苦しかった”あの時”があって今がある! ホンダF1田辺TD「苦労しても、そこから何かを学ぶことができる」
ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは、2015年にF1に復帰した当初の「厳しい」経験が、現在のタイトル争いに必要なブレークスルーをもたらすために重要だったと語った。
写真:: Charles Coates / Motorsport Images
レッドブルとアルファタウリにパワーユニット(PU)を供給するという形でF1に参戦しているホンダは、2021年限りでF1から撤退するが、その最後のシーズンにレッドブル・ホンダが”絶対王者”のメルセデスと激しいタイトル争いを繰り広げている。
今でこそ成功していると言えるホンダだが、2015年にPUマニュファクチャラーとしてF1に復帰した直後は全く状況が違っていた。当初はマクラーレンと提携していたが、そのPUはパフォーマンス不足と信頼性不足が明らかだったのだ。またマクラーレンのシャシーも、決して出来の良いモノではなかった。
その結果、マクラーレンと袂を分かつことになり、レッドブル系の2チームとパートナーシップを結ぶ事になった。
ホンダのF1復帰後初勝利は2019年のオーストリアGP。その後もレッドブルやマックス・フェルスタッペンと共に勝利を積み重ね、今季はメルセデスやルイス・ハミルトンと互角の戦闘力を身につけるに至った。
ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターはホンダの進歩を振り返り、F1復帰後の数年間で経験した難しい経験の価値を過小評価することはできないと語った。
「経験不足のため、リタイアやエンジンブローなど、レースウィークエンドでは多くのトラブルに見舞われました」と、田辺TDはmotorsport.comをはじめとする一部のメディアに語っている。
「しかし私たちは、レースに勝つことやチャンピオンを獲得するだけでなく、パフォーマンスを向上させ、信頼性を高めるという目標を達成するために、懸命に努力を続けました。それは、エンジニアにとって重要な目標の一部でした」
「2015年以降、厳しい状況が続きましたが、私たちは決して諦めません。私たちはプッシュし続けますが、それでも簡単ではありませんでした。私たちはチャンピオンチームと戦っているのですから」
マクラーレンとの初期の苦闘により、ホンダがF1計画を早期に断念するのではないかという憶測を呼んだが、田辺TDは、苦しい時期に得た知識が最後には報われることが分かっていたと言う。
「過去にはネガティブに見えたかもしれません。一生懸命働いても、エンジンの故障やパワー不足など、良い結果が得られませんでした。しかし今は復活し、パワーも信頼性も勝利も得られるようになりました」
「だからこそ、エンジニアだけでなく、物流担当者やメカニックも含めて、良い経験ができたのです。彼らの将来のためにも、とても良い経験になったと思います」
「苦労しても、そこから何かを学び、技術的にブレイクスルーすることができるのです。精神的にも、人々はとても強くなっています。だから、このプロジェクトを通じて悲しいこともハッピーなことも経験しているのです」
また田辺TDは、ベンチマークであるメルセデスのPUに対して、ホンダが明確な弱点を克服しようとしてきたことが、非常に重要だったと考えている。
そしてイタリアGPの舞台であるモンツァのストレートを見るに、メルセデスPUとの性能差はほとんどなくなったことが証明されているという。
「以前は、自分たちの弱点と強みを分析していましたが、ほとんどが弱点でした」と田辺TDは言う。
「メルセデスに対抗するために改善すべき点をいくつか目標として立てました。その中のひとつがエネルギー配分でした」
「今年、私たちは新しいPUを導入しました。新しいPUにはエネルギー性能を向上させる新しいICE(エンジン)も含まれています。その結果、PUは期待通りの働きをし、ICEの性能だけでなく、エネルギー管理の領域も含めたPU全体の性能で、ホンダとメルセデスの差が縮まってきました」
「だから、モンツァでのメルセデスに対するパフォーマンスは、例年に比べて良かったのです。それは、新しいPUを導入した今年の私たちの成功分野のひとつです」
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