分析

F1

”失われたレース”を、F1開催カレンダーに戻す方法はあるのか?

新型コロナウイルスの影響で、2020年のF1は大打撃を受けている。開幕戦オーストラリアGPから第4戦中国GPまでの開催延期が決定。一説には6月のアゼルバイジャンGPまで開幕が遅れる可能性も示唆されている。延期されたレースは、別日程で開催することができるのだろうか?

Adam Cooper

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編集: 2021/06/05 8:27

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 2020年のF1開幕戦オーストラリアGPは、チームスタッフのひとりが新型コロナウイルスに感染しているのが明らかになったことを受け、開催が中止されることになった。

 ただ、影響はそれに留まらず、バーレーンGPとベトナムGPの開催も延期が決定。既に延期が決まっている中国GPも含めれば、序盤4レースが予定通りの日程で開催できないことになる。一説には今年のF1の開幕は、6月のアゼルバイジャンGPまでずれ込む可能性すらあると言われている。

 そうなった場合、延期されたイベントの少なくとも一部を、開催カレンダーの空いた週末に移すという、大変な課題に直面することになる。

 CEOのチェイス・キャリーにとって、延期となったレースを日程を変えてでも開催したい動機は明らかだ。プロモーターは通常、2500万〜3000万ドル(約25億〜30億円)の開催権料を支払う。一部のフライアウェイ戦は、それ以上の額を支払っているとも言われる。つまり、レースを開催できないということになれば、F1としての収入がその分だけ減ってしまうということを意味するのだ。

 アゼルバイジャンGPが開幕戦になる可能性があるという話は、木曜日の夕方に、チーム代表たちがF1のスポーティング・ディレクターであるロス・ブラウンと話し合った時に話題に上がったものだという。

 その話し合いの中心は、オーストラリアGPを中止すべきかどうかというものだったが、4月と5月のレース開催は完全に諦め、新型コロナウイルスを取り巻く状況が改善していれば、6月のアゼルバイジャンとカナダの連戦で開幕することを目指すということも話し合われたという。つまり、オランダ、スペイン、モナコも、延期するという案である。

 つまり最大7戦を開催延期しなければならないということになる。そんなことが可能なのだろうか?

 ここからは、どうやって修正版のスケジュールを組むことができるかということについて注目してみる。

 解決策のひとつは、少なくともひとつのグランプリを、8月に移動させるというものだ。8月はほぼ1ヵ月の”夏休み”とされていて、3つの週末はグランプリが設定されていない。ただその間には、レギュレーションで義務付けられている2週間の工場閉鎖期間が含まれている。

 またレースのない週末をひとつ失うこととなった場合の影響も小さくない。F1で働く人々にとって、この8月は家族とゆっくり過ごすことができる唯一の期間なのである。チームやF1、そしてFIAや放送局、その他のメディアなどで働く人々は、すでにこの休日をどう過ごすか、予定を立てている。そのため、企業としては別の人員を手配する必要があるのだ。

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Merchandise stands are dismantled

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Photo by: Glenn Dunbar / Motorsport Images

 また、レースが開催できない4月と5月に工場閉鎖期間を移し、スタッフの休暇もその期間中に変更することで、8月開催の可能性を捻出する可能性もある。

 この頃に延期できる可能性が高いのは、おそらくヨーロッパ圏内のイベントということになるだろう。

 その中でモナコは、1年で最も権威あるレースだと言えるかもしれない。しかしそのステータスもあり、同グランプリのプロモーターは、開催権料の支払いを免除されている。F1としては、しっかりと収入を得ることができるレースに、その貴重な週末を充てることが優先されるはずだ。

 またモナコは、伝統的にグランプリを5月以外の時期に移動されることを好まない。ましてや8月ともなれば、観光シーズンの真っ最中。モナコにも多くの観光客が押し寄せる。そんな中で街の中心部を封鎖し、サーキットを建設するのは難しい。つまりモナコについては、5月以外に開催する可能性はないと言えるだろう。

 スペインも、延期開催の可能性は低い。同グランプリは1年限りの契約であり、このレースについては経済的な問題が常につきまとっている。プロモーターも8月にレースを開催することについては積極的ではないだろう。

 そういう状況もあり、もっとも可能性が高いのがオランダGPということになろう。ひとつの候補は8月9日開催で、ハンガリーGPと連戦ということになる。8月23日という可能性もあるが、そうなるとベルギー、イタリアも含めた3連戦ということになる。また天候の面でも8月の方が当初の予定である5月よりも断然良く、さらにサーキットは開催準備を整えるために3ヵ月の猶予期間が与えられることにもなる。

 ただ懸念点もある。ザントフールトは海辺のリゾート地であるため、8月の週末ともなれば周辺のホテルはすでに予約でいっぱいである可能性が高い。そんな時にF1サーカスが押し寄せれば、混乱が生じる可能性も否定できない。一方、5月に観戦を予定した人々が、すでに8月に別の予定を入れていたとしても、それは問題にはならないだろう。なぜなら、返品されたチケットが再販売されるのを待っている人が、大勢いるのだから。

 なお7月26日に開催するという案もある。それでもイギリス、ハンガリーとトリプルヘッダーを形成することになるが、8月の夏休みを変更せずに済むということになる。

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Max Verstappen, Red Bull RB8

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Photo by: Red Bull Content Pool

 この8月に、フライアウェイのレースを移動するのは難しい。不可能ではないが、おそらく可能性は低いと言わざるをえないだろう。欧州でのレースの狭間にアジアに行くのは、物流的には大移動ということになってしまう。

 キャリーCEOはそのほか、オーストラリア、バーレーン、ベトナムの各グランプリに関しても、代替日程を検討しているはずだ。ただその中で、オーストラリアに再度F1がやってくるということはありそうもない。同地に、年2回にわたってサーキットを組み立てる余裕はないだろう。

 F1のオーナー企業であるリバティ・メディアにとって、なんとかして開催したい最有力のグランプリはベトナムであるはずだ。しかし、同グランプリのサーキットは市街地コース。常設サーキット以上に、代替日程を確保するのが困難である。

 現時点で最終戦は、11月29日開催のアブダビGPとなっている。しかしアブダビは、最終戦を開催するという特権を手にしている。ただ、アブダビが12月6日、もしくは12月13日に移動させることができれば、開催が可能な週末を追加することができる。ただそうなった場合、もしバーレーンがこの時期に移動するということになれば、中東連戦ということになる。これは、ほぼ隣国とも言える双方の国にとっては、魅力が半減することになってしまう。

 もうひとつの選択肢は、アブダビGPの日程を変更せず、11月22日にレースを追加して、ブラジルから続く3連戦を作るということだ。

 日本GPは単独で設定されているイベントで、その前後の週末には何のレースも予定されていない。しかしいずれの週末も、もしグランプリを追加してしまえば4連戦ということになり、あまり現実的ではない。

 もしアゼルバイジャンでの開幕ということになれば、夏にオランダGPを延期し、シーズン終盤にフライアウェイ戦を1戦追加する……それが現実的な形だと言えるだろう。そうなった場合、年間のレース開催数は17戦となる。

 あるチームの代表は金曜日、開催レース数の目標は18戦であると語った。しかしそれを達成するには、既存の日程を入れ替えるなど、多大な妥協が必要となるだろう。簡単なことではない……。

 

 

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The Red Bull Racing garage in the pit lane

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Photo by: Andy Hone / Motorsport Images

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