それがF1ドライバーを目指すということ。リアム・ローソンが家族に強いた“犠牲”を語る「おそらく一生かかっても恩を返しきれない」
リアム・ローソンは、自身がF1ドライバーを目指す過程で家族に強いてきた犠牲はあまりにも大きく、十分に報いることはできないと感じている。
Liam Lawson, Racing Bulls
写真:: Chris Graythen / Getty Images
先日、『The High Performance Podcast』に出演し、わずか2戦で終わったレッドブルドライバーとしての日々の舞台裏、ファンからの誹謗中傷など、様々なテーマについて赤裸々に語ったリアム・ローソン。その中では、自身がF1の世界にたどり着くまでに家族がどれだけの犠牲を払ってきたかについても語った。
ニュージーランド出身のローソンは、地元の選手権で活躍した後にレッドブルのサポートを得てヨーロッパのフォーミュラカテゴリーで戦い、FIA F2、スーパーフォーミュラでの好成績を引っさげて2023年にF1デビュー。現在もレッドブル姉妹チームのレーシングブルズに所属している。ただ彼も決して裕福な家庭の出身ではなく、特にカート時代は家族が様々なものを犠牲にしてきた。その最たるものとして、ローソンは両親が自分のレース活動のために家を売り払ったことを明かしている。
感謝の気持ちを忘れないためにしていることは何かと尋ねられたローソンは、こう語った。
「僕の場合は幼少期だね。小さい頃を思い出すんだ」
「一番簡単なのは、F1ドライバーになりたいと思っていた8歳のリアムに立ち返ることだ。あの頃は、F3に行けるだけでも最高だ、一体どんな感じなんだろうと思っていた」
「でもステップを踏んでいくと、色んなことが当たり前になっていくんだよね。F1にたどり着くまでも『とにかくF1ドライバーになれたら』と思っていたけど、実際になってからはすぐに結果が求められる。トップ10に入らないと、みたいな」
小国ニュージーランド出身からF1にたどり着くために、多くの人たちの支えでここまで来れたと語るローソン。特に家族に対しては「彼らが犠牲にしてくれたものに対しては、おそらく一生かかっても恩を返しきれないと思う」とまで語る。
「しかも、それってお金の話だけじゃないんだ」
そう話すローソン。ここ最近、心を痛める出来事があったのだという。
「最近、僕の親があるカードを見つけたんだ。1年くらい前かな」
「それは僕の弟が父に向けて書いたものだった。弟は僕の2歳下で、5歳か6歳くらいの時に書いたカードが見つかった」
「そこには『お父さん、僕もレースを好きになったら、リアムみたいにもっと一緒にいられるのかな?』って書いてあったんだ。そこで兄弟や家族が色々なものを犠牲にしてくれたことを実感したんだ。父との時間もそうだし、休日にみんなで出かけることもなかったし、そういう何もかもがね……」
番組ホストも「それは刺さるね……」と絶句した様子だったが、ローソンは「家族に恵まれたんだ」と返した。
そのカードを見つけた後、弟には何と言ったのかと尋ねられたローソンは、「とにかく『ごめんね』と伝えた。彼も今となっては笑い話にしてくれているけどね。でもそういう、週末はいつも家にいなかったこととかを思い出してね」と話すと、「……じゃあ次の質問に行こうか(笑)」と笑いに変えていた。
年間20人前後しかその座につけない“F1ドライバー”という夢に向かって、数多のカート少年たちが親子二人三脚で日々レースを戦っている。しかし、かかる費用は一般のサラリーマン家庭でまかなえるレベルのものではなく、多くの人たちが犠牲を踏み台に夢を追いかけている。ローソンが今回明かしたエピソードは、F1ドライバーを目指すとはどういうことなのか、それを象徴するようなものだと言える。
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