”自主リタイア”を訴えたマグヌッセン「視界が悪すぎて……事故を起こしたくなかった」
ハースのギュンター・シュタイナー代表は、ケビン・マグヌッセンが後方視界の悪さから、トルコGPをリタイアしたいと訴えていたと明かした。
写真:: Glenn Dunbar / Motorsport Images
ハースのギュンター・シュタイナー代表は、ケビン・マグヌッセンはサイドミラーが汚れて後方視界が悪化してしまったことから、事故の引き金になることを恐れ、リタイアを望んでいたと明かした。
12番グリッドからレースをスタートしたマグヌッセンは、しばらくポイント圏内を走行していたものの、ピット作業を行なった際にタイヤの固定が十分ではなかった疑いがあったため、急きょマシンを止めた。クルーがピットボックスにマシンを戻し、新しいタイヤをつける必要があったため、大幅にタイムロスをしてしまった。
走行タイミングがズレたことにより、ペースが速いマシンの前に出ることになってしまったマグヌッセンは、視界に対する不満をチームに伝え、危険だと何度も訴えた。
マグヌッセンはあるタイミングで「僕の話聞いてる? 何も見えないよ。なあ、全然何も見えないんだよ……」と無線でチームに伝えた。
エンジニアが分かったと返答すると、「誰も理解してなんかいないよ」とつぶやいた。
チームはレース終盤にリタイアが相次ぎ、彼のポジションが上がった場合に備え、彼を走らせ続けた。また彼のペースも悪くなく、後方から迫ってくるマシンがいない状況だったこともその一因だ。
しかし、ランド・ノリス(マクラーレン)に追いつかれてしまったため、マグヌッセンはファイナルラップにピットインしてリタイアした。結果的に彼は3周遅れ、17位完走扱いとなっている。
「ミラーのせいで後ろが見えなかったのが難点だった」とシュタイナーは語った。
「ミラーが汚れていたし、水煙のせいで後ろが見えなかったんだ。青旗が振られていても、後ろに誰かいるのか分からなかった。彼は誰かのレースにダメージを与えたくなかったし、何か悪いことをしたとみなされるようなことをしたくなかったんだ」
「彼は残り12周くらいでそう言い始めたんだ。だがこうしたレースでは、前の5~6台の集団に大混乱が起きないとも限らない」
「突然ラップバックできるようになって、難しい決断を迫られることになるんだ。もしマシンをリタイアさせていたら、愚かな判断に思えてしまう。彼は速かったんだ」
「トップグループが通り過ぎてからは、彼はかなりコントロール出来ていた。少なくとも10秒は誰も来ないと彼に伝えていたが、彼はその10秒をキープしていた」
「だから彼を走らせ続けておこうと決めた。クルマの調子は良かったんだ。つまり、チャンスは非常に小さかったが、諦めるわけにはいかなかった」
「彼が苦しんでいることは理解していたが、しばらくの間は誰も彼の後ろに来ないことは分かっていた。彼にとっては確かにフラストレーションが溜まる状況だっただろう」
「でも、その後に彼と話をして状況を説明したんだ。このようなレースでは、グループの中で大混乱が起きたり、脱落するマシンが出たりして、突然ポジションが変わったりするんだ」
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