インタビュー

F1

【独占インタビュー:アンドレア・ステラ】マクラーレンが最強チームになった理由「誰かひとりではなく、チーム全員の交流が鍵だった」

マクラーレンのアンドレア・ステラ代表が、2年連続コンストラクターズチャンピオン獲得に向けて邁進する現在のチームを率いてきた道のりについて振り返った。

Filip Cleeren

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編集: 2025/08/22 9:03

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Oscar Piastri, McLaren, Andrea Stella, McLaren

Oscar Piastri, McLaren, Andrea Stella, McLaren

写真:: Peter Fox

 外から見ると、アンドレア・ステラのマクラーレンのチーム代表としての任期は、実に順調に見えた。

 2023年シーズンを前に、アンドレアス・ザイドルの後任としてマクラーレンのチーム代表に就任したステラ。このシーズンはレッドブルが圧倒。マクラーレンはシーズン前半はポイント獲得もやっとという状況だったが、後半には表彰台の常連へと急成長し、翌年にはレッドブルを差し置いてコンストラクターズチャンピオンを手にするほどまで変貌を遂げた。その技術革新を指揮したのは、ステラ代表であった。

 その勢いはとどまることを知らず、今季は開幕から14戦中11勝を挙げ、タイトル連覇はほぼ確実といった情勢だ。

 ステラ代表を、マクラーレン復活の立役者と呼ぶことは、決して誇張ではない。ここまで山あり谷あり……決して平坦な道のりではなく、ステラ代表自身も難しい決断を迫られた。しかし本人は、チームの成功を決して自分の功績にしようとは思わない。

「まず第一に、私はチームに加わってから、ひとりで指揮を執ったことはない」

 ハンガリーGPの際にmotorsport.comのインタビューに応じたステラ代表は、そう語った。

「ザクと私は、常に協力し、緊密に連携してきた。そしてチームをまとめ上げ、強い結束力を持つリーダーたちのグループを築き上げてきた」

「この仕事では、難しい決断を下したり、チームを分析して改善策を探る時でさえ、ひとりでやるべきことは何もない。統合すべき分野、そして強化すべき分野はどこなのだろうか? そして少し変革が必要な部分はどこなのか? そうでなければ、我々は決して望むところには到達できない。あるいは十分な速さで到達することはできないだろう」

「これには、常にチームワークが重要だ。もちろん、チームの規模はそれほど大きくはない。でもザクと私は、人材分析と技術面で、非常に手厚いサポートを受けている」

「協調性のない人は、そのそもこのグループに加わることができない」

Andrea Stella, McLaren, Zak Brown, McLaren

Andrea Stella, McLaren, Zak Brown, McLaren

Photo by: Andy Hone / Motorsport Images

「協調性のない人は、このグループに加わることができない」

 ステラが代表に就任して最初に取り組んだのは、主要なパフォーマンスの柱ごとに、異なるテクニカルディレクターを配置する、いわゆる”三本柱構造”を導入することだった。この体制は、昨年春にデビッド・サンチェスが退任して以降、さらに洗練されることになった。ニール・ホールディがエンジニアリング・テクニカルディレクターに就任し、マーク・テンプルがパフォーマンス・テクニカルディレクターに、そしてピーター・プロドロモウが空力担当テクニカルディレクターとなった。これらの変更により、レッドブルから移籍してきたロブ・マーシャルは、チーフデザイナーとしての役割に集中できるようになった。

 その中でも特にマーシャルとプロドロモウは、ステラ代表がマクラーレンがトップに返り咲くために必要だと感じていたことを体現する好例だ。

 マーシャルの場合、ライバルチームから差別化の要因となる人材を発掘・採用すると同時に、マクラーレンがこれまで築き上げてきた優秀なエンジニアリングチームで、以前の縦割りの組織の中で疎外されたり、十分に活用されてこなかったりした人材に権限を与えることも必要だった。この組織構造には、リーダーたちの強い意志と、チームとして意思決定を行なう能力も必要だった。

「まず最初に、チームをマップを使って俯瞰し、世界選手権に活かせる資質とそうでない資質を把握した。同時に、それぞれの分野を率いる主要なリーダーが誰なのかを見極めた。そして最後に、コラボレーションを基盤としてモデルを信じることをした」

 そうステラ代表は語った。

「テクニカルディレクターを3人にすると発表した時、誰が意思決定するのかという疑問が山積していたことを今でも覚えている。私にとって、誰が意思決定するのかは問題ではなかった。なぜなら、私は普段から協調的な考え方をしているので、そういう資質を持たない人は、そもそもチームに加わらないんだ」

「通常の意思決定は、ある段階で独裁者が決定を下すのではなく、蓄積された情報によって行なわれる傾向にある。ザクと私は、それが可能だと信じていた。その後、4人目のテクニカルディレクターとしてロブ・マーシャルが加わったが、チーム内の力学は変わっていない」

「しかし文化的な基盤と行動特性が劣化することは、決してあってはならない。さもなければ、このモデルは破綻してしまう。だからこの働き方を守るためには、社内で起きているいることを注意深く近いし、常に積極的に関わっていく必要がある」

「人間同士の交流こそが、我々の成果に真の意味を与えてくれるんだ」

Andrea Stella, McLaren

Andrea Stella, McLaren

Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images

 チームを率いてきた過去2年半の中で、特に誇りに思えることは何かと尋ねると、ステラ代表は「1000通りの答えがあって、どれも正しい」と答え、さらに次のように続けた。

「マクラーレンがチャンピオンシップを獲得することに貢献できたのは、間違いなくハイライトのひとつだ」

「マクラーレンF1チームの伝統という点だけではない。その喜びと栄誉は、計り知れないよ。そしてチームにいる1000人の人たち、喜びを祝い合った人たちのことも、心に刻んでいる」

「私はフェラーリにいた時にも、数々のチャンピオンシップを獲得してきた。でも今回のタイトル獲得は、本当にみんなが喜んでくれた。誰もが『これは自分たちの功績だ! 自分たちが勝ち取ったものだ。自分が貢献できたし、チームと共に成長することができた』と感じてくれたと思う」

「マクラーレンの全員が、こういう感覚と継続的な進歩を実感できるようにサポートできたことが、私にとっては最もやりがいのあることだ」

「達成感よりも、その過程の方が満足感が大きかったと言える。結局のところ、我々が達成したことに真の意味と意義を与えるのは、人と人の交流なんだ」

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