メルセデス、次戦アメリカGPで”今季最後”のアップデート投入へ。2023年シーズンに向けた学習が主目的
メルセデスのアンドリュー・ショブリンは、今季マシンのアップデートは次戦アメリカGPで最後になると明かした。
写真:: Steve Etherington / Motorsport Images
メルセデスでトラックサイドエンジニアリングディレクターを務めるアンドリュー・ショブリンは、サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で行なわれる次戦アメリカGPで、今季最後のアップデートを『W13』に施すと語った。
その内容は、2023年に向けての学習に焦点を当てたモノ。空力面でのアップデートの他、開幕時は最低重量を10kg上回っていたとされるW13に軽量化アイテムも投入される予定だ。
無論、アメリカGPでのアップデートはルイス・ハミルトンとジョージ・ラッセルのパフォーマンスアップを意図しているものの、今季大いに苦しんだチームが返り咲くため、2023年用マシン『W14』の開発に重点が置かれた試験的な要素も強いという。
メルセデスが公開した動画の中で、ショブリンは次のように語っている。
「空力開発の最終ステップで、もう少しパフォーマンスが上がればいいなと思っている」
「しかし重要なのは、一歩一歩でもより多くを学び、それを来年に持ち越すことだ」
「コンポーネント自体の重量を減らすことで、マシンの最低重量に近づけることができる」
一方で、この新パッケージがもたらす潜在的な効果を予想することは難しいと彼は続ける。
「我々がどの位置につけているのかを予想するのはとても難しい。シンガポールではルイスがポールポジションにかなり接近していたが、鈴鹿では上位勢に大きな差をつけられてしまった」
「現時点で、我々のレースペースはそれなりに強い。段階を踏んでいけば、フェラーリやレッドブルとも戦えるだろう。しかし予選では、予想が本当に難しいのだ」
「ただ、先程も述べた通り、多くのことを学び、残り4戦でベストを尽くしたい」
Photo by: Steve Etherington / Motorsport Images
ショブリンは、メルセデスにとってCOTAが簡単なコースにはならないと認めているものの、サーキット側が行なったバンプの改良が、チームにとっては助けになると期待している。
「このサーキットはかなりトリッキーで、我々にとっては昨年もそうだった。とてもバンピーで、タイヤのオーバーヒートも多く、ソフトタイヤではレッドブルほど良いパフォーマンスを発揮できなかった」
「今年は路面の再舗装が行なわれたので、バンプの問題も少なくなっているはずだ。ただ今季は、イベント前にどのサーキットで苦戦するかを予想するのはかなり難しいのだ」
「我々がどこでパフォーマンスを発揮できるか、しっかりと予想することはできない。ただ金曜日に走って、どんな問題があるのかを確認し、それをセットアップで解決できるのかを見る必要があるのだ」
またショブリンは、メルセデスが日本GPでマシンに搭載したハイダウンフォース仕様のリヤウイングによって今季ハミルトンとラッセルを苦しめる直線パフォーマンス不足が悪化したのではないかという点については、疑問を呈している。ただ、W14ではその点を改善する必要があると認めている。
「我々は最大レベルのダウンフォース量で行くことを決めた。ドライ路面だとタイヤのデグラデーションが激しい鈴鹿のレースコンディションではそれが一番速いラップを刻めるということもその判断に関係しているが、日曜日に来るとされていた雨を見て、ウエットレースではこの判断が有利に働くかもしれないと考えた」
「実際にそうなったが、DRSは有効にならず、オーバーテイクがとても難しくなってしまった。よりダウンフォースの少ないセッティングの方が正しい判断だったかもしれない」
「基本的に、それが来季に向けてマシンを改善しなければならないことのひとつ。低い空気抵抗でより大きなダウンフォースを得られるようにすることだ。そしてもっと軽いウイングでレースをすることができれば、コーナリングでも戦闘力を発揮できるようになるはずだ」
なおショブリンは、日本GPの決勝レース中にウエットタイヤからインターミディエイトタイヤへの交換の際、ハミルトンとラッセルをダブルストップさせたのはチームのミスだったと認めている。ハミルトンのピットストップの後ろで待つ羽目になったラッセルはポジションを落とし、その判断に不満を漏らしていた。
「そのタイミングでの全ての選択肢を見直したが、正しい判断ではなかったという結論に達した」とショブリンは続ける。
「ジョージが要求していた通り、クリーンエアーの中でコースに戻すべきだったのだ。ただ、我々はインターミディエイトタイヤの方がずっと速いことは分かっていたし、ウエットタイヤでコース上に留まれば、タイムを失うことになると分かっていた」
「しかし問題は、ジョージとルイスが接近し過ぎていたため、タイムを失うことなくピットストップを完了することができなかったという点だ。結果、ジョージは角田(裕毅/アルファタウリ)に抜かれ、そしてランド(ノリス/マクラーレン)にもポジションを奪われそうになった」
「それによって、少しでもクリーンエアーを探して、そうしたマシンを追い抜かなくてはいけないというチャレンジを彼に強いてしまったのだ」
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