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クビアト、F1復帰も挑戦は道半ば。“セカンドキャリア”でさらなる成功に挑む

数年前、ダニール・クビアトのF1キャリアは終わったように見えた。しかし彼は2019年にカムバックすると、表彰台を獲得するなど印象的な活躍を見せ、2020年のシートを確保してみせた。しかし、2021年以降もシートを確保するためにはさらに改善を示す必要があるだろう。

Daniil Kvyat, Toro Rosso, 3rd position, celebrates on the podium

写真:: Andy Hone / Motorsport Images

 ダニール・クビアトが、“ジェットコースター”のようなF1キャリアを過ごしてきた、というのはいさささか控えめな表現と言えるだろう。

 2017年、ダニール・クビアトはトロロッソのシートを失い、レッドブルの育成プログラムからも外れることになった。2018年はフェラーリのシミュレータードライバーとしてF1の世界に留まっていたものの、その存在は忘れられつつあった。

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 しかし2019年、彼はトロロッソからレギュラードライバーとしてF1へ堂々と復帰した。そして7月のF1ドイツGPで荒れた展開となったレースを生き残り、見事3位表彰台を獲得。天候の変化と戦略の合致、トップドライバーの自滅など多くの要素が絡み合った結果ではあるが、彼は“セカンドキャリア”で表彰台を獲得してみせたのだ。

 このレースがクビアトにとって、自身の評判を立て直す最高の結果だったことは間違いない。そして、彼は2019年シーズン中に9度入賞し、トップ3チームに次ぐ位置であるベスト・オブ・ザ・レストとなる7位も2度獲得する成績を残している。

 ただ、依然としてクビアトにとっては“妙な”シーズンとなった。彼は2019年シーズン前半戦ではルーキーであるアレクサンダー・アルボンに対するある種の“指標”として見られていた。しかし後半戦ではレッドブルで苦戦したピエール・ガスリーがトロロッソに降格させられ、自身と似たような境遇のドライバーとチームを組むことになった。

 もっとも、ガスリーとクビアトには純然たる差が横たわっている。ガスリーはクビアトのように、レッドブルの育成プログラムから完全に離脱したわけではないのだ。

 トップチームからの降格、育成プログラムからの離脱、そしてそこへの復帰……クビアトはF1へのカムバックとなった2019年シーズンにとても満足していると話した。

「2019年は僕のキャリアの中でも最高のモノのひとつだ」と、クビアトはF1復帰のシーズンをそう振り返った。

「たぶん2015年と同じか、もしくはそれより多少良いくらいだった。あの頃より歳をとって、成熟したと思う。全体的に視界良好だ」

「もちろん思い通りに行かなかったレースもある。だけどそれも予想されたことだ。僕らは中団グループにいて、そこではわずか0.1秒の違いが週末をひっくり返してしまう。最終的には多くのレースで良い走りができ、強さがあった。僕は今シーズンにとても満足しているんだ」

「くそったれな日があると、僕は自分が去年どこに居たのかを思い出そうとするんだ。それで『オーケー、今僕はここ(F1)にいる。でもここにいなかったかもしれない』って考えるんだ。そして“まあまあな日”でも毎日を楽しんでいこうとしたんだ。それが僕の助けになって、“まあまあな日”の後でも大丈夫にしてくれる」

■マルコ博士への売り込み電話が“復帰”の鍵だったかも!?

 クビアトは前述のように、レギュラーシートを失った2018年はフェラーリで開発ドライバーを務めていたが、そこにはレーサーとしてF1へ戻れる保証は何もなかった。そしてクビアトも、復帰に繋がらないかもしれないと考えていた時があったという。

「そういう時(復帰への自信を無くしたこと)もあった。たしか夏の終わり頃だったと思うけど、何人かと話をしたんだ」

「もちろん僕はベストな場所にいたわけじゃないけど、最終的にはとても上手く行ったよ」

 気になるのは、レッドブルの人事権を握るドクター・ヘルムート・マルコを、復帰が正しい選択だと確信させるためにどう口説き落としたのかという点だ。

 しかしクビアトは「分からないよ!」と語った。

「彼(マルコ博士)は僕が(以前と)大きく変わっているようなら、1回の握手で分かってしまうタイプの人間だ。(2018年に)いくらか会話はしたけど、彼との会話は前の会社のボスと元社員、という感じだった」

「当然ながら、僕は多くのチームに声をかけた。『誰か(ドライバーが)必要だったなら、僕のことを思い出してくれよ』とね。そして、(ダニエル)リカルドが移籍を公表する数日前に、僕は(マルコ博士に)電話をかけていたんだ」

「それで彼は僕のことが頭に浮かんで、『ミーティングをしよう』と電話をしたんだと思うよ」

■レッドブル後の経験が自分を成長させた?

 レッドブル旗下を離れたクビアトのケースは、2003年のフェリペ・マッサや、2010〜2011年のロマン・グロージャンのケースを思い出す。両者ともチャンスをフイにした後に復帰し、長くキャリアを継続している。

 レギュラーシートを外れている間のフェラーリでの役割は、クビアトの技術的な知識を発展させることになったはずだ。ただ彼曰く、それ以上に重要だったことは、全体像をより深く考えられるようになった事だったという。

「一度全てを違った視点で見れば、おそらく僕はこのスポーツの“外側”にいただろう。そしてこう考えるんだ。『オーケー、もしチャンスがあるなら、もっと愛と情熱を注ごう』とね」

「1年を通してますます競争力を持てた。ただ常により上を求めるのは普通のことだ」

「クレイジーなレースだった」

 表彰台を獲得したドイツGPを、クビアトはそう表現する。

「でもブラジルGPもそうだけど、こういう“クレイジーな”レースがあると中団グループにも表彰台獲得の可能性があるというのを見せられたのは良かった。他車の僅かなインシデント、僅かなミス、そして自分の適切な選択……いきなり勝利を争っているようなものだよ」

「もちろん、僕にとってはとても感動的な日だった。まあ、厳しい時間を過ごした後だったしね。殆ど『これで終わった! 帰るぞ!』という感じだったけど、やっぱり『また別のトロフィーが欲しい』と思うんだ」

 2020年シーズンには、トロロッソは“アルファタウリ”へと名称を変更することになっている。クビアトは変わらずガスリーとチームを組んで参戦を継続する予定だ。現在のレッドブルの育成プログラムには、下で順番待ちをしているドライバーが居ないのだ。

「ときにはタイミングがうまく作用したり、反対にうまくいかないときもある」と、クビアトは言う。

「結局のところ、辛抱強く自分の仕事をこなして、適切なタイミングで適切な場所にいることが大切なんだ」

「僕は自分の今の状況だったり、過去の状況について深く考えこみすぎたくはない。起こらなかったかもしれないけど、それが起きて僕はとても嬉しく思っている」

■F1復帰2年目は正念場に

 トロロッソはレッドブルの姉妹チームという背景もあり、ルーキーを多く走らせるチームだ。時には2名ともルーキーということもあり、2〜3年目のドライバーとルーキーという組み合わせも見受けられる。

 現在はクビアト、ガスリー共にレッドブルからの“都落ち”を経験しているという、ある種の異常事態でもある。彼らが再びレッドブルへ返り咲けるかは不透明だ。

「このチームに来るヤツは、ほとんど皆が才能にあふれている。ただ僕のレッドブルでのケースのようにベストなタイミングではなく、不運な人達もいる」

「ピエールについては……彼にレッドブルで何が起きたのかということは、本当に話したくないんだ。それについて話すのは適切じゃないだろう」

「でも今は全てが問題ない。彼はレッドブルを過ごしたのは短い期間だったけど眼の前には“レッドブルを追い出されても大丈夫”という生き証人が居る。彼らが僕たちにセカンドチャンスを与えてくれるのは、良いことだと思っているんだ」

 トロロッソは2019年シーズンに、”チームベストタイ”と言える成績を記録した。セバスチャン・ベッテルが勝利を挙げた2008年と同ポイントを稼ぎ出したのだ。2018年からホンダとタッグを組んだトロロッソ……ワークスパートナーとなったことが、上昇気流に乗る助けになったと言えるだろう。

「言うまでもなく、とても強さを発揮できたたシーズンだった。トロロッソの歴史の中でも1、2を争うものだと言ってもいいだろう。こうしたシーズンにチームの一部となるのは、とてもエキサイティングなことだ」

 クビアトは2019年シーズンをそう評価した。また、クビアトにとってはホンダとの仕事をした初のシーズンとなったが、パワーユニットの進歩にも満足していると語った。

「ホンダには可能な限り強力な製品を持ち込もうという、ものすごいモチベーションがある。彼らはとても良くやっているし、改善もしている。僕としては今のエンジンの差は極めて小さいものになっていると思う。来年はこの差を完全になくせるかどうかだね。そうなったら素晴らしい」

「ただ現時点でも、レースでは殆ど(他メーカーとの)差を感じないんだ。土曜日には多少感じることはあるけど、それすらも改善している。ホンダは間違いなく正しい道を進んでいると思う」

■クビアト「2020年シーズンが楽しみ!」

 こうして、トロロッソは2020年シーズンに向けて勢い良好な形で進んでいるように思える。しかし2021年には大幅なレギュレーション改定が行なわれるため、トップ3チームが再び差を広げることも予想される。

「まず最初に、僕は2020年シーズンを楽しみにしているんだ! そして2021年だけど、これは2014年と同じような話だ。おそらく1、2年はギャップがまた広がって、それから再び差が縮まり始めるだろう。まあ、あまり未来を予想しすぎたくはないけどね」

 クビアトは2021年以降のF1についてそう語る。

「今の世代のF1マシンはかっこいいよ。ワイドなタイヤ、未来的なデザイン、大きなウイングといったように、レーシングマシン愛好家やドライバーにとっては多少なりとも夢のある物だったと思う。でも問題もあった」

「2021年以降の物も、結構かっこいいと思う。ただ、2014年や2015年のマシンは見栄えは良くなかったけど、良いレースになっていた。他のマシンの後ろを走り、近付くのが簡単だったんだ」

「マシンが過去最速ではなくとも、バトルがしやすく素晴らしいレースになる。そうなる一方で人々は遅すぎると不満を持ったり、ラップタイムやレコードの更新を求める……そういった部分は長期的な課題だろう。今は2021年がその中間になればいいと思っている」

 クビアトはそう未来のF1について語った。だが彼のF1の世界での立ち位置はシャルル・ルクレールが5年契約を結んだのとは違い、不確定なものだ。2019年シーズン後半戦にガスリーがトロロッソに復帰すると、クビアトは全体的にパフォーマンスの面で遅れを取った。

 レッドブルの育成プログラムを見渡せば、ここ2年こそF1に辿り着いた者はいないが、ユーリ・ヴィップスら期待の若手も控えているため、長いこと安泰……とはいかないはずだ。

 つまり当然のことながら、全てはクビアトのサーキットでの仕事次第、ということだ。レッドブルの重鎮たるヘルムート・マルコに投資に値すると納得させられるか、クビアトのF1残留をかけた真の戦いが、2020年に始まる。

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