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海外F1記者の視点|久々の非公開プレシーズンテスト。懐かしくもあり、後味の悪さもあった

革新的な新レギュレーション時代の到来に際し、F1はかつての冬季テストを思い起こさせるような非公開テストから2026年シーズンをスタートさせた。何もかもがメディア消費される昨今においては新鮮なテストであったが、一方で後味の悪さも生んだ。

Gabriel Bortoleto, Audi F1 Team

 2026年シーズンのF1は、技術面と競技面で抜本的な変更があったため、熱狂的……とまではいかなくとも、大きな注目が集まっているのは確かだ。そんな中で、バルセロナでの今年初めての合同テスト(公式にはシェイクダウンテストと呼ばれた)は非公開で行なわれた。

 スタンドには観客の姿はなく、パドックにはジャーナリストも、フリーのカメラマンもいない。F1の公式からいくつかの写真と動画が公開されるのみで、出てくる情報もプロパガンダ的なものばかり……そんな状態だった。

 F1は周囲からの期待感をもっと活かせなかったのか? そういった疑問が出てくるのはもっともだが、この状況でF1側を責めることはできないだろう。チームからは、技術規則が新しくなるシーズンは様々な懸念が生じるからと、プレシーズンテストの回数を増やすよう強く要求されていたという事情もよく理解できる。

 それを踏まえると、この非公開テストは理想的な妥協案と言えた。チームはメディアのいない中、負担やプレッシャーの少ない状況で最初の準備を始められる。同時にF1公式はバルセロナから最低限の情報を発信しつつも、2月に行なわれるバーレーンでの2回のテストを“真の開幕”として売り込むことができたからだ。

 多くの点で、この形式には新鮮さがあった。“新鮮”といっても、F1が人気コンテンツとなり大量の露出がなされるようになった現代において、という意味合いだ。ほんの15年前までは、こうした情報がほとんど出てこない走行があるのは普通だった。当時はメディアも専門メディアばかりで一般ファンの関心も今ほど高くはなく、こうした地味で動きの少ないセッションは、今よりずっと注目度が低かったのだ。

 そのため、私を含めた両方の時代を知る人間にとっては、再発見とノスタルジーが入り混じった感覚がある。インタビューや分析動画などが次々に投稿されては消費されるF1に、少しの神秘性が戻ってきたように感じられたのだ。“少し”と表現したのは、結局のところ2026年の今は情報など探せばたくさん出てくるからだ。

 神秘性という点では、F1のフリー走行についてこんな疑問が投げかけられることがある。サッカーのチャンピオンズリーグの試合前に、両チームの練習をすべて撮影し放送するだろうか? 開幕前のトレーニングキャンプを全て撮影するだろうか? 総合的に考えて、答えはノーだ。最終的に必要な情報は漏れ出てくるものだし、全てを公開する必要はない。

 振り返ってみると、同じく新規則の導入初年度であった2014年のように、技術的な問題が多数起きるかもしれないという懸念から生じたこの極端なまでの慎重さは、100%正当化できるものではなかったかもしれない。最終的にテスト順は調に進んだわけで、チームやパワーユニットメーカーは、もう少し自信を持っていてもよかったのではないか……とも思えてくる。とはいえ、それも結果論だ。そして比較的困難な立ち上がりだったアウディ、キャデラック、アストンマーティンにとっては、過度なプレッシャーがなかったのは助けになっただろう。

 結局情報が漏れたにせよ、テストを非公開とすることは基本的には残念なことだ。もしひどいテストになったとしても、そこからの進歩のストーリーは描けたはずだ。とはいえ、先に述べたようにシーズン開幕に向けた準備作業が全て撮影される必要はないと思っているので、そこは許容範囲だ。

 しかしながら、後味が悪いと感じたのはそのやり方だ。メディアを入れずにセッションを非公開にしたのは問題ない。初日午前を終えた段階で、サーキットのライブタイミングへのアクセスを遮断することも、これまた理解できる(結局はリークされるのだが)。サーキットの外からの視界を可能な限り制限する、これも分かる。ただ、サーキット周辺に集まった観客やメディアを排除するため、罰金をちらつかせるなどした厳重な警備体制は、明らかに一線を超えていた。しかもそれはテストが進むにつれて厳しくなっていった。

 パトロール、身分証確認、ヘリコプターの投入に加え、最終日にはサーキットからほぼ1キロ圏内が立入禁止区域に……。この日は唯一の地元スペイン人ドライバーであるフェルナンド・アロンソがついに登場する日だった。そんな中で、粘り強い者たちは“盗撮写真”を撮るために高度な機材と工夫を凝らすのであった。そういう点では、多くのメディアにとっての情報源となったSoyMotorをはじめとする一部現地メディアの仕事ぶりは称賛に値する。

 結局のところ、情報や画像のリークを完全に防ぐことはできなかったわけだ。こうした対応により、F1が今回のテストを通してどこか感じの悪い印象を与えてしまったのは否めない。

 

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