マクラーレン、シンガポール圧勝もアップデート計画にジレンマ抱える「後退するわけにはいかないから……」

マクラーレンF1は、今や圧倒的な強さを誇るマシンMCL38にフロアのアップデートを投入するかどうかでジレンマに直面していることを認めた。

Lando Norris, McLaren MCL38

Lando Norris, McLaren MCL38

写真:: Glenn Dunbar / Motorsport Images

 マクラーレンのランド・ノリスがF1シンガポールGPで圧勝したものの、チームは未だにアップデートに慎重な姿勢を保っている。

 コンストラクターズランキング首位に浮上し、シンガポールではマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に大差をつけて勝利したマクラーレンだが、それでもフロアのアップデートで失敗することを恐れている。

 これはレッドブル、フェラーリ、メルセデス、アストンマーティンなど、多くのライバルがフロアデザインのアップデートを試みたものの、バランスの問題に直面し足踏みしたことが踏まえたものだ。

 マクラーレンの現在のパッケージは、特にシンガポールのようなハイダウンフォースのサーキットではうまく機能しているように見えるが、チームのアンドレア・ステラ代表はそのままシーズンを戦い切ることができるかどうかには確信が持てていないようだ。

 次戦アメリカGPまでは少し期間が空くこともあって、ライバルたちの多くがアメリカGPにアップデートを持ち込むとみられており、マクラーレンが安全策を採ってアップデートをしなければ、後退してしまうリスクがあるとステラ代表は認めている。

 特にノリスが残り6戦でフェルスタッペンとの52ポイント差の逆転を狙う以上、それは大きな痛手となるだろう。

 マクラーレンはファクトリーに戻ってマシンの開発に取り組んでいるが、アップデートをレースに投入する前に、それがうまく機能することを確信してから投入に踏み切りたいと考えているのだ。

 アップデート投入時期のジレンマについて聞かれたステラ代表は、次のように答えた。

「公平を期すために言うが、それはレース後に考えたことのひとつだ」

「コース上でこのようなパフォーマンスを発揮すれば、開発に関しては常に慎重な観点からアプローチすることになる」

「準備しているものはいくつかある。だが言うまでもなく、コース上でこのようなパフォーマンスを残している時に、開発という観点で常に慎重な姿勢で臨まなければならない」

「でも同時に、そのプロセスを信頼する必要がある。これまでのやり方を信頼する必要があるんだ。以前申し上げたように、我々はアップデートのデューデリジェンス(評価)を行なうために時間をかけてきた。だから、今回のことで計画が変更されることはないと思う」

 ステラ代表は、マクラーレンが大きなアドバンテージを持っているにもかかわらず、ライバルがうまく機能するアップデートを持ち込むことができれば、飛躍するのにそれほど時間はかからないと考えている。

「F1では、後退するわけにはいかない。なぜならそれは、他が追いついてくる可能性があるということだからだ」

「他のマシンのプランも分からない。それにレッドブルは、あまり競争力がないと思われていたコースで、セカンドベストのチームになる可能性があったんだ」

「それに私はフェラーリがベストだとは思っていなかったが、FP1やFP2では我々と同じくらい速かった」

「だから、今回のレースは少し出来過ぎかもしれない。競争力という観点から見れば、開発の面でアグレッシブであり続ける必要がある状況だと言える」

 マクラーレンのチーフ・デザイナーであるロブ・マーシャルによれば、チームの計画は、どんなアップデートを施しても大きなステップにつながるようにすることだったという。

「常にダウンフォースを追い求めているんだ。僕たちは塊を集めて、大きなヒットにつなげたいんだ。これまでは、基本的にその断片を集めることに集中してきた。いずれそういうアップデートを持ち込めると期待している」

「だが同時に、いくつかのパーツが揃うのを待つ間、少し我慢しなければならないこともある」

「そうするアドバンテージは、パーツを組み合わせた時に上手く機能しなかったり、期待していたほど良くなかったりすることがよくあるということだ。一塊にして投入するなら、そうしたパーツの組み合わせを一緒にCFD(コンピュータ解析)にかけ、一緒に開発し、一緒に風洞を通過したということになる」

「だから、そのパーツの組み合わせがうまく機能することをより確信できるんだ」

「少しづつやっていくと、ある部分にアップデートを投入し、それから別の部分に取り組んで、実は前に行なった変更によってその効果が少し損なわれていることに気づくかもしれない」

 
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