ブラジルでのF1開催に暗雲? 裁判所が”契約の一時停止”を決定

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ブラジルでのF1開催に暗雲? 裁判所が”契約の一時停止”を決定
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F1とサンパウロGPのプロモーターの間で交わされた開催契約は、裁判所の介入に伴い、一時停止されることになった。これにより、同グランプリの開催が危機に直面している。

 ブラジルのインテルラゴス・サーキットでのグランプリは、プロモーターが変更されたことに伴い、2021年から”サンパウロGP”と名称を新たにし、開催されることになっていた。しかし裁判所の介入に伴い、この契約は一時停止に。同グランプリが開催できるかどうかの瀬戸際に立たされている。

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 この決定は、レース開催を確保するために公的資金が使われたこと、そしてこの取引に関する透明性について法的な異議が申し立てられたために下されたものだ。

 2020年の12月、当時F1のCEOを務めていたチェイス・キャリーが、ブラジルでのグランプリの新たなプロモーターと5年の開催契約を結んだことが発表された。そして同時に、このレースは従来のブラジルGPではなく、サンパウロGPと改称されることも明らかにされた。

 バーニー・エクレストン時代に締結された契約では、ブラジルGPのプロモーターは、F1に対して開催権料を支払っていなかった。2020年には新型コロナウイルスの影響でブラジルでのレースは開催されなかったが、同年限りで当時の契約は効力を失う形となった。

 当初2021年以降のブラジルGPは、リオ・デ・ジャネイロに新設されるサーキットでの開催になることが有力視されていた。しかしこれは実現せず、キャリー前CEOは、インテルラゴスでF1を開催し続けるために、別のプロモーターを探す必要があった。その結果、アブダビ政府がムバダラ・インベストメントを通じて支援する”ブラジル・モータースポーツ”という新たに設立された会社がレースを運営することになった。

 このブラジル・モータースポーツは、ロックコンサートやシルク・ドゥ・ソレイユ、PGAトーナメント(ゴルフ)、NBAのプレシーズンゲームなど、ブラジルでのさまざまなイベントのPRに携わってきた、アラン・アドラーという人物が率いる会社。アドラーは元オリンピックのセーリング選手でもある。

 ブラジルGPからサンパウロGPに改称された理由は、新たな契約には地元の自治体からの支援が必要不可欠だったからだ。本来ならばF1は、1国1開催と決められていて、開催国の国名がそのままグランプリ名になる(ヨーロッパGPやパシフィックGPなど、例外もいくつか存在する)。しかし新型コロナウイルスの影響で、カレンダーが大きく変更された2020年シーズンには、地元自治体の支援によって開催されたシュタイアーマルクGPやトスカーナGP、そしてエミリア・ロマーニャGPなど、それぞれの地域の名がグランプリ名として冠された。

 今回サンパウロGPの開催を支援したのは、サンパウロ市。しかし法的文書でそこに使われた金額が明らかになると、これが問題視されることになった。市はサンパウロGPを開催するために、年間2000万レアル(約3億8900万円)を支出していることが発覚。これが高額すぎるとされたのだ。

 この訴訟は、地方議員であり弁護士でもある、ルーベンス・ヌネスによっても指示されている。ヌネス議員は自身のツイッターに、次のように書いている。

「F1はサンパウロとブラジルにとって重要なモノだ。私もF1のファンである。しかし、市が入札なしに、その企業(ブラジル・モータースポーツ)と契約を結ぶことを許すことはできない。この会社はその地域における”専門知識”はなく、F1開催のために数日前に設立されたばかりなのだ」

 この訴訟を担当したエミリオ・ミリアーノ・ネト裁判官は、さらなる調査が行なわれるまで、この契約は一時停止されるとした。

「事実は間違いなく明らかになる。少なくとも今の段階では、宣伝と透明性の原則を明確な形で違反している」

 裁判官はそう述べている。

「そういった(入札が行なわれていないという)理由から、締結された契約に記載された費用をカバーするための効果的なリソースがあったのかどうか、それを評価するために、契約の実行を一時停止する必要がある」

 サンパウロ当局は、これに関する関連書類を提出するために、5日間の猶予を設けている。

 この裁判の行方次第では、新型コロナウイルスの感染拡大に関係なく、今年のブラジルでのF1が開催されなくなってしまう可能性もある。

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この記事について

シリーズ F1
執筆者 Adam Cooper