PU開発凍結の影響をモロに受け、巻き返す機会を失ったフェラーリ。ミスできない2021年
2020年シーズン、パワーユニットのパフォーマンスの低さにより、苦戦したフェラーリ。今シーズンはそれをどこまで挽回することができるかが活躍の鍵となる。

2020年のフェラーリは、チームの歴史を振り返っても、最大レベルに苦戦したシーズンとなった。コンストラクターズランキングは6位。これは1980年の10位以来となる低迷である。
空気抵抗の大きなシャシーもその足枷となった一因だが、それ以上に問題となったのが、パワーユニット(PU)のパフォーマンスの低さだ。しかもチームはこの問題をシーズン開幕前のテストの段階で認識していたものの、新型コロナウイルスの影響でシーズン中の開発が制限されたため、問題を解決する手段を奪われてしまった。
この開発凍結は、新型コロナウイルスの影響によりレースが予定通り開催できず、各チームの収入が減少したのに対処するため、コスト削減策の一環として行なわれたもの。その結果、シーズン初めに使われたPUを、ほぼそのまま最終戦まで使い続けなければならなかった。1回のアップデートが許されていたのは、MGU-K、ES(エナジーストア)、CE(コントロールエレクトロニクス)のみ……つまりフェラーリが失われたパワーを取り戻す方法を知っていたとしても、それを解決するためにできることは、かなり限られていたというわけだ。
フェラーリのチーム代表であるマッティア・ビノットは昨年末、開発が凍結されていなければ、PUのアップグレードがチームにとっての最優先事項だったと語った。
「2020年、もし開発が凍結されていなかったら、PUはシーズン中に最初に取り組むべきモノになっていたと思う」
そうビノット代表は語った。
「そして2021年になる前、2020年の段階で、確実にアップグレードができていたはずだ。我々が手にしていたはずのアップグレードができれば、少なくともこの分野で最悪のパワーユニットにならないためには十分だったと思う」
2021年に向けては各メーカーともPUを開発できるが、それも2020年シーズン末〜2021年シーズン末の間の1回限りに制限される。つまり一度アップデート版のPUを投入し、そのパフォーマンスが不足していることが分かったとしても、その部分で巻き返すチャンスはほぼないということだ。
メルセデスのテクニカルディレクターであるジェームス・アリソンは先週、この冬はPU開発という面において、チームに多くのストレスを与えていると語った。
「パワーユニットのメーカーは、PUからできるだけ優れたパフォーマンスを引き出す必要がある。そしてその背後には、ミスを犯すことができるチャンスは非常に少ない……そのための激しい努力をしなければならない」
「これまでの数年間、PUにアップグレードを投入できるチャンスが、シーズン中に3回あった。新たなPUを使う度に異なる設計を使用することができた……つまりサーキットに持ち込まれたPUの全てで、パフォーマンスを向上させることができたわけだ」
「2021年には、パフォーマンスのアップグレードを投入できるのは1回だけだ。だからそのアップグレードで、大きくパフォーマンス向上させる……それを間違いなく成し遂げる必要があるんだ」
「その一回のチャンスからできるだけ多くのモノを確実に得るために、PU部門にかかるプレッシャーは本当に高まっているんだ」
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