ジョルジョ・ピオラ【F1メカ解説】
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ジョルジョ・ピオラ【F1メカ解説】

シーズン終盤になっても、開発継続トロロッソ。まさに”走る実験室”

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シーズン終盤になっても、開発継続トロロッソ。まさに”走る実験室”
執筆: Giorgio Piola , Featured writer
協力: Matt Somerfield
2018/11/15 9:55

トロロッソ・ホンダは、シーズンが終盤になっても、開発を継続している。来季から始動するレッドブル・ホンダの準備として、フル活用しているようだ。まさに”走る実験室”である。

 来季からレッドブルにもパワーユニット(PU)を供給するホンダ。ある意味勝負の2019年への準備として、今季終盤になっても、様々な開発を推し進めている。その結果、今季ホンダのPUを使うトロロッソは、度々グリッド降格ペナルティを科せられている。つまり実質的には、レッドブルのテスト役を担っているわけだ。

 グリッド後方からのレースが続けば、好結果を残すのは難しい。しかしトロロッソは、シャシーの開発も並行して積極的に推し進めている。

 シーズンが終わりに近づくと、特にトロロッソのような中団グループのチームは、現行マシンの開発を終了させ、翌年用マシンの開発にリソースをシフトするのが常だ。しかし、トロロッソSTR13は、来季からスタートするレッドブル・ホンダの”走る実験室”と化しており、来季から強力なパフォーマンスを発揮するための礎を築いている。

 PUの側面から言えば、ホンダは走るテストベンチとして、トロロッソのマシンを使っているとも言える。しかしこれは、PUの開発を加速させるという面で、大いに役立っている。トロロッソと緊密に開発を進めていくことで、数多くのグリッド降格ペナルティを受けたとしても、積極的にアップデートを投入したのだ。

 このようなPUの急激な変化は、チームにとっても容易なことではない。冷却装置や配管、そしてその他の関連機器など、基本構造から設計し直す必要があるのだ。トロロッソは、これに積極的に協力したとみられる。

 ただトロロッソは、PU載せ替えに応じた開発だけを行っていたわけではない。空力開発の面でも、まだまだ多くのことを行っている。

 最近では、アメリカGPに大きなアップデートを投入。これはドライバーらから高評価を得た。ただ、同GPの初日は天候が悪く、しかも1セットしかパッケージが容易できなかったため、決勝レースでの使用を見送り、メキシコGPとブラジルGPでこのパッケージを実投入した。

 この新しい空力パッケージには、新しいフロントウイングやバージボード、そしてサイドポッドディフレクターパネルなどが含まれている。

トロロッソSTR13のフロントウイング

トロロッソSTR13のフロントウイング

Photo by: Giorgio Piola

 今季のF1マシンのフロントウイングは、実に複雑になっている。もちろん、トロロッソも例外ではなく、何枚ものウイング、フラップ、フィンが組み合わされ、最大限の効果を発揮することが狙われている。来季からは、オーバーテイク促進のために単純化されることとなっており、これほどまで凝った形状のウイングは、一旦今年で見納めということになる。

 なおトロロッソが導入した新しいフロントウイングは、今季多くのライバルチームが採用した処理に近づいた。翼端板が短くなり、これとフラップ端の間に、1枚の翼(赤い矢印の部分)が追加されたのだ。これにより、マシンの外方向に流れる気流を加速させることが目指されているようだ。

 他チームもこの部分の開発を加速させており、たとえばルノーは、翼端板の後端の後方に、無数のフィンが立てられている。

トロロッソSTR13のバージボード

トロロッソSTR13のバージボード

Photo by: Giorgio Piola

 またチームは、マシン側面の気流を改善するために、バージボードとサイドポッド・ディフレクターの新しい組み合わせを試した。

 このバージボードは、今シーズン複数回にわたって改良されてきたものだ。これは大きく2ピースに分かれており、前方のボードには、垂直のスリットが入れられている(赤い矢印の部分)。

 ディフレクターの形状も複雑化し、2枚から3枚へと増加(白い矢印の部分)しただけでなく、フロントタイヤが生み出す乱流とぶつかる箇所の形状を変更した。

 なお注目に値するのは、ディフレクターに付けられた、水平の板状のパーツだ。これには、周辺を通る気流の形状と方向を制御する働きがありそうだ。

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シリーズ F1
イベント ブラジルGP
チーム トロロッソ 発売中
執筆者 Giorgio Piola