レゴでF1ハイライトを“完全再現”! 超精巧ストップモーション動画作る青年「一生終わらないと思う時もある」
レゴを使ってF1のストップモーション動画を投稿するザック・ラングは、多くの時間を費やしてグランプリの混沌を再現する理由について語った。
Stop-motion Lego films
写真:: Zach Lang
F1のレースはほぼ全ての瞬間がカメラに収められており、専門家がこぞって分析のツールとして使用している。ファンがレースを追体験できる動画も、中継映像、ハイライト動画、SNSの切り抜きと多岐に渡るが、中でもレゴで再現されたストップモーション動画ほどチャーミングで魅力的なものはない。
「レゴが好きだったし、ストップモーションをやっている人たちを見てきたから、自分もやってみようと思ったんだ」
motorsport.comの取材にそう語るのは、YouTubeチャンネル『The Moving Bricks』の主宰者、ザック・ラングだ。
ラングはグランプリが終わるたびに、レゴで作ったマシンとコースを使ってレースの動きを何時間もかけて再現する。構成、演出、撮影、編集と、根気強いプロセスになる。
「ストップモーションで鍵になるのは忍耐だ。永遠のように時間がかかるからね」
レース前の数日間、ラングは自宅でレゴを使ってサーキットを再現する。そしてレース当日は、注目のアクションや印象的なシーンを見逃さないように、注意深くレースを観戦する。
「レースが終わったら、すぐに動画の撮影を始めるんだ」
ラングの制作風景
写真: Zach Lang
「それが延々と時間がかかるんだ。基本的にその日はそれしかやらない。だいたい夜までかかって、それでも終わらないことが多いから、翌日に持ち越すこともある」
「日曜の夜と月曜日で撮影を終えて、それから編集に入るけど、編集も4~5時間はかかる。だから撮影時間をトータルすると10時間、15時間……時には20時間にもなる。去年のブラジルなんて、一生終わらないと思ったよ」
その膨大な作業時間が、約9分の動画になる。動画は、F1がYouTubeにアップするハイライト映像を、1コマ1コマ忠実に再現したものだ。
ラングが使うサーキットもマシンも、完全なオリジナル。現在ではレゴがF1とパートナーシップを結んでいるため、全チームのマシンが収録された『レゴ スピードチャンピオン』というシリーズも存在するが、ラングの活動はそれが発売されるずっと前から始まった。
しかしオリジナルマシンであることは逆にメリットになる。チームが限定カラーでレースに臨む場合など、反映させたい変化に柔軟に対応できるのだ。例えば日本GP回ではレッドブルのマシンがしっかり白になっている。
忍耐との戦い
マシンとコースの準備ができたら、ラングは9分の動画のために2,000〜5,000枚の静止画を撮影する。そして、フレームごとにマシンをほんのわずか動かし、それを連続再生することで映像に命を吹き込む。
「スマホで写真を撮ってるんだけど、地面に近い位置からカメラをセットする必要がある。実際のレース映像のように見せるためにね」と彼は説明する。
「カメラを動かさずに構図を決めて、ズームの具合も調整する。そうやってカメラの準備を終えて、ようやくそこから本当の我慢の時間が始まるんだ」
「毎フレームほんの少しずつマシンを動かしていくんだけど、少しでも動かしすぎると変に見えるから、かなり精密にやらないといけない」
特にラングが格闘しているのは、レース中に起きる様々な出来事の描写。オーバーテイク、接触、クラッシュの再現には特別な注意が必要で、彼もできるだけリアルに再現できるよう努力している。
クラッシュや2台のマシンの接触には特に時間がかかる。タイヤスモークやデブリなども再現する必要があるからだ。
「そういうシーンは完璧に再現する必要がある。何度もリプレイを見直して、100%正確に作るんだ」
「枕に入れる綿を使ってスモークを作っている。接触の最初の方にはほんの少しだけ綿をおいて、1フレームごとに少しずつ増やしていく。少しずつ動いているショットの中で煙を静止させるわけにもいかないんだ」
「マシンがぶつかったら、小さいレゴのパーツをバラバラにして飛び散らせる。最小のピースをたくさん使って、それがカーボンファイバーの破片みたいに見えるようにしている」
クラッシュシーンでは、車両、煙、破片すべての動きを1フレームずつ調整して、実際の映像の流れに沿うように配置する。これがラングにとって最も難しい作業のひとつであり、スタートシーンのように20台すべてを動かす場面も同様に大変だという。
スタートシーン
写真: Zach Lang
派手なレースほど楽しい
アクション満載のグランプリを再現するのは時間も手間もかかるが、とはいえそういったレースを見るのが今も楽しいとラングは言う。
「みんな、オーバーテイクが多かったり、トップ争いがあったり、大クラッシュがあるようなレースが好きでしょ」
「僕もそういう派手なレースを撮影するのは好きだよ。今年の日本GPみたいに何も起きなかったレースを撮るのは、正直ちょっと退屈だった。やっぱり、大クラッシュの再現は面白い。そういうシーンの方が、みんな喜んで観てくれるからね」
退屈なレースでも、派手なレースでも、ラングの動画はF1のレースウィークに独特な魅力を加えてくれる。彼のユニークな映像づくりによって、再生回数は10万回に達する時もある。既にレゴ社やF1関係者からも注目を集めている。
「業界の多くの人が、僕の作品を評価してくれる」とラングは言う。
「あるチームの人は僕を何度かレースに招待してくれたし、そのチーム用に車を作ってプレゼントしたこともある」
コロナ禍の時期に最初にストップモーション動画を作ってから5年、そして本格的にF1レースの再現を始めてから4年――ラングのF1愛はますます深まっている。今はF1関係者からレースに紹介されるようになり、将来はエンジニアとしてモータースポーツの世界で働くことを目指している。週に数時間、レゴで遊ぶのも悪くない。
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