スペインGPで始まるF1ヨーロッパ3連戦。チームにとっては輸送問題が悩みのタネに?

今週末のスペインGPで幕を開ける2024年最初の3連戦を前に、F1チームは物流面での課題に頭を悩ませている。

Paddock preparation

Paddock preparation

写真:: Erik Junius

 かつて新型コロナのパンデミック前には異例だったF1の3連戦も、今では当たり前となってしまった。今週末の第10戦スペインGPを皮切りにオーストリアGP、イギリスGPが開催されるのだ。

 またシーズン終盤には、アメリカ~メキシコ~ブラジルの3連戦の後、ラスベガス~カタール~アブダビの3連戦でシーズンを締めくくるという厳しいスケジュールが待っている。

 アメリカ大陸と中東を飛び回るふたつのフライアウェイ3連戦が物流面で大きな挑戦となるのは言うまでもないが、これから始まるヨーロッパ3連戦も成功させるのが難しい挑戦だと言える。

 チームはすべての物資をトラックで輸送するが、ドライバーの最大運転時間や、サーキット周辺での物流面での制限など、チームは複雑なパズルを解くような挑戦に挑んでいるのだ。

 ブレクジット後の世界では、イギリスとフランス間の通関でかかる時間を考慮しなければならないことも、チームの頭痛の種になっている。

 メルセデスのレースチーム・ロジスティクス責任者であるカール・ファンソンは、チームに求められる作業についてmotorsport.comに次のように説明した。

「オーストリアからシルバーストンまでは、日曜日の夜にサーキットでシャシーを解体し、火曜日の朝にはファクトリースタッフが作業を開始できるようにファクトリーに戻ってこなければならない」

「税関の手続きを経なければならない関係で、予定通りに帰ってこられるよう、トラックはドライバー3人体制にしなければならない。1時間以内に通関を通れることもあれば、2時間も3時間も待たされることもある」

「事務処理もその管理の作業も膨大になった。以前はトラックを二人体制で走らせていたが、彼らは21時間までしか走らせられないので、その間にファクトリーに戻れる保証はない」

Red Bull and Mercedes truck in the paddock

Red Bull and Mercedes truck in the paddock

Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images

 今季はエミリア・ロマーニャGPとモナコGPの間の輸送もかなりギリギリの戦いとなった。モンテカルロは狭く、パドックエリアにトラックとクレーンが一度に1台ずつしか入れない窮屈な場所であるため、各チームがモーターホームと作業スペースを時間内に作り上げることができるよう、厳しい組み立て順序が定められている。

 だがマクラーレンはイモラからの出発が遅れ、雪だるま式にアルピーヌのモーターホーム建設も遅れてしまったのだ。

「今年のモナコは、いくつかのチームにとってちょっとしたチャレンジだった」

「私たちはF1やFIAと協力してタイミングを調整しているが、ほんの少しうまくいかないだけで、その影響は出てしまう。今年のモナコでは、純粋に我々の立場から言えば、イモラから出るのが少し遅れたんだ。モナコはモナコで、トラックを1台入れたら、もう1台は待たなければならない」

 マクラーレンのようなビッグチームにとって、レースからレースへの移動は非常にタイトなスケジュールとなる。メルセデスは、以前DTMで使用していた小型のモーターホームをセカンダリーユニットとしてもう1台配備しており、これが連戦で特に役立っているという。

「我々には先発隊がいて、サーキットに到着したら、引き継ぎを行ない、それから彼らは移動するんだ」

「彼らは木曜日の朝にモナコに向けてイモラを出発し、金曜日からガレージを作り始めていたんだ」

 マクラーレンのモーターホーム・ロジスティクス担当であるデニス・レックは「連戦が難しいことはかなり早い段階でわかっていた」と語った。

「イモラを小さなユニットで走り、モナコで大きなユニットを使うというのはいい決断だった。月曜日にチームがモナコに到着したときには、すべての準備が整っていた。みんなが座って昼食をとる場所もあった」

 輸送におけるサステナビリティの向上も、F1にとって大きな課題となっている。メルセデスは2022年からトラックの燃料にサステイナブル燃料を使い始め、翌年にはHVO100(水素化植物油)で走るトラックでヨーロッパラウンド全体をカバーした。2024年にはマクラーレンも含めHVO燃料の使用を拡大し、サーキットでの発電機の燃料もHVOで賄うようになった。

 メルセデスはいち早くバイオディーゼル燃料を採用したことで、その調達に余計なコストと複雑さが加わったが、2030年のF1のネットゼロ(温室効果ガスの排出が実質ゼロ)目標に沿った、より持続可能な運営に向けた重要な要素となっている。バイオ燃料への投資は予算上限の対象外で、メルセデスの場合は持続可能な航空燃料への投資もそれに含まれている。

「我々はすべてのトラックにHVOを給油している。正しい方向に向かっている」

 そうレックは語った。

「我々にはペトロナスというパートナーがおり、必要なときに燃料を供給してくれる。アドブルーとHVOを使用するステージV発電機に切り替えたことで、燃料を約50%削減できる。我々はその面でかなりプッシュしている。HVOは簡単に手に入るものではないので、きちんと計画を立てる必要があるんだ」

F1 truck

F1 truck

Photo by: Sam Bloxham / Motorsport Images

 F1も今年、HVO車両を37台に倍増させ、イギリスからの遠隔放送事業を通じて、レースへの輸送に必要な貨物の量を減らそうとしている。昨年のオーストリアGPでは、HVOと太陽光発電に基づく低排出電力システムを試験的に導入した。

 マクラーレンが従来の大型モーターホーム、マクラーレン・ブランド・センターを縮小して小型のユニットに刷新し、これまでトラック18台を移動に使っていたところ、8台で移動できるようにした。

 ドライバーのランド・ノリスは、マクラーレンが以前使用していた巨大なユニットではヨーロッパでのトリプルヘッダーは不可能だったと認めた。

「今はどうやったらそんなことができるのかわからないよ」と彼はうなずいた。

「ブランド・センターがあったころはダブルヘッダーをいくつかこなしたが、トリプルヘッダーとなると人員を増やし、夜を徹して運転しなければならなかった」

「今もダブルヘッダーのいくつかはそうしなければならないが、先に人を移動させるかか、寝台バスを使い、彼らが休んでいる間にほぼ同じ時間に到着するようにしている」

 2025年は、さらに厳しい挑戦がチームを待ち受けている。イモラとモナコにバルセロナが加わり、3連戦となる予定だからだ。モナコからバルセロナまでの距離は比較的短いが、モナコからすべての機材を時間内に搬出するのは、関係者全員にとって厄介なことだ。

「ホスピタリティ・ユニットは2つ用意されているので、どこに重点を置くかは話し合いで決めることになる」とレックは言う。

「搬出は大きな挑戦となる。日曜夜の撤収の時間帯は何百人ものゲストが走り回ることになるからだ」

 

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