ホンダ・レーシングスクールが、隆盛するカートシリーズと提携へ? 佐藤琢磨が視察「ここで頑張っている才能を応援できれば理想的」
佐藤琢磨が、隆盛を見せるカート選手権ROTAX MAX CHALLENGEを視察。ホンダ・レーシングスクール・鈴鹿との提携も視野に入れていると明かした。
Takuma Sato
写真:: Motorsport.com / Japan
3月1日〜2日にかけ、鈴鹿サーキットの国際南コースで、カートレース”ロータックス・マックス・チャレンジ(ROTAX MAX CHALLENGE/RMC)”の開幕戦が行なわれた。全6クラスに192台がエントリーするという盛況ぶりであった。
このカートレースの現場に、佐藤琢磨の姿があった。佐藤は今も現役ドライバーとしてインディ500への挑戦を続けつつ、HRC(ホンダ・レーシング)のエクゼクティブ・アドバイザーとHRS(ホンダ・レーシングスクール・鈴鹿)フォーミュラのプリンシパルを務めている。佐藤はこの日、HRSのプリンシパルとして、RMCを見学に来ていた。
今季からHRSは体制を変更し、昨年まで存在していたカートクラスを閉校。新たに「フォーミュラクラス選考コース」を開設し、四輪レースデビューを目指す「フォーミュラクラス・アドバンスコース」に向けたスキルアップを目指す形とする予定だった。
しかしこの変更はうまくいかなかった。フォーミュラクラス選考コースには参加者が十分に集まらず、2025年は実施できなくなったのだ。そのため、隆盛を見せるRMCと協力する可能性を模索するため、佐藤は鈴鹿南コースに足を運んだという。この日は、HRCの四輪レース部レース運営室の桒田哲宏室長らも同行していた。
「HRSのカートコースは、今までのような形ではできなくなりました。しかしカートは、四輪レースを目指す上での最初の登竜門として大事なカテゴリーだと認識しています」
佐藤はそう語った。
「RMCはカートで今一番盛り上がっているカテゴリーで、ここでどんなレースが行なわれているのかを見に来ました。HRCとしてどう関われるかは分からないですけど、まずは見に来させていただいたということです」
Rotax Max Challenge Round1
写真: Motorsport.com Japan
HRSのフォーミュラ選考クラスに人材が集まらなかった理由は何なのか? そう尋ねると、佐藤は次のように説明してくれた。
「今年、カートクラスはできなくなってしまいましたが、それに変わる形でフォーミュラへの架け橋的なチャンスを作りたいなと思っています」
「そのために選考クラスを立ち上げようと思っていたんですが、それは今回は一旦断念する形になりました。正直、我々内部のコンセンサスが取れていなかったんです。モビリティランドの運営側と、HRCが理想とするところで少し誤解があって、条件面の部分ですごい狭き門になってしまっていました。フォーミュラに乗るための限定ライセンスなど、年齢的な部分で条件が厳しくなっていました。だから一回見直す必要があると思います」
「そのため今年と来年は、アドバンスクラスに参加してもらう上では、ステップ1とステップ2のオーディションをやらざるを得ないかなと思っています」
以前は日本からF1を目指すためにはホンダの育成枠、つまりHRSでスカラシップを獲得し、海外へと挑戦する……というルートが一番の近道だった。現に佐藤も、そして角田裕毅や岩佐歩夢もこのルートを辿ってF1マシンに乗っている。
しかし最近ではトヨタもドライバーの育成に力を入れており、F1に至るルートを猛烈なスピードで構築している。トヨタの育成ドライバーである平川亮と宮田莉朋も、F1ドライブを経験した。その結果、F1を目指したいという若い人材の多くが以前とは異なり、トヨタの育成プログラムに流れてしまっているようにも見える。それについて尋ねると、佐藤は次のように語った。
「我々は、これまで自分たちがやってきたことを踏襲するしかないです」
「カテゴリーの広さで言えば、トヨタさんが今やっていることは、我々にはできません。でも、モータースポーツ界が活性化されるという意味では、トヨタさんの活動の恩恵はすごくあると思います。選手たちにとってチャンスが増えるのは良いことだと思っています」
「今は数の面では、トヨタさんに押されていると思います。でもHRSを目指す選手が何を目的として来るのか、我々としてもどういう選手に来てほしいかというところは明確ですから、そこはこれまでと変わらぬラインでやっていけると思います」
F1ドライバーはもちろん、プロのレーシングドライバーになれるかどうかは、非常に狭き門である。それは、育成プログラムに加入できるかどうかという部分でも同じだ。
「トヨタさんは確かに大きな分母でやられています。しかし、狭き門であることは変わらないと思いますよ。向こうに応募が集中したとしても、全員が入れるわけではありませんし」
そう佐藤は語る。
「一時はあちらの方がメジャーな感じになるかもしれません。でも我々としては、世界で通用する日本人ドライバー……いや日本人に限らず、ホンダのレースのフィロソフィーを持ったドライバーに来てほしいと思っています。そういう選手には、これまでと変わらない、できる限りの支援をしていきます」
Rotax Max Challenge Round1
写真: Motorsport.com Japan
RMCには、海外からのドライバーも多数参加しており、そのことも含め全体的なレベルが上がっている。佐藤もこのRMCに、大いに感銘を受けたようだ。
「僕らがカートをやっていた時代に似てる気がします。各カテゴリーのエントリーが40台って、昔に近い感じがしますし、久しぶりにこういう活気あるモノを見ると嬉しくなりますね」
「一時期、カート業界は厳しいということを聞いていましたし、僕もレースの現場に来ることはなかったです。でも久しぶりに見て、みんな熱いレースをしていて、良いなと思いましたよ」
「ジュニアやシニアのクラスに出ているドライバーたちは、リアルに上を目指す子たちだし、海外の選手もたくさん来ていると聞いていました」
「これから色々と、どんなことができるかということを話し合っていかなきゃいけません。EXGELさんのサポートで海外交換留学をやられていたりしますけど、そこに何かを付け足すというよりも、ここで頑張っている選手をHRCとして応援できるような、そういう枠組みができれば理想的ですよね。ただ、まだアイデア出しの段階ですけどね」
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