かつてオーストラリアGP開催のアデレード市街地コース、取り壊しの可能性。”遺産化”議論も反対の声
かつてオーストラリアGPを開催したアデレード市街地コース。ヴィクトリア公園の再開発により、その存続が危ぶまれているようだ。
Satoru Nakajima, Lotus 101 Judd
LAT Images
かつてF1やスーパーカーのレースが行なわれた、アデレード市街地コースの存続が危ぶまれているようだ。ヴィクトリア公園の再開発に伴い、舗装路を撤廃することが検討されているためだ。
10月13日にアデレード市議会で行なわれた会議において、ヴィクトリア公園について議論が行なわれ、ダグ・マケボイ教授が「気候変動による夏場の過酷な暑さと樹木の不足により、ヴィクトリア・パークの公共の快適性が脅かされている」と語ったのだ。
マケボイ教授によると、解決策は樹木を増やし、可能な限り固い路面を取り除くことだという。
一方、トラックの取り壊しを支持するような発言をしたことで、世論からの反感を買っていたグレッグ・マッキー議員は、樹木を増やしつつもサーキットの要素を保護するという代替案を提出した。
Ayrton Senna, McLaren MP4/5B
Photo by: Sutton Images
マッキー議員がアレクサンダー・ハイド議員とともに提出した代替案では、サーキット、特にセナ・シケイン(第1シケイン)を遺産として登録すべきかどうかを審議会で評価することも提案している。
「アデレードを多くの意味で世界に知らしめたのは、F1オーストラリアGPであることは周知の事実だ」と、ハイド議員は議会で述べた。
「それ(市街地コース)はアデレードの人々、そして南オーストラリア州の人々にとって、非常に重要な意味を持っている」
ハイド議員はまた、この地域でのレース開催が復活する可能性についても語ったが、これは現在交渉が進められているというフォーミュラEイベントについての言及のようだ。
「コミュニティの中には、多少なりともレースを復活させたいという願望がある」と彼は言う。
「ヴィクトリア公園で見られるように、非常にディストピア的なコンクリートや、タイヤの痕が何ヵ月も残るようなモノではなく、目立たずショートトラックを使ったレースだ」
他の議員の要望により、この提案はふたつの部分に分けられた。ひとつは樹木を増やすための修正緑地計画、もうひとつはサーキットの遺産登録について評価をするためのものだ。
緑地計画については満場一致で可決されたものの、サーキット遺産化の検討については反対も多かった。しかしわずか1票差で、遺産化の検討が進められることになった。
サーキットの遺産化に関する議論が行なわれている間は、サーキットの取り壊しが進められることはないが、反対も多いことからどうなるかは不透明だ。
議員の中には、将来的にアスファルトを剥がす努力をするべきだと主張。中でもアン・モラン議員は猛反対しており、ヴィクトリア公園でレースを開催する可能性を”永久に排除する”べく、サーキットの取り壊しを要求している。
これは来年の選挙で当選した場合、アデレードでのスーパーカーイベントを復活させるという州野党の計画に真っ向から反対する意見だ。
「私はレーシングカーのコースと、そこに残っている他のセメントの残骸をすべて取り除くことを望みます」と、モラン議員は語った。
「そうすることで、モータースポーツを復活させる”危険性”を永久に排除したいと思っています。サーキットのどの部分も遺産登録する理由はありません」
「ヴィクトリア公園が歴史的に使われていたとすれば、それは競馬のためでした。これでは、ガソリン中毒者に迎合しているようなものです。今の私たちは、それよりも優れているはずです」
「メルボルンが(F1オーストラリアGPを)開催するようになる頃には、私たちはそれを取り除こうとしていました。またスーパーカーについては、(F1の)代わりとしては不十分でした」
「私はトラックを取り壊して木を植え、ちゃんとしたサイクリングロードを作るべきだと思います。ガソリンを消費し、二酸化炭素を排出していた古き良き時代の遺物であるこのコースの廃止を棚上げすることは、私たちの長期的な計画ではないはずです」
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