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【分析】結局、ポーパシング問題は解決したのか? F1プレシーズンテスト初日から見えてきたこと

2022年のF1では各チームがマシンのポーパシング、バウンシングに悩まされた。レギュレーションの変更によって、これらの問題は今季から解消されるのか?

Oscar Piastri, McLaren MCL60

写真:: Mark Sutton / Motorsport Images

 レギュレーションが大きく変わったF1の2022年シーズン。その中で特に話題をさらったのが『ポーパシング』『バウンシング』といったワードだ。

 2022年からのF1マシンは車体下面で大きなダウンフォースを発生させるグラウンドエフェクトカーとなっているが、下面を流れる空気が何らかの理由で失われるたり滞ったりすると、ダウンフォースが減り車体が上昇→再び空気が流れダウンフォースが復活して車体が下降……これを繰り返すことでマシンが激しく上下動する。これを『ポーパシング』と言う。またダウンフォースを効果的に出そうと車高を下げたりサスペンションを硬くした結果、マシンが路面に底づきして跳ねることを『バウンシング』と呼ぶ。

 こういったマシンの上下動は乗り心地が悪いだけでなく、ドライバーの健康問題にも繋がりかねない。したがってこれらの問題を解決するためレギュレーションが微調整され、フロアの端は15mm、ディフューザー中央部は10mm引き上げられることとなった。

 そしてバーレーンで開始された2023年のプレシーズンテスト最大の関心事は、これらのルール変更でポーパシングは解消されたのかということだ。

 テスト初日の開始直後、motorsport.com姉妹媒体の『Autosport』取材班はピットレーン出口付近で過ぎ去っていくマシンの挙動を確認した。すると昨年ポーパシングに苦しんだメルセデスも基本的には安定した挙動でストレートを通過している。これはフェラーリ、レッドブル、アルピーヌ、ウイリアムズらも同様だった。

 しかし、ストレート上の大きなバンプにぶつかることで、多くのマシンがバウンシングしながらターン1に向かっていった。これは車高を下げてサスペンションを低くしているからだと推測され、実際レッドブルとアルピーヌはリヤから火花を散らしていた。

 メルセデスは問題なさそうだが、フェラーリは確かにバウンドしていた。これは肉眼でも確認できるレベルで、F1の映像カメラにも捉えられていた。その後取材班はパドックに戻り、自分たちが目にしたものを基にチーム関係者に話を聞いて回った。

 あるチームの関係者によると、メインストレートでマシンが跳ねた時はポーパシングが再発したと心配していたものの、後にバンプが原因だったと確認されたとのこと。バーレーンのバンプは以前よりも酷くなっているようで、現在の極端に車高が低いグラウンドエフェクトカーでは無論その影響が顕著になっている、ということのようだ。

 

Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images

 ここまではオフレコの話だが、ここからは昼の記者会見でのコメントについて。ニューマシンのポーパシングをどう見ているかについて、フェラーリのフレデリック・バスール代表、メルセデスのトト・ウルフ代表に聞いた。

 まずウルフは次のように話す。

「いや、バウンシングは一切見ていない。高速のターン12では少し動いたがね。ただ昨年ほどではないし、パフォーマンスを損なうようなものではない」

 これに対してバスールは「我々も同じだ」として、こう続ける。

「1年前のように、マシンがカンガルーのように跳ねるようなことは全くない。ターン1手前やターン12など少しバンピーなところはあるが、そこで起きることはまた違った問題だ」

 このコメントを受けて、取材班は午後からターン12に向かった。ターン12はバックストレートを抜けた後、高速で大きく右に切り返すコーナーだ。昨年のバーレーンテストでは、メルセデスW13が酷くバウンドし、ドライバーはアクセルペダルを踏み続けることに苦闘していた。

昨年のW13はポーパシングに苦しめられた

昨年のW13はポーパシングに苦しめられた

Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images

 パドックを出て問題のターン12に到着すると、メルセデスの挙動は昨年とは全く異なっていた。時折強烈な横風が吹いた際は慎重にアクセルを踏んでいるように見えたが、それ以外でルイス・ハミルトンの駆るW14が極めて不安定になるようなシーンは見られなかった。またこの区間では、ローガン・サージェントがドライブするウイリアムズFW45が最も安定した走りを見せていた。

 ただやはりバンプがあることで、どのマシンも盤石とは言い難い。パンプはコーナーエントリーを過ぎてすぐのところにあり、そこに乗るとターン1手前と同じようにリヤが不安定になる。そしてターン12をワイドに膨らんで出口の縁石に乗り上げてしまい、さらなる振動を引き起こす危険性がある。

 ここではシャルル・ルクレールが乗るフェラーリが最も激しく跳ねており、その次にランド・ノリスのマクラーレン、そしてフェルナンド・アロンソがドライブするアストンマーチンあたりのマシンが跳ねていた。ターン1同様にレッドブルとアルピーヌも火花を散らしながらフロアが地面を擦っており、これはアルファタウリも同様だった。その中でも、フェラーリの跳ね方は他チームを大きく上回るものだったと言える。

 ただ、これはそれほど心配することではないだろう。そもそもフェラーリは昨年、今よりもずっと激しいバウンシングやポーパシングに見舞われていた中で、レッドブルに次ぐ2番目に速いマシンとして、序盤にはタイトル争いにも加わっている。そういう意味では今見られている症状はパフォーマンスにもあまり影響しない可能性がある。

 ただひとつ覚えておくべきなのは、車高やサスペンションのセッティングを誤ってしまうと、昨年のような状況に簡単に戻り得るということだ。そういう意味では昨年レッドブルが実現させた、ダウンフォースを損なわずに乗り心地の良さを確保するということが今後の課題になるだろう。

 我々のそういった考察を要約してくれているのが、アルファタウリのテクニカルディレクターであるジョディ・エギントンのコメントだ。彼はこの問題について、こう結論付けていた。

「我々は(ポーパシングについて)まだ懸念している。言い換えれば、(ポーパシングがまだ起こり得ると)“認識”しているということだ」

 

Photo by: Sam Bloxham / Motorsport Images

「今のところはまだ確認されていない。ただある程度は潜んでいると思うので、その点は意識しないといけない。レギュレーションが変更されたので悪化することはないだろうが、それでもまだ残っているはずなので開発戦略の一部として注視する必要がある。これらを解消するために、パフォーマンスを大きく落とすようなことがあってはならない。それは我々……特に空力部門が頭の中に入れていることだ」

「昨年起きていた我々のポーパシングは、グリッドの中でも平均くらいだったと思う。このルール変更は正しい理由で行なわれたものであり、我々も支持した。もし変更されていなければもう少し難しいことになっていただろうし、同じ課題を抱えることになっただろう」

「今のところ、ポーパシングの問題はマシになっていると思う。フロアの端が持ち上がることは、縁石(との衝突)などを考えてもプラスになっている。つまりこれには非常に大きな意義があるのだ」

 
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