ライバルF1チーム、レッドブルの予算制限違反ペナルティは「不十分」予算上限引き下げの方が効果的?
マクラーレンのアンドレアス・ザイドル代表は、レッドブルの予算超過に対するペナルティ付与が正しく履行されていることを歓迎する一方で、その罰の重さについては「十分に厳しいものでは」ないと語る。その意見については他F1チーム代表も賛同している。

メキシコGP初日の10月28日(金)、FIAは2021年シーズンに予算上限を超過したレッドブルに対して700万ドル(10月30日のレートで約10億円)の罰金と今後12ヵ月の空力試験10%削減の罰則を科し、手続き上の違反とみなされたアストンマーチンに対しては45万ドル(約6600万円)の罰金を科したと発表した。
マクラーレンのアンドレアス・ザイドル代表は、FIAのプロセスが効果的に機能したことは心強いとする一方で、今回の裁定は十分に厳しいものではないと考えている。
このザイドルの主張には、他のF1チーム代表も同様の意見を持っている。
レッドブルへの罰則確定についてコメントを求められたザイドルは、次のように語った。
「正直なところ、複雑な心境だ」
「ポジティブな面では、FIAが全チームに対して行なった監査プロセスが非常に徹底的かつ地道な方法で行なわれたことが分かったのは良いことだ」
「そしてその結果、1チームが違反(予算超過)していることが分かった」
「実際に罰則が付与されたこともポジティブなことだと思う。これは最終的にはこのスポーツにとって良いことで、財務、競技、技術規定に関係なく、今後レッドゾーンに入るチームを抑制することができる」
「しかしもちろん、我々の立場からすれば、この罰則は違反にそぐわない。だから十分に厳しいとは言えない。今後、同じような違反があれば、より厳しい罰則を望んでいる」
空力試験制限の影響について訊かれたザイドルはこう答えた。
「もちろん、10%というのは開発側にとっては大きな違いだ。しかしやはり違反と比較すると、それにはそぐわないのだ」
またザイドルは、レッドブルが上限を超えた理由についてチーム代表のクリスチャン・ホーナーが行なった説明を、”おとぎ話”に興味はないとして一蹴した。
「(記者会見は)見ていないよ。子どもの頃、私はおとぎ話が好きじゃなかったのだ。だから、今回のクリスチャンの記者会見も興味なかったね!」
「FIAの調査結果が全10チームに確認され、結果として予算制限が機能することも証明された」
「9チームが上限内に収まり、私の理解する限りでは上限値に近づくことができた」
「したがって私の見解では、解釈の差異やそこで起きたことなどを責めるのは完全に間違っていると思う」

Zak Brown, CEO, McLaren Racing, Andreas Seidl, Team Principal, McLaren
Photo by: Glenn Dunbar / Motorsport Images
レッドブルの違反についてFIAに書簡を書いていたマクラーレンのザク・ブラウンCEOも、ザイドルの意見に協調している。
「真実が明らかになり、予想通りの結果になって嬉しいよ」
そうブラウンは語る。
「1チームによる予算制限違反があり、他の9チームはレギュレーションに従って運営が行なわれた」
「だから、罰則を科すのは当然のことだ。FIAが最も効果的で、かつこのようなレギュレーション違反があった場合にその処分の教訓とするためには、今後罰則をより強力なモノにする必要がある」
「我々はこのプロセスを通じて学んだ教訓が、全てのチームにおいて違反がないようにレギュレーションを明確に理解する機会になることを望んでいる」
ハースのギュンター・シュタイナー代表は、予算制限の違反チームに科された罰金や空力試験制限も、十分な効力を持たないと考えている。
「このお金は他のチームにとっては何の意味もない。FIAとしてはお金が得られて良いかもね!」
そうシュタイナーは語る。
「風洞の10%制限も、本当の罰則ではないからあまり意味がない。風洞を減らせば、そのぶん他のことができる。これほど単純なことはない」
「必要なのは金銭的な罰則を与えること……基本的には予算上限を減らすべきだ。それもドル建てでだ。その方が風洞10%(制限)よりもずっと効果的だ」
またシュタイナーは、裁定が下ったタイミングが遅かったことが問題だと指摘している。
「それは、次の問題だ。このようなことは、もっと前に終わらせておかなければならない。つまり、9月まで待つことはできず、6月には終わらせておく必要があるのだ」
そしてアルファロメオのフレデリック・バスール代表は、レッドブルに科されたペナルティを見て、上限を超過するというギャンブルを犯すチームが出る可能性を示唆している。
「私の見解では、競技的にかなり小さな罰則だ」
そうバスールは語る。
「そしてこの罰則が、将来的にチームの支出超過を助長することがないようにする必要がある。ある年に何百万ドルも使って、風洞の割り当てを10%少なくすることに意味があるかどうか、誰もが自分たちなりに計算するからね」
なおバスールは、ホーナーが超過の原因として強調していた解釈の違いについては、FIA側と解釈の溝を埋める機会があったことを明かしている。
「難しかったし、チャレンジであったという事実を過小評価する必要はないだろう。しかし、我々は質問することが許可されていた。我々は皆、合計で数千もの質問を行なったと思う」
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