう感じているのか、それをやりたいと思っているのか、家族のことはどうなのか……極めてパーソナルな問題だ」

「歳を重ねれば他のことの優先順位が上がるようにもなるし、F1ドライバーであることによる”コスト”が嫌になったりもするものだろう」

「そういうこともあったりするんだ」

　またベッテルと同じくレッドブルで王者となったマックス・フェルスタッペンは、ベッテルがF1にとって”素晴らしいアンバサダー”だと語っている。そしてフェルスタッペンは、ベッテルが今の人生を楽しむことができていることが重要だ、とも話した。

「結局のところ、彼はこのスポーツで多くのことを成し遂げてきてるんだから、引退するというのも十分理解できる」

「彼は素晴らしいキャリアを歩んできたと思う。多くのレースで勝利し、世界チャンピオンにも何度も輝いている」

「そして、彼はこのスポーツにとって素晴らしいアンバサダーだと思う。だから彼が去っていくのはね……でも誰だって歳をとるものだし、誰もが引退はするんだ」

「もちろん、その瞬間が来るのは決して素晴らしいものではないし、特にセブのファンにしてみたら良いものじゃないだろう。でも、そういうコトは起こるものだ」

「今は、彼が家族と自分の人生を楽しんでいけるというのが大事だと思う。F1は人生の中でとても短い期間にすぎないし、彼もこれまで成し遂げてきたコトのためにハードに取り組んできたんだ。今は楽しむ時だよ」

　ベッテルと2010年や2012年にタイトル争いを繰り広げたフェルナンド・アロンソは、ルイス・ハミルトンやミハエル・シューマッハーと並んで、ベッテルをF1での最強のライバルだったと語った。

「ルイスとセバスチャン、彼らとはおそらくF1での時間の殆どを共有している」

「言うまでもなく、ミハエルは僕のランクの中でトップに残り続けるだろう。彼とはチャンピオンシップをかけて戦ったし、僕はF1を支配する彼を見て育ったんだからね」

「ミハエルからはとても多くのことを学んだ。そしてルイスとセブからもそうだ。僕ら3人は多くの物事を共有してきた」

「何年後かには、戦い、そしてコースをシェアしてきた彼のことを恋しく思うだろう」

「彼のキャリアでは、どういうわけか僕もそこで争ってきた。だからそう、彼は素晴らしいチャンピオンだ」

「そして人間としても素晴らしい人物だ。とてもしっかりとした価値観を持ち、家族を愛している。話を聞いていると、今回の決断もそういうことなんだろう。だから、彼の今後の活躍を祈っている。それから彼の姿をパドックで見られればいいね」