ダニール・クビアト、国籍の”難題”も乗り越え、F1復帰の可能性もあると自信「絶対ないなんて誰にも言えないが、今はタイミングが良くない」
F1イタリアGPのパドックに姿を見せたダニール・クビアトは、現在は国籍に関する問題によりヨーロッパで行なわれるレースに出場しにくい状況が続いているが、F1を諦めたことはなく、将来戻ってくることを楽しみにしていると語る。
トロロッソやレッドブルのドライバーとしてF1通算110戦に出場してきたダニール・クビアトは、母国ロシアのウクライナ侵攻により、レースへの参戦が著しく制限される厳しい状況に置かれているものの、将来F1復帰の可能性は十分に残されていると語った。
クビアトは2020年限りでアルファタウリのシートを失った後、2021年はアルピーヌのリザーブドライバーを務めた。2022年はG-DriveのドライバーとしてWEC(世界耐久選手権)のLMP2クラスに参戦する予定だったものの、ロシアがウクライナに侵攻した影響でチームの参戦が中止に。クビアト自身もロシア国籍であるため、レースシートを得られずにいた。
そんな中でも7月には、インディアナポリスでNASCARデビュー。今回イタリアGPのパドックも訪れ、アルピーヌのホスピタリティに姿を見せた。
クビアトがレースに復帰するためには、3月に行なわれた世界モータースポーツ評議会(WMSC)で決められた通り、いかなる形でもロシアへの支持を示さないことを約束する誓約書に署名した後、中立的な旗の下でレースをすることに同意しなければならない。また一方でクビアトは、イタリアのライセンスを取得する可能性もあるようだ。
今回クビアトは、アルピーヌのチーム代表であるオットマー・サフナウアーとも会ったようだ。しかしアルピーヌとしては、フェルナンド・アロンソの後任としてクビアトを起用することは検討していないと見られる。
Daniil Kvyat, Team Hezeberg, Hezeberg Systems Toyota Camry
Photo by: Jasen Vinlove / NKP / Motorsport Images
そんな状況ながら、クビアトはF1復帰の可能性を決して諦めたわけではない。
「絶対にないなんてことは、言えないと思うよ」
そうクビアトはmotorsport.comに対して語った。
「もちろん現時点は、タイミングはおそらく理想的じゃない。それについて、また話せる日が来ることを願っている。僕は今、NASCARでレースをしている。このチャンスは大歓迎だ。本当に何の問題もなかった。今年、この後もいくつかのレースを行なう予定だ」
「僕は満足している。NASCARは、走ってみたいとずっと思っていたんだ。ずっとそう言ってきたけど、ある意味小さな夢が叶った。トップに立つまでには時間がかかるかもしれないけど、辛抱強く働いていく。NASCARでのキャリアは、正しく積み上げていけばとても長くなる可能性だってある。どこまで行けるか楽しみだ」
「とは言えF1はもちろん、ずっと僕の心の中の特別な場所を占めている。また、それについて話ができるといいね。僕はまだ若いんだ。一部の人たちが示したように、少し休んだ後に戻ってきたとしても、まだ活躍することだってできるはずだ」
クビアトは、国籍に関するあらゆる問題を克服し、ヨーロッパでも再びレースができるようになるはずだと語った。
「僕はオープンだ。ここヨーロッパでも、アメリカでも、ほとんどのカテゴリーで青信号が出ていると思っている。もちろん、ほとんどのことがとても緊張状態にあった時期もあった。今はそういう状況ではないけど、残念ながら今回のことが、色々な交渉の進展を少し遅らせることになった」
「僕は今再び交渉をスタートさせて、2023年にどんな可能性があるのかということを見ている。幸運なことに、いくつかの選択肢がありそうだ。どんな可能性も排除していない。国籍のことは、その点では障害じゃないよ」
「みんな僕の電話番号を知っているし、僕にコンタクトを取る方法もわかっている。今はビジネススーツを着ているけど、いつでもレーシングスーツに着替えることができる。そして走る準備ができている。F1を走らせるのが、僕にとっては一番簡単なことだ。飛び乗ればそれでいいんだからね。でもNASCARのマシンに乗り込んで、僅か4周のフリー走行だけで彼らと戦うのははるかに難しいよ」
クビアトのパドックでの強い味方は、関係の深いマネージャーのニコラス・トッドだ。トッドは前FIA会長のジャン・トッドの息子であり、今はシャルル・ルクレールのマネジメントも担当している。
「僕は彼のことを高く評価している」
クビアトはトッドについてそう語った。
「彼と一緒に仕事をするのが好きだ。でも、彼にとっては簡単な仕事じゃないだろう。指をちょっと動かすだけで、色々なことを実現できるわけじゃないからね。多くの細かいことが必要なんだ。彼が近くにいるのは、確かに役立つよ」
「僕個人で連絡を取ることもある。これも非常に役に立つよ。ここでは全ての人たちと、個人的にとても良い関係を築いた。でもここではタイミングが重要。紙に書かれた色々なことがひとつのことを指摘している場合もあるけど、実際には少し異なることだってある」
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