マクラーレン、開幕戦にアップグレード用意。スペアパーツ減らし、開発優先の”攻めの選択”

　今シーズンのF1は、レギュレーションの見直しにより、各チームが前世代のマシンとは異なる空力コンセプトに取り組むことになる。

　これによりF1の勢力図が一変する可能性もある。そしてシーズン序盤は、各チームが新規則への理解を深め、積極的に開発を進めるだろう。

　この開発競争の一環として、マクラーレンはすでに2022年型マシンである『MCL36』のアップデートを開幕戦バーレーンGP（3月20日決勝）に持ち込むことを計画している。

　マクラーレンF1オペレーションディレクターのピアーズ・ティーンは、チームの公式サイトのインタビューで、次のように語った。

「我々は開幕戦でのパフォーマンスが重要であることを知っており、そのイベントに向けてアップグレードパッケージを持ち込む予定だ。だが、さらに（アップデートが）続くと予想している」

「（スペア）パーツが少ない理由のひとつは、クルマを進化させたいと考えているからだ。初戦でフロアが6つ、フロントウイングが6つあっても、それに対する報酬はないんだ」

「生産能力を確保し、空力の進化に対応できるよう、今年は微妙に異なるアプローチで臨みたいと思う。それが今年の成功の鍵になるだろう」

　スペアパーツの製造を減らすというのは、新しいレギュレーションに向けたパーツ生産におけるマクラーレンのアプローチ修正の一部だ。予算が制限される中でより多くのアップグレードを追求することを、マクラーレンは選んだのだ。

　マクラーレンはMCL36を2月11日に発表する予定だが、ティーンはチームに”文化的な変化”があり、これまでとは違ったアプローチをとっていると明かした。

「レース1に合わせてアップグレードを行なう機会を確保するため、可能な限り（パーツの製造を）遅らせ、在庫のムダを減らすことを望んでいる」

「MCL36は以前のマシンと比べて、プログラムのレイアウトが根本的に異なる。プログラムの達成は困難であり、エンジニアリングや製造面での大きな課題に加え、コストの制約を考慮すると、素晴らしいチームワークとコラボレーション、そして目標達成に向けた完全なフォーカスが必要となる」

「最終的に、厳しい状況下で頼りになるのはスタッフのクオリティだ。我々の人材に並ぶチームがないのは幸運だ」

　スペアパーツの製造を減らすという決断は、アップグレードに柔軟に対応するための「難しい選択」だったとしながらも、ティーンはチームがパーツ不足になることは決してないと明言した。

「MCL36は、MCL35よりもパーツの量を減らして、より高いパフォーマンスを実現するための予算的な余裕を持たせている」

「クルマを走らせられないほどパーツを減らすつもりはない。しかし、これまで5～6個作っていたものを5個にし、4～5個だったものを4個にする」

「1つのパーツに複数のセットアップオプションがある場合、レースエンジニアと協力し、彼らが使うかもしれない選択肢ではなく、使いたいと思う選択肢を提供できるよう、その配分を考えていく」

「なぜなら、1ポンドが重要であり、我々は賢くお金を使わなければならないからだ」