F1メカ解説|平均250km/h超! 超高速ジェッダに、レッドブルはどう対応したのか?
F1サウジアラビアGPの舞台となったジェッダ市街地サーキットは、超高速コーナーと3つのDRS区間を伴うレイアウトであるため、ダウンフォースレベルの選択が、通常よりも重要だった。それに対応すべく、各チームは苦悩した……。
写真:: Giorgio Piola
ジョルジョ・ピオラ【F1メカ解説】
Analysis provided by Giorgio Piola
2021年の12月、サウジアラビアで始めてF1が開催された。舞台となったのは、ジェッダ市街地サーキット。1周6km以上という長さだけでなく、27ものコーナーが存在するにも関わらず、超高速であるレイアウトが話題となった。
しかしこのレイアウトはただ速いだけではない。高速コーナーが散りばめられているため、ダウンフォースもしっかり必要だったのだ。しかしその一方で、長いストレートも存在。コーナーを重視してダウンフォースをつけてしまえば、ストレートスピードを犠牲にしてしまうし、逆にストレートスピードを重視しすぎるとコーナー区間が苦しい……各チームは、ダウンフォースレベルをどうするかという難問に立ち向かわねばならなかった。
現行のF1マシンでは、DRSを使うことができる。ジェッダ市街地サーキットには、3箇所のDRS区間が設定されたため、基本的なウイングのセッティングはハイダウンフォース仕様とし、直線区間ではDRSを開いて最高速を伸ばす……ということも考えられる。しかしDRSを使えなければ、その速度差は顕著。特に決勝レースでは、ライバルに簡単にオーバーテイクされてしまうことになるだろう。
では各チームはこの難題にどう対処したのか? レッドブルの事例を見ていくこととしよう。
Red Bull Racing RB16B rear wing detail
Photo by: Giorgio Piola
レッドブルは過去数戦、リヤウイングに関して苦労してきた。これに対処するためには、ミディアムおよびハイダウンフォース仕様のウイングに、多くの修正を加える必要があった。
また最近では、DRSを開いた時にフラップが振動してしまうという問題にも見舞われた。これを防ぐために、チームは様々な対処をしてきた。
そのレッドブルはFP1でミディアムダウンフォース仕様のリヤウイングを装着し、レースに向けた準備をスタートさせた。しかしFP2以降はローダウンフォース仕様のリヤウイングに交換した。いずれのウイングも、メインプレーンの翼端部は、中央部よりも薄くなっていて、空気抵抗をできるだけ少なくするよう工夫されている。
一見するとよく似ているように見えるふたつのウイングだが、これをより簡単に区別できる要素が、実はいくつか存在している。
Red Bull Racing RB16B rear wing comparison
Photo by: Giorgio Piola
この中でも最も明白なのか、メインプレーンの湾曲が、ローダウンフォース仕様の方がより急激なカーブを描いているということだ。しかも翼端板との接続部分は、ローダウンフォース仕様の方が高い位置になっている。これは、翼端板の紺色に塗られている位置を基準にすると分かりやすいだろう。
またレッドブルのハイダウンフォース及びミディアムダウンフォース仕様のリヤウイングは、翼端板にスリットが入れられたり、アップウォッシュのストレーキがつけられたりと、非常に複雑な形状になっている。しかしローダウンフォース仕様では、この多くが排除され、よりシンプルな形状になる。
なお予選でフェルスタッペンは、フラップにつけられたガーニーフラップの翼端部分を取り外してきた。これによってさらに空気抵抗を減らし、最高速を伸ばすように振ったのだ。一方でチームメイトのペレスは、フラップ後端の全幅にわたってガーニーフラップをつけたまま予選に望んでいた。
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