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F1メカ解説|予算制限への対策! 各チームは新パーツを投入せず、どうやってマシンに”変更”を加えるのか?

F1チームは、予算制限レギュレーションへの対策として、新パーツを投入せずにパフォーマンスを向上させる方法を模索している。

George Russell, Mercedes F1 W14

写真:: Steve Etherington / Motorsport Images

ジョルジョ・ピオラ【F1メカ解説】

Analysis provided by Giorgio Piola

 現在のF1は、年間に使うことができる予算の上限額が、レギュレーションによって規定されている。特にトップチームにとっては、その制限額は厳しく、支出をなんとかして抑えなければいけない。レースごとに新パーツを投入するような余裕はないのだ。

 この状況に対処するため、各チームは新パーツを投入せずに、パフォーマンスを向上させる方法を模索している。本稿では、マイアミGPで見られた、各チームの予算上限への対策を見ていく。

Mercedes W14 comparison - Miami

Mercedes W14 comparison - Miami

Photo by: Uncredited

 メルセデスはマイアミGPのフリー走行で、ルイス・ハミルトンとジョージ・ラッセルのマシンを、異なるパッケージで走らせ、比較テストを行なった。

 ハミルトンのマシンは、リヤウイングの翼端板の上端角に、隙間を埋めてしっかりと角を設けるパネルを装着。一方ラッセルのマシンは、通常の切り欠きが存在していた。この違いにより、リヤウイングの外側の部分の挙動に差が生じる。

 しかしこれらのリヤウイングは、まったく違うモノをマシンに取り付けたわけではない。リヤウイングの基本的な部分は、ハミルトン車もラッセル車も同じ。しかし、上端角の部分のみが別パーツ化されており、ここに取り付けるパーツを変更することで、リヤウイングの特性を変えようとしているのだ。

 この考え方は、予算制限への対策である。リヤウイングを仕様によって全て作り替えるとなると、多大なコストがかかる。しかし、必要な部分だけを変える形にすれば、その部分のパーツのみ複数用意すればいいため、製造コストを大幅に削減することが可能だ。また、セットアップを変更する際のスピードアップにも繋がる。

 メルセデスはフロントエンドの空力仕様も、2台で分けた。ラッセル車のフラップは、通常の後端が揃ったモノだ。しかしハミルトン車のフラップは、内側の部分の後端に切り欠き(青い矢印の部分)が設けられ、空気抵抗を削減した。

 これはフロントとリヤのダウンフォースバランスを取るための手法。フロントウイングのフラップに切り欠きを設ける方法は、アゼルバイジャンGPでアルピーヌも採用したモノだ。

 ハミルトンはこのフロントウイングとリヤウイングで、決勝まで走った。一方でラッセルは、リヤウイングはこのフリー走行で使った仕様をずっと使ったが、フロントウイングはハミルトンがフリー走行で使ったモノを採用した。

Williams FW45 rear and beam wing comparison - Miami

Williams FW45 rear and beam wing comparison - Miami

Photo by: Uncredited

 ウイリアムズも、2台のマシンのセッティングを変えて、フリー走行を走った。彼らは、リヤウイングのメインプレーン&フラップと、ビームウイングにどのように仕事をさせるか、それを検証していたようだ。

 アレクサンダー・アルボンのマシンには、ダウンフォースが比較的大きなリヤウイングが装着されていた。しかしその反面、ビームウイングは1枚のみであった。つまり、リヤウイングでより大きなダウンフォースを発生させようとしていたのだ。

 一方でローガン・サージェントのマシンは、リヤウイングは全体的に薄い代わりに、ビームウイングが2枚になっていた。つまりビームウイングの方でより大きなダウンフォースを発生させようとしたのだ。

 最終的には、サージェントのマシンもアルボンと同じセッティングに切り替えることになった。チームは、ビームウイングを1枚にすることでストレートスピードを稼ぎ、リヤウイングである程度のダウンフォースを得ようとしたのだ。

Aston Martin AMR23 cooling panel options

Aston Martin AMR23 cooling panel options

Photo by: Uncredited

 ウイング以外の大きなパーツの一部を別パーツ化してきたチームもあった。その一例がアストンマーチンだ。

 アストンマーチンは、マイアミ・インターナショナル・オートドロームの特性に対応するため、エンジンカウルの冷却用開口部を変更してきた。

 この冷却用の開口部には、複数のパターンが用意されている。この開口部周辺のパーツを変えるだけで、冷却性能を上げたり、抑えたりしているわけだ。

 マイアミのような気温が上がるサーキットでは、開口部を大きくし、冷却性能を引き上げたい。しかしそれでは、空力効果が劣ってしまうかもしれない。そのため必要最低限の冷却性能を確保すべく、この部分に様々なパネルが用意されているのだ。ここに上げた写真は、その一部だ。

Red Bull RB19 asymmetric engine cover cooling

Red Bull RB19 asymmetric engine cover cooling

Photo by: Uncredited

 レッドブルは今シーズン、左右非対称の冷却開口部を採用することがある。マイアミでは、右側のみ小さな開口部を開け、ルーバーを取り付けた。

 ただフリー走行では、このルーバーを複数仕様試し、予選と決勝に向けた最適解を模索した。

Ferrari SF-23 outer floor and fence comparison (highlighted)

Ferrari SF-23 outer floor and fence comparison (highlighted)

Photo by: Uncredited

 フェラーリは、レッドブルとの差を縮めるべく、今後のレースで次々に新パーツを投入する予定だ。

 それは一度に全てを投入するわけではなく、複数回のグランプリに分けて投入されていく予定だ。

 マイアミでは、上面と下面に複数の変更を加えた新しいフロアを投入した。

 この新しいフロアは、前端および側面のフェンスの形状が変更され、前端の膨らみの形状も異なる仕様になった。この膨らみの変更に伴い、前端のフロアフェンスの端も変更された。

 フロアの形状が変化することで、当然マシン上面の気流に影響を及ぼす。しかしそれ以上に重要なのはフロアの裏面。膨らみを変えることにより、フロア下で使えるエリアを拡大しているモノと思われる。そしてその効果をさらに高めるために、フロアフェンスの形状も最適化されているのだろう。

Ferrari SF-23 floor detail

Ferrari SF-23 floor detail

Photo by: Giorgio Piola

 またフロア端の様々な部分の形状にも、微妙な変更が加えられた。サイドポンツーンが最も左右に張り出したあたりには、上方に向かって巻き上げられるようになった部分が存在するが、この部分も形状が変わっている。また、リヤタイヤに向かって細くなっている部分も、マイアミでは微妙に変わっている。

 
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