リスタート直前にフェルスタッペンがあわやスピン……ルクレールはあそこで追い抜くべきだった?
フェラーリのシャルル・ルクレールは、赤旗後の再スタート時に前を行くマックス・フェルスタッペンがコントロールを乱した時、フェルスタッペンからポジションを奪わなかった理由について説明した。
写真:: Mark Sutton / Motorsport Images
F1第2戦エミリア・ロマーニャGPのレース中盤では、バルテリ・ボッタス(メルセデス)とジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)による大きなクラッシュが発生し、マシンやその破片を回収するために赤旗中断となった。そしてレースはローリングスタートによって再開される形となったが、先頭のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)はリスタート直前、ターン17(リバッツァひとつ目)でコントロールを失った。
フェルスタッペンのマシンはリヤがスライドしてコーナー内側の縁石に乗り上げてしまったが、右側のタイヤ1本がギリギリコース上に残った状態でなんとか立て直し、無事トップでリスタートを切ることができた。
そんなフェルスタッペンのすぐ後ろを走行していたのが、フェラーリのシャルル・ルクレールだ。ルクレールはレース後motorsport.comに、コントロールを失っていたフェルスタッペンを交わそうとしたのか、それともアクセルを抜いてポジションをキープしようとしたのかを尋ねられた。すると彼は「両方やったよ」と返答した上で、フェルスタッペンを最終的に追い越さなかったのは正解だったと説明した。
FIAのF1スポーティングレギュレーションではレース再開の手順として、最初にコントロールラインを通過するまで他の車両を“走路上”で追い越してはならないこととなっている。そのためルクレールは、フェルスタッペンが完全に走路外に出たと確信できなかったことが、アクセルを緩めた理由になったようだ。
「一回はそれ(フェルスタッペンを追い抜くこと)を考えたんだ」とルクレール。
「でもアクセルをバックオフした(緩めた)。振り返ってみると、それは正しい選択だったと思う。彼は少なくともひとつのタイヤをコース上にとどめていたからね」
「彼は完全にスピンをした訳ではなかったから、僕はバックオフした。その後あれこれ考えている内に、彼はもう僕の前に戻っていた」
一方、あわやスピンという場面を乗り切り優勝したフェルスタッペンは、その時のことを振り返り「秘密のタイヤウォーミングが行なわれていたんだよ!」とジョークを飛ばした。ただフェルスタッペンも、仮にリバッツァでルクレールに前に立たれていた場合、勝機を失うような事態に陥っていた可能性がある。
ローリングスタートによるレース再開時の手順について書かれたスポーティングレギュレーションの第42条を見ると、『セーフティカー後方での周回中に遅れてしまったドライバーは、セーフティカーがピットに戻る周回において第1セーフティカーラインに到達する前であることを条件に、当初のスタート順を取り戻すために追い越しすることができる』こととなっており『そのようにできなかったドライバーはピットレーンに再び入らなければならず、レース再開後に全隊列がピットレーン終点を通過し終えた後でのみ、レースに合流することができる』と書かれている。ただしその一方で、『セーフティカーがピットに戻った後はいかなるドライバーもコントロールラインを通過するまで他の車両を走路上で追い越してはならない』とも書かれているのだ。
これらの条文は一見すると矛盾している部分があるようにも見えるため、これらがどのように解釈されるか次第ではあるが、仮にフェルスタッペンのミスが“走路外走行”と判断されて、なおかつルクレールがそれに乗じて前に出たのであれば……フェルスタッペンはルクレールを抜き返すことが許されず、ピットレーンを通過することを余儀なくされ、リードラップ最後尾に落ちていた可能性も否定できない。
この時フェルスタッペンとルクレールの後ろ、3番手で状況を見つめていたランド・ノリス(マクラーレン)は、リスタート直後にルクレールをパスして2番手に順位を上げたが、フェルスタッペンを追い抜かなかったルクレールの判断には同意しかねると話す。
「僕はその様子を見ていたけど、かなり面白かったね」とノリス。
「僕の意見としては、シャルルはパスすることができたと思う」
「あの時、マックスはコントロールを失って左にそれた。それに対してシャルルは急にブレーキを踏んで止まることはできない」
「正確なルールについては、担当者に聞かないと分からない。でもコースを外れて、昨日の僕のように4輪脱輪したんだったら、どうなんだろうね(編注:ノリスは前日の予選でトラックリミット4輪脱輪によってQ3のベストタイムを抹消されている)」
「マックスもかなりのスロー走行になっていたから、ルクレールはあそこで追い抜けたんじゃないかな。分からないけどね。僕が2番手にいたらそれを狙っていたと思う。勝つチャンスがある訳だからね。リスクを負う価値はあるよ」
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