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角田裕毅のレッドブルでの走りに、97年F1王者ビルヌーブが「過保護がすぎる」と痛烈評価。しかし陣営が来季ラインアップ決定を先送りにしているのはなぜか?

1997年のF1王者ジャック・ビルヌーブが、レッドブルは角田裕毅に対して「過保護すぎる」と痛烈な評価を下した。

Yuki Tsunoda, Red Bull Racing

Yuki Tsunoda, Red Bull Racing

写真:: James Sutton / LAT Images via Getty Images

 レッドブルのローレン・メキーズ代表はメキシコシティGPの角田裕毅の走りについて、「ここ最近では一番良い週末だった」と評価した。しかし1997年のF1王者であるジャック・ビルヌーブは、レッドブルは角田に対して「過保護だ」と批判した。

 角田は今季の日本GPからレッドブルに加入したが、予選では一度もチームメイトであるマックス・フェルスタッペンに勝てていない。獲得ポイントでも大きく差をつけられているのも事実である。

 しかしメキシコシティGPの予選で角田は、Q2敗退を喫したもののフェルスタッペンのタイムに0.211秒差まで接近するタイムを計測した。

 決勝でも、フェルスタッペンをサポートするため、自身にとって最適のタイミングであるタイミングではピットインせず、2ストップ勢をある意味”妨害”できるタイミングまでステイアウト。フェルスタッペンに有利になるよう、ライバルたちからタイムを奪う役割を果たした。

 それでも角田は、確実に入賞を狙えるポジションを走っていた。しかしピットストップ時にリヤのジャッキアップに手間取り、9〜10秒のタイムロス。この時の模様は、DAZNの「Wednesday F1 Time」で公開されている。

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 このロスで角田は入賞圏外に落ち、最終的に11位でフィニッシュした。角田はこのレース終了後、「楽に入賞できたはずです」と語り、メキーズ代表も「角田は実力でもう少しポイントを稼げたはず」だと認め、さらに次のように続けた。

「ユウキはこの数週間で最高の週末を過ごした」

「これまで何度が言ってきたことだが、それは事実だ」

 ただそれに反論する人たちもいる。その先鋒がF1チャンピオン経験者のビルヌーブだ。ビルヌーブはスカイスポーツのポッドキャスト番組に出演し、こう語った。

「チームが『彼は良い週末を過ごした』と言えるのが理解できない。他の週末よりは良かったかもしれないが、本当に良い週末だったと言えるのか?」

 そうビルヌーブは語った。

「彼はまだチームメイトに遠く及ばない。ペースの面でも、獲得ポイントの面でも、そしてマックスのチャンピオンシップ獲得にも貢献できていない」

「それに、彼には既に豊富な経験がある。我々は彼の素晴らしい瞬間を目にしたが、衰え始めているように見える。何らかの理由で、チームは彼を過保護にしているようにも思える」

 レッドブルは2026年のドライバーラインアップを、メキシコシティGP後に決定すると公言してきた。しかし最近では、最終戦アブダビGP後までこの期限を先送りにしたと明言している。

 メキーズ代表はメキシコシティGPの金曜日に、こう発言した。

「ユウキをはじめ、他のドライバー全員に、できるだけ多くの時間を与えたいと思っている」

「過去にはメキシコシティGPの後に決断したいと言ったこともあった。しかし、急ぐ必要はない」

 レッドブルのドライバー人事に強い影響力を持つ、レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコ博士も、「来季のドライバーラインアップはお伝えできない。もう少し待ってから、決めることになるだろう」と、この方針に賛同するコメントを発している。

 しかしビルヌーブはこれについても異を唱えている。

「こういう状況では『経験が必要』だと皆が言う。確かにそうだが、”良い経験”が必要なんだ」

「20年の経験があっても関係ない。優秀でなかったり、十分なパフォーマンスがなければいけないのだ。新しいレギュレーションの理解にも役立たない。十分ではないと分かっている、実績のあるドライバーを起用し続けるのは、なぜなのだろうか?」

「それならば、若いルーキーや異色のドライバーを起用した方が良い。チームに新たなエネルギーと思考プロセスをもたらすチャンスを掴むべきだ。今の状況では、十分ではないことは分かっているはずだ」

 ビルヌーブの指摘はまさにその通りの部分もあるかもしれないが、まさにビルヌーブの指摘こそが、レッドブルが来季のドライバーラインアップ決定を先送りしている理由のひとつであるのではないだろうか?

 マルコ博士は角田をレッドブルに昇格させた時、「RB21は非常に扱いづらいマシンであることも認めなければいけない」と語っていた。それを乗りこなすのには時間がかかる。

 また昨年(2024年)までフェルスタッペンのチームメイトとしてレッドブルのマシンを走らせたセルジオ・ペレスも、「ドライバーを批判するのは好きじゃない。自分も同じ立場だったから、彼らが何を経験しているかはよく分かっている」、「レッドブルでマックスの隣りにいるということがどういうことなのか、人々には理解できないこともある」と、その難しさを語っている。

 しかし角田は、それを徐々にレッドブルのマシンを扱えるようになりつつあり、自分が担うべき役割を果たせるようになってきていると、陣営は判断しているのではなかろうか? そして他のドライバーが、同じ環境に置かれた時に角田以上にパフォーマンスを発揮できるかどうかも未知数だ。

 事実、まだフェルスタッペンには敵わないものの、角田のパフォーマンスは間違いなく向上してきている。ポイントが伴わないのは、重要なところでチームも含めてミスがあったから……今回のメキシコシティGPやベルギーGPは、その典型例であろう。そして今のF1は、パフォーマンス差があってもオーバーテイクするのは実に難しい。これは、メキシコでメルセデス勢がハースのオリバー・ベアマンを攻略できなかったことでも裏付けることができよう。

 とは言え角田には、今まで以上の輝きを見せることが求められているのは間違いない。それが、彼の将来を切り開くことになる。

 今季残りは4戦である。

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