ハミルトン「あと50万ドルあれば、結果の違ったレースもあった」予算超過疑惑のレッドブルにチクチク
2021年の予算上限を巡り、レッドブルが大幅に違反を犯しているのではないかという噂が持ち上っている中、昨年激しくタイトルを争ったルイス・ハミルトンは、”あと少しの予算”があれば違った展開のレースがあったはずだと語った。
F1の2022年シーズンも終盤戦に差し掛かった今、パドックは2021年シーズンの予算上限を巡り、きな臭い”噂”が持ち上っている。
2021年から導入された年間の予算上限(1億4500万ドル/約210億円)の会計監査結果が、いよいよ今月チームに通達されることになっていた。しかしその直前になり、2チーム(噂ではレッドブルとアストンマーチン)が予算を超過しているのではないかという噂がパドック内で広まった。
特に話題の中心となったのは、昨年マックス・フェルスタッペンがチャンピオンとなったレッドブルだ。彼らは”大幅な”予算超過があったとも噂されており、それが現実だった場合は、ドライバーズ及びコンストラクターズ選手権ポイントの剥奪やレース出場停止、選手権自体からの除外といった厳しい制裁も視野に入ってくる。
当然、レッドブルとアストンマーチンは予算上限の超過を否定。しかし昨年そのレッドブルとフェルスタッペンに敗れたルイス・ハミルトン(メルセデス)にとって、この噂は非常にクリティカルなモノだ。
ハミルトンは予算上限によってメルセデスは自由を制限され、シーズン後半には望んでいたような大型アップデートを持ち込むことができなかった一方で、レッドブルはアップデートを続けていたという状況を指摘している。
予算上限の超過が本当だった場合、F1にとっての損害となるかどうかを尋ねられたハミルトンは、次のように答えた。
「そうなるだろうね。僕らのスポーツの品位や、価値に疑問符がついてしまうからだ」
「去年のことはドライバーとしてもよく覚えている……いつもアップデートを要求していたんだ。シルバーストンで最後のアップデートを持ち込んだと思うけど、それがコンマ3秒に値していた。コストは間違いなく100万ドル以下だったと思う……でも時間が経てば、もっと高くつくものだったかもしれない」
「もっとアップデートが必要だったのを覚えている。そして、彼ら(レッドブル)のトラックからはアップデートがマシンに届け続けられていたのも見たよ。それで『マジかよ、アップデートを継続されたら倒すのは難しいぞ』と思ったものだ」
Max Verstappen, Red Bull Racing RB16B, and Lewis Hamilton, Mercedes W12, make contact as they battle for the lead
Photo by: Andy Hone / Motorsport Images
「予算は開発競争の上で欠かせないものだ。もう50万ドル(約7200万円)もあれば、僕らも別のフロアを簡単に持ち込むことができただろうし、いくつかのレースでは違ったポジションを手にすることもできただろう」
「でも、このスポーツの名前は予算じゃない。それに僕はチームがルールをしっかりと守ってくれていることに感謝している。彼らの仕事は素晴らしいんだ。しっかりとこの件は考える必要がある」
そしてハミルトンはFIAに対し、予算上限に関する調査結果を公表する際には、競技者やファンに何が起こったのかを正確に理解することのできるよう、適切な説明と透明性を持って行なわれることを期待していると注文をつけた。
「それ(説明と透明性)は必須だろう」と、ハミルトンは言う。
「僕らはスポーツの品位のためにも、ファンに対する透明性を持ち続けなければならない」
「(噂について)十分には分かっていない。舞台裏ではいろいろな話もあるけれど、誰も本当のところは分かっていないんだ。色んな数字が囁かれ、色んなことが話されている」
「(当初発表予定の5日に)結果が出ることを期待していた。遅れるというなら、それはとても真剣に受け止められているからだと思いたい。それに僕はモハメド(ベン・スレイエム/FIA会長)がこの件を真剣に受け止めて、スポーツにとって正しい行動をすると信頼しているんだ」
「もし違反があって、そして行動を起こさなかったら、それはスポーツにとって悪いことになる。でもあるかないかは僕も分からない。だから皆と同じように待つことにするよ」
なおレッドブルは前述のように予算上限の超過はないと主張。フェルスタッペンもチームが正しいと確信しているため、この件に関する憶測は無視していると話した。
「まず最初に、彼ら(FIAは)は何かがおかしいと判断しなくちゃいけない」と、フェルスタッペンは言う。
「僕がチームから聞いた話では、僕らは何も間違ったことはしていない」
「だから正直に言ってこの件では何も気を揉んだりはしていない。FIAとチームのことで、僕はただドライビングに集中することが必要なんだ。この件でこれ以上話すことはないし、月曜日になれは分かるだろう」
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