F1を席巻するメルセデス。ライバルにとって唯一の付け入る隙はチームメイト関係の崩壊だけ……元レッドブルのマルコ博士「それがなければ彼らの圧勝」
2025年12月までレッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めていたヘルムート・マルコ博士は、メルセデスのチームメイト同士の関係が悪化しない限り、他のチームに今季のチャンピオンを獲得するチャンスはないだろうと考えている。
写真:: LAT Images
2026年のF1では、メルセデスが圧倒的な強さを誇っている。開幕から5戦全てで勝利を収め、ドライバーズランキングとコンストラクターズランキングの両方で、他チームを大きく引き離している。
中でも注目が高まっているのは、このメルセデスのジョージ・ラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリのライバル関係だ。開幕戦こそ経験豊富なラッセルが制したものの、第2戦中国GPでアントネッリがF1キャリア初優勝を手にすると、その後4連勝。ドライバーズランキングでも、アントネッリが首位に立っている。
ふたりは”チームメイト同士の関係は良好”と主張しているものの、緊張感が高まりつつあるようにも見える。前戦カナダGPでは、F1スプリントと決勝の両方で、ふたりがサイド・バイ・サイドの激戦を展開。F1スプリントではラッセルの厳しいディフェンスに対してアントネッリが「今のはフェアじゃない!」と執拗に無線で訴えるシーンもあった。
昨年12月までレッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めていたヘルムート・マルコ博士は、オーストリアの総合メディアOE24のインタビューで、メルセデスは今季最強だと断言。チームメイト関係がこじれない限り、他チームにチャンスはないだろうと語った。
「彼らは最高のパワーユニットを手にしており、バッテリーの面でも基準を打ち立てている」
マルコ博士はそう語った。
「彼らは2021年以降で初めて、真に競争力のあるシャシーの開発に成功した。しかも、非常に強力なドライバーふたりを擁している」
マルコ博士は、そのメルセデスのふたりのドライバーの能力を高く評価した。
「アントネッリがこれほど若い年齢で、これほど速く走れるのは本当に素晴らしい。しかしラッセルは経験豊富なドライバーであり、必ずなんらかの対策を講じてくるだろう」
ラッセルはカナダGPでは、アントネッリと互角以上にわたりあった。スプリントでは前述のように険悪な無線も飛んだが、ラッセルがアントネッリを抑え切って優勝。決勝でも、ラッセルがアントネッリを封じ続けた。しかし突如ラッセルのマシンに搭載されたバッテリーが壊れてしまい、リタイア。ラッセルは怒りを露わにし、ヘッドレストを車外に放り投げ、グローブを地面に叩きつけた。
このふたりの関係がこじれることだけが、ライバルチームにとっての希望であると、マルコ博士は語る。
「他のチームにとっての唯一の希望は、ラッセルとアントネッリが引き続き激しい戦いを繰り広げることだ。それがなければ、メルセデスと他チームの差はさらに広がるだろう」
実際カナダGPでのアントネッリは、楽勝だったはずだ。ラッセルがリタイアした後は著しくペースを落として周回していて、実際には着差以上に大きなパフォーマンス差があった可能性がある。
ただマルコ博士は、メルセデスが今季全勝するとは考えていない。特に今週末のモナコGPでは、フェラーリが優位に立つのではないかと予測した。
「メルセデスはモナコの低速コーナーで苦戦することになるだろう」
そうマルコ博士が語った。
「母国でレースをする(シャルル)ルクレールが、私の優勝候補だ。予選でも好結果を残すだろうし、モナコではフロントロウからスタートするドライバーがレースに勝つことが多いからね」
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