ハース、スタート前の“英断”で虎の子の1ポイント獲得。舞台裏をチーム代表が明かす
ハースのギュンター・シュタイナー代表は、ハンガリーGPでフォーメーションラップ中にタイヤを替えるという決断をしたのは、負傷によってファクトリーに戻っていたストラテジストだったと明かした。
写真:: Glenn Dunbar / Motorsport Images
F1ハンガリーGPのレース序盤を沸かせたチームのひとつがハースだった。彼らはフォーメーションラップでウエットタイヤからドライタイヤに交換する作戦が成功し、一時は上位を走行したが、それを指示したのはピットウォールにいる人間ではなく、怪我の影響でファクトリーにいたストラテジストだったようだ。
ハンガリーGPの決勝直前は雨の影響で路面が乾ききっておらず、全車がレインタイヤを装着した。ハースもロマン・グロージャンに浅溝のインターミディエイトタイヤ、ケビン・マグヌッセンに深溝のウエットタイヤを履かせていたが、コンディションの好転を見越した彼らはフォーメーションラップ中にピットインしてドライタイヤにチェンジ。彼らの読み通りすぐにドライタイヤの方が速く走れるコンディションとなり、各車がレース序盤で続々とピットインした結果、ハースは3、4番手に浮上した。
その後彼らはライバルチームの追い上げにあって順位を落としたが、マグヌッセンが9位でフィニッシュ。さらにフォーメーションラップ中のピットイン指示が競技規則で禁止されているスタート前の“ドライバー支援”にあたるとして、2台に10秒のタイム加算ペナルティが科されたが、それでもマグヌッセンは10位で、チームに今季初ポイントをもたらした。
今季は昨年以上に苦しいスタートとなっていたハースにとって大きな1ポイントとなったが、この大胆な作戦を指示したのは、オーストリアで負傷してファクトリーに戻っていたストラテジスト、マイク・コールフィールドであった。
ハースのチーム代表であるギュンター・シュタイナーは、コールフィールドについて次のように説明した。
「彼は通常レースに帯同しているが、彼はオーストリアで自転車から転倒して腕を骨折し、(ファクトリーに)戻らなければならなかった」
さらにシュタイナーはフォーメーションラップでの出来事についてこう付け加えた。
「当初、我々は何か違ったことをしないと何も得られないと思っていた。だからケビンはウエットタイヤを試してみたいと思っていたんだ。しかしそれからフォーメーションラップになると、路面が乾いているのが分かった」
「そして我々はふたりのストラテジスト達と少し話をした。その内、イギリスにいる方のストラテジストが、ある段階で『ドライ(タイヤ)で行こう、乾いてきている。これはチャンスだ』と言った。それから非常に迅速な決断をした」
「我々はみんなで話し合って、ただそれをやっただけだ。大それた議論ではなかった。やってみるには良いアイデアだと思ったし、我々に失うものは何もないのだ」
新型コロナウイルス流行によるロックダウンによって、チームの存続すら危ぶまれる状況に陥ってしまったハースにとって、この入賞は大きな報いになったとシュタイナーは言う。
「これは全ての人にとって重要なことだ」
「我々は(開幕戦の)オーストリアに向かうまでに3〜4ヵ月の休暇を取ったが、オーストリアでの結果は控え目に言って素晴らしいものではなかった」
「彼らはサーキットで仕事を始めて3週目になるが、ポイントを獲得してここを去ることは彼らの士気を高める」
「ポイントは彼らがレースチームのために頑張ってきたことを物語る。みんな良い仕事をしたと思う。誰も諦めることはなかったし、それが一番大事なことなんだ」
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