F1メカ解説|ハミルトン、フェラーリで使うステアリングを”メルセデス風”に変更
2025年シーズンからフェラーリに加入したルイス・ハミルトンは、ステアリングホイールのレイアウトを変更するよう、チームに求めたようだ。
Ferrari SF-24 steering wheel
写真:: Erik Junius
今季からフェラーリに加入したルイス・ハミルトン。これまで数々の実績を残してきたハミルトンが新天地、しかもF1の歴史そのものとも言えるフェラーリでどんな活躍を見せるのか、大いに注目が集まっている。フェラーリはそんなハミルトンが慣れ親しんだモノに近くなるよう、ステアリングホイールのレイアウト調整を実施している。
ハミルトンは2013年以降メルセデスでずっと過ごしてきたドライバーであり、そのシステムに慣れ親しんできた。しかもデビュー以来ずっとメルセデス製のエンジン/パワーユニット(PU)を搭載するマシンに乗り続けており、それ以外のPUを走らせるのは、今季が初めてである。
特に2014年に現行のハイブリッドPU規則が始まって以来、そのコントロールとステアリングホイールのシステムは密接に結びついている。
ハミルトンはマクラーレンからメルセデスに移籍した際にも、ステアリングホイールのデザインが「あまりにも複雑すぎる」と主張し、デザイン変更を依頼。チームはそれに応えた。
フェラーリでも、同じようなプロセスが採られているようで、シャルル・ルクレールが使っているのとは異なるデザインのステアリングホイールを使うようだ。ただ、もっとも顕著なデザイン変更はステアリングホイールの背面で、表面はチームメイトのものとよく似ている。
フェラーリはこれまでも、ステアリングホイールの形状とソフトウェア構成の両面で、システムと操作手順の調整に関して、常にドライバーの要求に応えようとしてきた。2015年から2020年にセバスチャン・ベッテルが在籍していた当時にも、ベッテルの要求に応える形で何度もそんな変更に対応してきた。このベッテルの求めに応じて作られたステアリングホイールが、現在ルクレールとハミルトンが使うステアリングホイールの基になっている。
Ferrari steering wheel comparison 2025
Photo by: Gianluca D'Alessandro
ハミルトンは、メルセデスでの経験で培った感触を失うことなく、可能な限り最高のモノを見つけられるように、ボタンのレイアウトとステアリングホイール背面に設置されているギヤシフトとクラッチをコントロールするためのパドルに変更を加えた。
ハミルトンのステアリングホイールの背面を見ると、ルクレールのモノと比較して顕著な違いがみられる。
この違いは主に、メルセデスで使われていたデザインに起因している。ドライバーがかつてのチームで使ったステアリングホイールから、一部の特徴を引き継ぐのは、珍しいことではない。筋肉が記憶している操作を再現するのに役立つからだ。
Mercedes W14 steering wheel detail
Photo by: Giorgio Piola
フェラーリのハミルトン用ステアリングホイールのシフトパドルは、形状が完全に変更され、ルクレールのモノとは大きく異なる。
パドルはより薄く、高めの位置に設定されている。また指で操作しやすいように、縁の部分が異なる素材でコーティングされている。
一方でルクレールのステアリングは、デビュー以来慣れ親しんできたレイアウト。シフトパドルは大きく、ハミルトンのモノよりも低い位置に配置されている。
クラッチパドルにも違いがある。ハミルトンは2019年以来、ひとつのパドルでクラッチを操作することに慣れてきており、フェラーリでも同じ構成を取り入れている。ルクレールのパドルと比較しても、指を置くケースやパドル自体にも違いがある。指を置くケースに関しては、ハミルトンの求めに応じて3Dプリントを用いてカスタムメイドされている。
Comparison of Ferrari 2025 steering wheels - front
Photo by: Gianluca D'Alessandro
ステアリングホイールの前面にあるボタンとダイヤルの配置も、ハミルトンのモノはメルセデス時代のモノと似た形に変えられた。これは、フェラーリのエンジンの操作が、メルセデスとはまったく異なる哲学に従っているためであるようだ。ステアリングホイールの下部にあるセレクターに関しては、特にその傾向が強い。
フェラーリのステアリングホイールには、セレクターが6つ配置されていた。しかしメルセデスはこれを3つのダイヤルにまとめ、複数のサブメニューをドライバーが素早くコントロールできるようにしている。
ハミルトンのステアリングは、バッテリー充電用の”チャージ(CHR)”ボタンを左上に配置。その横にサブメニューを操作する「10-」ボタンと、ニュートラル(N)ボタンが置かれている。チャージボタンの下にはDRSの作動ボタンがあり、これはハミルトンがメルセデス時代に使っていたのと同じ配置だ。
ステアリングホイールの右側には、”ピット確認”ボタン(PC)が置かれている。これはドライバーたちが、ピットレーンに入る前に押し、ピットストップの確認をする時に使うことが多い。その近くには、ナビゲーションを選択するボタン(1+)や、ピットレーンのスピードリミッター(P)、ラジオボタン(RADIO)などがある。
K1と表示されたボタンも、ハミルトンのステアリングホイールでは前面に配置。これはパワーユニットの電動ブーストを起動するためのものだ。
デファレンシャル、エンジンブレーキ、ブレーキバランスのコントロールも、メルセデス時代のものを再現している。
コーナーエントリー時のデファレンシャル設定を選択するダイヤル(ENTRY)はステアリングの左に、高速時のデファレンシャル設定選択のダイヤル(HS)は右に存在。いずれも親指で操作しやすい位置である。
ディスプレイの左隣にはブレーキ調整用のコントロール(BMIG)があり、ディスプレイの右隣にはブレーキバランスコントロール(BBAL)がある。
電気系統を管理するSOCは、ステアリングホイールの下部に移動したようだ。これは2015年以降では、フェラーリでは誰もやってこなかった設定だ。
画面に関するソフトウェアも更新され、エンジンやタイヤの状態などに関するデータ表示のレイアウトが、ルクレールが使ってきたものとは異なっている様子だ。
Charles Leclerc, Ferrari, Lewis Hamilton, Ferrari
Photo by: Sam Bagnall / Motorsport Images
ハミルトンはバーレーンテストを前に、ステアリングホイールについて語り、新しいチームでは「たとえばステアリングはまったく違う」し、「マシンに乗り込んですぐにフィットするようなことは滅多にない」と認めた。
さらにハミルトンは、「スイッチの設定は全く違う」と付け加え、「ソフトウェアも違うし、これまで使ってきたモノとはまったく違う作りのマシンに適応しているんだ」とその苦労を明かした。
今季ハースからF1にフル参戦デビューするオリバー・ベアマンも、ハミルトンのステアリングに関する要望に注目している。ハースは技術提携を結んでいるため、フェラーリと同じシステムを使っているのだ。
「とても興味深かった」
ベアマンはそうバーレーンで説明した。
「彼がステアリングホイールを少し変更することは分かっていた。それは毎年のことだ。そして興味本位だけど、彼がどんな変更を加えたのかを見ていた。僕はそういう面で、ちょっとオタクなんだ」
Additional reporting by Oleg Karpov
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