パワー不足を跳ね返せ! アルピーヌ、コンセプト一新の新車に見えない工夫「できることはたくさんある」

アルピーヌは、パワーユニットの出力不足を補うために新車A524に施した数々の対策を明らかにした。

Alpine A524

 アルピーヌは、2024年シーズンに向けてマシンに積極的な改良を進めることを2022年11月の時点で決定。実際、発表されたA524についてテクニカルディレクターのマット・ハーマンは、2023年のマシンから引き継がれるコンポーネントはステアリングホイールだけだと語っているほどだ。

 しかしチームが直接取り組むことができなかった弱点のひとつが、パワーユニット(PU)だ。ライバルたちに対して、ルノーPUがパワー不足であるのは周知の事実であり、その差は30馬力にものぼると言われている。

 PUは開発が2026年まで凍結されている中で、FIAはルノーPUとライバルとの均等化を許可する根拠があるかどうか調査をしたが、最終的にその措置は必要ないと判断された。

 アルピーヌ自身も、レギュレーションが変わる2026年まで問題解決を待たなければならないと分かっているため、時間を無駄にはしたくないと考えている。しかしそれでも、チームはPUに関係する部分の改善に力を注いでいる。

 その一例がPUのパッケージングだ。チームはわずかな利点を見つけるために細部にまでこだわってきた。

「PUが大まかにホモロゲーションされていることは分かっているが、だからといって完全に凍結されているわけではない」とハーマンは言う。

「PUをマシンにうまく組み込むためにできることは、それなりにたくさんある。それが本当に、本当に重要なんだ」

「エンジン周りで行なうすべての作業をどのように維持するかについて、我々は多くの計算を行なっている。例えばテールパイプを統合してサスペンションに与える影響を減らし、トランスミッション周りの圧力損失を減らしているんだ」

「これにより、PUによるすべての仕事がクランクシャフト、そしてリヤホイールに伝えられるんだ」

「ERSユニット、バッテリーパックも後方に移動させ、車重配分を改善した。その重量はかなりのものだ」

 ハーマンによると、チームはトランスミッション・コンポーネントの軽量化にも力を入れ、パフォーマンス向上に貢献しているという。

「トランスミッションからかなりの質量を削減したが、これにはかなりの検証が必要だった」

「PU、すべてのインジェクション・システム、そしてクルマの様々な部分を含むフルパワー・トレイン・システムを備えたフルダイノで検証した。その分析では、3500kmを超える距離を走行している」

Alpine A524 detail

Alpine A524 detail

Photo by: Jon Noble

 A524のエアロパーツには、ウイングやサイドポンツーンなど目に見える変更もあるが、ハーマンによれば、マシン内部の空気の流れにも重要な変更が加えられており、最大限のパワーを引き出すのに役立っているという。

「見えない部分のひとつがボディワークの下で、その下には内部ボディワークと呼ばれるものがある」

 そうハーマンは説明した。

「これによって、サイドポンツーンに入ってからリヤに至るまで、車内を流れるすべての気流をコントロールすることができる。これによって、クルマの冷却挙動を最適化することができるんだ」

「昨年は少しオープンな状態だった。今年はもっといいポジションにいる。そのおかげでマシンの空気抵抗が減り、最適なラップタイムを出せるようになった」

「熱挙動もかなりコントロールされている。例えば、エキゾーストを冷やさないようにしている。エキゾーストを冷やすことは、そのエネルギーを奪うことになるからだ」

「だから、必要なところに空気を使い、必要でないところには空気を使わないようにしているんだ」

「我々は非常にアグレッシブなアプローチをとっている。バーレーンのテストに行けば、自分たちがどこにいるのかがわかると思う」

「我々には引き出せるポテンシャルが非常にたくさんあるし、まだそのすべてを引き出せたわけではないんだ」

 

前の記事 古豪フェルナンド・アロンソの辞書に“衰え”の文字なし。彼が「50歳まで現役続行可能」と考える理由とは?
次の記事 フェラーリ、”進化”した2024年の新車SF-24を発表。95%のパーツを変更し、打倒レッドブルを目指す

Sign up for free

  • Get quick access to your favorite articles

  • Manage alerts on breaking news and favorite drivers

  • Make your voice heard with article commenting.

エディション

日本 日本