F1王者ロズベルグ、バクーのピットレーン入口を「最も危ない」と形容。一方FIA側はその意見に同意せず
F1のレースディレクターであるマイケル・マシは、元F1ドライバーのニコ・ロズベルグがバクー市街地コースのピットエントリーの危険性を指摘したことについて、異議を唱えた。

2016年にヨーロッパGPの名で初開催され、それ以降はコロナ禍で中止となった2020年を除いて毎年開催されている、バクー市街地コースでのアゼルバイジャンGP。ここバクーは壁に囲まれたストリートコースでありながら長い全開区間を誇るなど、エキサイティングかつ危険なコースとしても知られており、決勝レースでのセーフティカー出動率も高い。2021年のレースではランス・ストロール(アストンマーチン)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が共にタイヤトラブルに見舞われてホームストレート上でクラッシュを喫したが、ドライバーはいずれも無事であった。
そんな中、レース前には元F1ドライバーからバクーのピットエントリーの危険性を指摘する声があがっていた。その元F1ドライバーとは、2016年のF1王者であるニコ・ロズベルグだ。彼はレースウィークになるとシミュレータを走らせながらの独自のサーキット解説動画を自身のYouTubeチャンネルに投稿しているが、その中でバクーのピットエントリーに対する懸念を述べていたのだ。
バクーのピットレーン入口は、F1カレンダーで屈指の長さを誇るメインストレートの途中に位置しており、ドライバーから見て左側にある。ピットインするドライバーはストレートを全開走行中、少しずつ左に進路を取りながら減速し、“くの字形”のピットエントリーに左、右とマシンを振って進入していく。
ロズベルグは解説動画の中で次のように語っていた。
「それでは、僕が1年を通して最も危険だと思っていた場所のひとつをお見せしよう」
「とても怖い場所だ。ドライバーは時速350kmでここ(メインストレート)を走るけど、左に何があるか見てほしい(ピットレーン付近をシミュレータで通過しながら)」
「ここでマシンがブレーキを踏むことを想像してほしい。時速350kmで走っていて、左を見ると壁がある。そこに向かっていくんだ。もし何かが壊れて壁にぶつかれば最後、もうそのドライバーはここにはいないかもしれない」
「僕がF1マシンでドライブしてきた中で、最も怖いと感じた場所のひとつだ。ここを通るのはとんでもない間違いだと思う。でも、ドライバーはそれをこなさないといけないんだ」
しかしこれに関して、FIAのF1レースディレクターであり、セーフティデリゲート(安全担当)を務めるマイケル・マシは、バクー市街地コースがFIAの定める“グレード1”の要件を満たしていることから、ロズベルグの発言には同意できないと語った。
「いいや、そのコメントには同意しかねる」とマシは言う。
「ここのピットエントリーとコース全体は、FIAの定めるグレード1のサーキットとして設計され、承認を受けてきた。つまりFIAが定める様々な安全要件を満たしているということだ。したがって、私はそれに同意しない」
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