可変ウイングへの抗議は大混乱を引き起こす? レッドブル代表「パンドラの箱を開けるようなモノ」
レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、フレキシブルウイングの問題について収拾のつかない事態になる可能性があるため、もし自分がメルセデスにいたら「口をつぐんでいるだろう」と語った。
写真:: Charles Coates / Motorsport Images
F1で物議を醸しているフレキシブルウイング問題。第6戦アゼルバイジャンGPは、次戦フランスGPで検査基準が強化される前のレースとなるため、フレキシブルウイングを使用するチームに対してライバルチームが抗議を行なう可能性もあるのではないかと見られている。
メルセデスのトト・ウルフ代表は、FIAがこの問題について明確な説明を行なわない場合、バクーで「非常に厄介な」状況になる可能性があると警告し、各チームが抗議を申し立てる可能性を示唆した。FIAは問題の実態を確認するために、各チームにリアウイングに黄色いドットシールを付けるよう指示している。
しかし物理学上、空力パーツが全く動かないように車体に固定することは不可能だ。パーツはある程度柔軟性を持ち変形するようになっている。そのためチームはその弾力性を利用し、FIAの検査をクリアできるようなパーツを搭載することで、パフォーマンス向上につなげてきたわけだ。
それはフレキシブルウイングの規制強化を主張しているメルセデスも同じようだ。レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、アゼルバイジャンGP初日のフリー走行でメルセデスのリヤウイングが動いている映像を見せられ『Sky Sports F1』に次のように語った。
「どちらかというと、ここでは我々よりも少し(ウイングの柔軟性が)ひどいように見えるね」
「私は、リヤよりもフロントウイングを見てみたいと思う」
「それ(ウイングの柔軟性に関する抗議)は厄介なパンドラの箱を開けるようなものだ。そのために検査があり、厳格な検査が行なわれているんだ。そして、クルマはそれに準拠して設計されているんだ」
レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコとホーナーは、メルセデスのフロントウイングの柔軟性について懸念を表明しており、メルセデスがリヤウイングに対する抗議を行なった場合、逆にメルセデスに対して抗議を行なう可能性を示唆していた。
ホーナーは、リヤウイングの柔軟性に対する懸念は”他のエリア”にも適用されるべきだと語った。
「リヤウイングについては色々なノイズが語られているし、色々な修正が必要とされている。でもクルマの一部分が話題になったのなら、逆側も見なければならない。一部分だけを見て、一連のルールがその要素にしか適用されないというのはおかしい」
「全てのエリアを考慮しなければいけない。時には、自分が望んでいるものにも注意を向けなければならないんだ」
アゼルバイジャンGPの初日フリー走行では、国際映像でも前後ウイングの映像が多く映し出されていた。ホーナーは、メルセデスのフロントウイングの映像について「(ストレートでは)フロントウイングについているスポンサーのロゴが見えるが、ブレーキングゾーンに入るとそれが見えなくなる」と指摘した。
「もしかすると、それ(フロントウイングの柔軟性)はフロントウイングの新しいスポンサーを露出させるためのものかもしれないね」とジョークを飛ばした。
もし自分がメルセデスにいたとしたらどうするかと訊かれたホーナーは「もし私がトトだったら、彼のクルマに付いているフロントウイングを見て、黙っていると思う」と話した。
すでにフェラーリやアルファロメオなど、多くのチームがリヤウイングに関するレギュレーションの抜け穴を利用していることを認めている。ホーナーは、各チームが技術規則の限界に挑戦するのは当然のことだと考えている。
「非常に優秀な技術者が、規則に準拠したパーツをデザインしているんだ。それが彼らの仕事であり、そのために我々はお金を払っているのだ」
「F1とは、そのような技術的な創意工夫のためにある。もし標準的なクルマを求めるのであれば、我々はF2になるだろう。私は、このスポーツの競争とは、限界を押し広げることだと思っている。それがF1のすべてなんだ」
「合法でなければならないし、ルールの範囲内でなければならないが、その限界を超えなければならないのだ。それが、ピットレーンにいる他のチームと同様に、我々がやっていることなんだ」
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