古豪フェルナンド・アロンソの辞書に“衰え”の文字なし。彼が「50歳まで現役続行可能」と考える理由とは?
2度のF1王者であるフェルナンド・アロンソは50歳までF1に参戦できるかもしれないと考えている。その背景には彼が取り入れた食生活とトレーニング方法の見直しが関係しているようだ。
2001年にF1デビューを果たし、F1世界王者にも2度輝いたフェルナンド・アロンソ。現在42歳になった彼は、全盛期の30代を過ぎればパフォーマンスが低下していくものだという定説を覆してきた。
そしてアストンマーティンとの現契約が今年限りで満了し、F1での次なるステップを考える今、アロンソは「50歳まで走ることができるかもしれない」と語っている。
その背景にはアロンソが行なった、食生活の見直しと新たなトレーニング方法の実践が関係している。そして最近クリニックで受けた年に1回のメディカルチェックによって、まだまだ第一線で戦えるという確信を得た。
このメディカルチェックでアロンソは、衰えが予想外に止まっただけでなく、過去最高のコンディションにあることが証明されたという。
「僕らはいつも同じテストをするんだ」とアロンソは言う。
「最初はイタリアのアルプス山脈で行なう。1km、2km、5kmの有酸素運動をした時や安静時の身体の状態、脂肪や筋肉に関する千差万別のテスト、ライトを使った反応(動体視力)、ジムでウェイトを使った最大重量など、僕の身体パフォーマンスに関する過去のデータがある」
「ここ5〜6年のテストでは、パフォーマンスの低下がほとんど見られなかった。特に筋肉は30〜35歳から少しずつ落ちていくものだからね。今年は筋肉を最大レベルまで回復させることができた。その理由のひとつは栄養面の変化にある」
「年齢的な要因を補うために、有酸素運動における反応性や持久力を失うことなく、筋力を少し増やそうとした。これは驚くべき結果だし、とてもポジティブなことだと思う」
Fernando Alonso, Aston Martin Racing
Photo by: Aston Martin Racing
アロンソは2024年マシンの発表会前に行なわれた取材会で、アストンマーティンが栄養士を配属したことによる恩恵について語った。
そしてアロンソはベジタリアンへの移行を示唆しつつ、食生活の見直しによって「物事の見方や身体を整える方法が少し変わった」と語った。
「より良い説明という点で、彼らが知っていることは沢山ある。植物ベースの食事に変わっていくかもしれない」とアロンソは説明する。
「完全に厳密ではないかもしれないけど、食べるモノや体内に蓄えていたところからもう少しエネルギーを得て、そこからもっと持久力を得ようとしている」
アロンソが重視しているもうひとつの要素は、グランプリのない週末に体力や気力を消耗しないことだ。アロンソはオフシーズン中、プロモーションイベントを減らして質の高い時間を過ごそうとしている。
「昨年はシーズンが例年より早く終わったから、トレーニングに費やす時間が多かったのは事実だけど、以前よりずっと落ち着いてトレーニングができた」とアロンソは説明する。
「冬はいつも何かとやることがあった。プロモーションイベントがあったり、チームを変えてファクトリーでやることがあったりした。今回は自分のための時間もあったし、他のクルマに乗ることもできた。そのおかげで、このプレシーズンを人生で最高の状態で迎えることができたんだ」
Fernando Alonso, Aston Martin AMR23
Photo by: Glenn Dunbar / Motorsport Images
アロンソは2024年シーズン中の移動についても、新しいアプローチを取り、家を離れる時間を最小限に留めることを目指している。
「より効率的に移動して、適切な場所で適切な時間を過ごす必要があると思う」とアロンソは言う。
「ひとりひとり違うと思うけど、僕の場合はこのカレンダーを過ごす中、その都市、そのサーキットで過ごす長い時間を少し短くしようと思っている」
「日本、オーストラリア、中国などでは、時差ボケとの戦い方を変えようと思っているんだ。かなり早い段階から現地入りすることはない。時差ボケがあると家から離れている日数が長くなるからね」
これら全ての要素が重なり、オフシーズン中のメディカルチェックの結果も加わって、アロンソは今後も長年に渡ってレースを続けることができると確信している。
「数年前なら、40歳や41歳が限界だと話していたはずだ」とアロンソは言う。
「でも昨年の自分自身がパフォーマンスもモチベーションも高かったことから、今はまだ数年はレースを続けられると考えている」
Fernando Alonso, Aston Martin F1 Team, 2nd position, with his trophy
Photo by: Patrick Vinet / Motorsport Images
「この冬にしても、フィジカルテストやあらゆる面で期待以上の結果を残せた。だからモチベーションがあって本気でやるというなら、48歳や49歳、もしくは50歳まで走ることができるかもしれない」
「でも同時に、そうなると人生の様々なことを諦める必要もある。F1をするには全力じゃなきゃいけない。僕はもうF1を24シーズンだかやっていて、24年間をこのスポーツに捧げてきたことになる。それは幸せだし、僕はそれでOKだ。まだ数年は続けられるよ」
「ただ、これほどに長いカレンダーのもとで、50歳までレースを続けられるかは分からない。能力のせいじゃなく、人生において他のことにも興味はあるからだ」
しかしアロンソの場合、50歳までF1で現役を続けるということがあり得ないなんてことはあり得ない。
Additional reporting by Mario Galan
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