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フロントウイング”7度違う”ミスで真価は見えずも……レッドブル、トルコに改善パーツ投入

レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは、イスタンブールパーク・サーキットで行なわれたF1トルコGPで、左右のウイングの設定が7度ずれていたことにより、勝利のチャンスを逃した。その設定ミスにはどれほどの影響があったのか?

Max Verstappen, Red Bull RB16, captioned

Max Verstappen, Red Bull RB16, captioned

Charles Coates / Motorsport Images

 レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは、F1トルコGP初日から速さを見せ、FP1から予選Q2まで全てトップタイムを並べた。予選Q3ではトップタイムを逃したものの、それでも2番手。決勝にも優位性を持って臨むだろう可能性が非常に高かった。

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 事実、スタートこそ出遅れたものの、その後はハイペースで走り、上位でのフィニッシュは間違いないと思われた。しかし、ピットストップ時にフロントウイングの設定変更を誤ってしまったことでマシンバランスが崩れ、ペースを落とすことになった。

 本稿のメイン写真をご覧いただいても分かるように、左右のフロントウインングの角度は大きくずれていた。フェルスタッペン曰く、正しい角度に7度足りなかったのだという。

 F1マシンのセッティングは、コンマ数mm単位で変更するほどシビアなモノ。そんな中で7度という数字はあまりにも大きい。その結果マシンはひどく不安定なモノとなり、タイヤの性能劣化(デグラデーション)が大幅に進むことになってしまった。

 また、チームはトルコGPにアップデートパッケージを投入していたものの、そのパフォーマンスを最大限発揮することもできなかった。

 今回持ち込まれたアップデートは、ノーズ周辺そしてリヤ部分にある。それらは単独では小さい変更に見えるかもしれないが、全体的に考えると、レッドブルの開発方針の方向性が大きく変わったことを意味するように見える。

■フロントウイングの変更

 トルコGPに持ち込まれたレッドブルRB16は、フロントウイングとケープの形状が変更されていた。これにより、Y250ボーテックスの制御に、影響を与えていたと見られる。

Front wing detail of Max Verstappen, Red Bull Racing RB16
Front wing of Alex Albon, Red Bull Racing RB16

 Y250ボーテックスとは、フロントウイング中央部分の、フラップなどの設置が許されていないエリアの両端で発生する気流の渦のことである。このフロントウイング中央部を通過する気流は、乱れが最も少なく、マシンのフロアでダウンフォースを発生させるにあたってはもっとも効果的に利用される。その乱れの少ない気流に外部の乱れの多い気流が悪影響を及ぼさないよう、その両端で人工的に空気の渦を生み出して乱れた気流をマシンの両端に誘導するなどいわば”エアカーテン”のような役割を果たす……これがY250ボーテックスである。これをうまく使うことができれば、フロントウイングで発生するダウンフォースではなく、マシンの全体で発生するダウンフォースに好影響を与えることができるというわけだ。

 レッドブルは今シーズンを通じて、フロントウイングに様々なアップデートを施してきた。その中心はウイングの外側。翼端板やそのフットプレート、そしてウイング裏側の形状を変え、フロントタイヤ前面に向かう気流を綺麗に外向きに変更することに注力してきたわけだ。

 トルコには、フェルスタッペン車にのみ新しいフロントウイングが搭載された。細かくも、複数の部分に変更が施されている。

 まずメインプレーン(フロントウイング一番下の、一番巨大な板)は形状が変更。これまではY250の外側部分には2本のスリットが入れられるだけだったが、今回は最も車体中心側の結合部が排除され、鋭利な先端部がふたつ増えることになった。その強度不足を補うため、補強用のエレメントが2つずつ追加されている。つまりY250ボーテックスを生み出す箇所がこれまでの2つから4つに倍増したということだ。

The Red Bull RB16 features several cape slots on the nose

The Red Bull RB16 features several cape slots on the nose

Photo by: Giorgio Piola

 このフロントウイングの変更と時を同じくして、ノーズ下に存在するケープ(地面と並行に設けられた板状のパーツ)にも修正が加えられた。ノーズのボディワークの後方に、スリットが設けられたのだ。これにより、フロントウイングとケープから得られるパフォーマンスを、最大限にするよう気流の調整が行なわれているようだ。

More details of the Red Bull's front wing

More details of the Red Bull's front wing

 レッドブルにとって残念なことは、ピットストップ時のミスにより、トルコGPの決勝レース後半のフェルスタッペン車のフロントウイングのフラップの角度が、前述の通り大きくずれてしまっていたことだ。その結果、マシンのパフォーマンスを最大限発揮することができなかっただけでなく、このアップデートの効果も正確に見極めることができなくなってしまったわけだ。

■エキゾーストパイプ周辺の変更

The RB16's exhaust layout has been changed by the team

The RB16's exhaust layout has been changed by the team

Photo by: Giorgio Piola

 RB16は、マシンのリヤ部分にも変更が施された。これまでは、エキゾーストパイプの上に配置されていたウェイストゲートパイプを、より一般的なエキゾーストパイプの下、リヤウイングステーの左右に移動させたのだ。このウェイストゲートパイプの熱に対処するため、リヤサスペンションのアッパーアームの付け根には、金色の断熱材が巻かれているのが分かる。

 このウェイストゲートパイプは、ターボチャージャー内の圧力を調整するために設けられているモノ。ターボチャージャーに送られる排気ガスのうち、余剰となった分をここから抜き出すのだ。ただここから排出されるガスも、エキゾーストパイプからのガス同様、空力パフォーマンスの向上に活かすことができる。

Red Bull RB16 exhaust layout

Red Bull RB16 exhaust layout

Photo by: Giorgio Piola

 興味深いのは、これまで高い位置(2)に存在したウェイストゲートパイプが低い位置(1)に変更されたことに伴い、ディフューザー中心部(3)の形状も変更されたということだ。

 この変更はサーキットで実施されたように、別パーツ化されている。ただ、気流に影響を及ぼすのを防ぐため、表面はコーティング処理がなされている。

 中央部分はリベットのようなモノでディフューザーの本体に固定。大きな負荷がかかった際にも、スリットの間隔に違いが出るのを避けることが目指されているようだ。

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