F1 オーストラリアGP

今季のピレリF1タイヤはひと癖アリ? チームに求められる”グリップ”の見極め

今季から導入された新しいサイズのピレリタイヤは、これまでとは異なる特性を持っているようだ。いかにうまくタイヤを使いこなすかが、チームのパフォーマンスを大きく左右することになる。

Adam Cooper

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公開日時: 2022/04/19 10:43

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Charles Leclerc, Ferrari F1-75

 レギュレーションが大きく変更され、すでに3レースが実施された2022年のF1。各チームは新型マシンの理解を深めると共に、これまでとは特性が異なるタイヤを何とか使いこなそうとしている。

 開幕戦バーレーンGPでは、各チームが予想よりも激しいタイヤの摩耗に苦しんだ。ほとんどのマシンが3ストップでレースを走り切るという、近年あまり見られないようなピットストップ回数だった。

 続く第2戦サウジアラビアGPで不思議だったのは、予選のアタックでユーズドのソフトタイヤを使った方がタイムが出るというドライバーが何人もいたことだ。

 最終的にポールポジションを獲得したのは、ニュータイヤを装着したレッドブルのセルジオ・ペレスだったが、フェラーリのカルロス・サインツJr.などはあえてユーズドタイヤを使用した。

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 ピレリのF1担当者であるマリオ・イゾラは、これは2022年製タイヤのグリップ回復特性によるものだと語っている。この特性は、今季の他のレースの予選でも、チームにとっての課題となり続けるだろう。

 これまでは、新しいタイヤを最大限に活用することに全力を注げば良かったが、これからは各サーキットでのフリー走行で、ユーズドのソフトタイヤが予選で優位に立てるかどうかを見極めなければならない。

 第3戦オーストラリアGPの予選でも、タイヤの性能を引き出すために各チームが工夫をこらしている様子が見てとれた。ピットから出た後、最初のアタックでタイムを出しにいったドライバーもいれば、準備に2周かけるドライバーもいた。

 このように、2022年型のタイヤはいくつかこれまでとは異なる特徴を持っているようだ。そのため、各チームは新しいサーキットに訪れるごとに、タイヤの挙動について学習を重ねていかなければならないのだ。

「予選では、いくつかの異なる状況が見られた」と、イゾラはサウジアラビアGPの週末をそう振り返った。

「ソフトタイヤで2周の準備走行をするチームもあれば、(同じ)ソフトタイヤで2回目のアタックを行なうチームもあった。昨年を思い出せば、そんなことは一度もなかった」

「タイヤのグリップは回復する。もしそうでなければ、もうそのタイヤは使わないのだから」

「それはプラスアルファの要素だ。どの程度の影響があるのかはまだ分からない。サーキットが変われば、特性も違ってくるからだ」

McLaren Google Chrome tyre detail

McLaren Google Chrome tyre detail

Photo by: Erik Junius

 イゾラは、ユーズドタイヤがサウジアラビアで速さを発揮したのは、ドライバーの自信も影響していたからだと考えている。レギュレーションが変わり、マシンの挙動も大きく変わったからこそ、ドライバーの自信が従来よりもタイムに大きく影響している可能性があるのだ。

「新品のソフトタイヤは最初、グリップが高く、それがスナッピーな挙動につながっていたと思う」とイゾラは言う。

「特に壁の近いコースでは、ドライビングがトリッキーになる。どんなミスも許されないからだ」

「ユーズドタイヤは、グリップのピークを少し失い、その分ドライバーのフィーリングを良くしてくれる。ドライバーは少しだけ攻撃的になれるし、よりプッシュできる。もしタイヤにデグラデーションがなければ、ドライバーがより自信を持つことができるんだ」

「昨年は、ソフトよりもミディアムのほうが速く走れるというドライバーもいた。 というのも、トレッドの動きが少なく感じられたからだ」

「今年はユーズドの方が自信を感じられるというドライバーがいて、だからその方がラップタイムが良いという人たちがいたんだ。でもチェコ(ペレス)のように新しいソフトのスイートスポットを見つけることができれば、ラップタイムは出たんだ」

 また今季から、決勝のスタートタイヤ選択が予選順位に関わらず自由になったことで、サウジアラビアGPの決勝レースでは、ソフトタイヤが全く使用されなかった。

 第3戦オーストラリアGPでは、ミディアムタイヤよりもソフトタイヤが2段階やわらかくなっていた。ミディアムタイヤがC3コンパウンドなのに対し、ソフトタイヤは今季初登場のC5タイヤが使われた。

 この選択により、ピレリはあえてソフトタイヤでレースをスタートするドライバーもいるのではないかと期待していたが、実際には多くのドライバーがミディアムタイヤでスタート。途中で1度ピットストップし、ハードタイヤに履き替えてフィニッシュを目指す戦略が多数派だった。

 一方でハードタイヤで走り続け、ラスト1周だけソフトタイヤを履いたのがウイリアムズのアレクサンダー・アルボンだった。終始好ペースで走り続けたアルボンは、最後尾からスタートし10位に入賞した。

 摩耗が激しかったバーレーンGPのミディアムタイヤと、アルボンが57周を走破したオーストラリアGPのハードタイヤは、同じC2のコンパウンドを使っている。コースごとにタイヤがいかに違うパフォーマンスを見せるのか、お分かりいただけるだろう。

 今季のタイヤのもうひとつの特徴として、イゾラはロックアップに強いタイヤになっていることを挙げ、レース展開の幅を広げることにつながっていると語った。

「13インチのタイヤと比べると、ロックアップによるトレッドへのダメージはかなり少なくなっている」

「これはおそらく、タイヤの構造とクルマの剛性との兼ね合いだろう」

「クルマの剛性が高ければ、荷重移動もしっかりとしたモノになる。つまり負荷のかかっていないタイヤをロックさせても、ダメージが少ないということだ」

「これだけでなく、路面の粗さやスピード、セットアップなど、いろいろな要素が関係してくる。でも、現実的にロックアップが生むダメージが少なくなっている」

 18インチ化され、見た目が変わっただけではなく、その挙動も変わっている今季のタイヤ。いかにうまくその特性を読み切り、パフォーマンスを引き出すかは、今後のレースでも重要となってくるだろう。

 

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