なぜメルセデスは“ブラックアロー”に回帰したのか? そこには黄金時代復活に向けた執念が「1グラムでも削るため」
2023年のニューマシンで再び黒のカラーリングを採用したメルセデスF1。その理由について、チーム代表のトト・ウルフが語った。
2月15日に2023年用ニューマシン『W14』を発表したメルセデスF1。そのカラーリングはメーカーを象徴するシルバーではなく、漆黒に塗られていた。
→【ギャラリー】王朝復権へ……再び漆黒の鎧をまとう。メルセデスF1の2023年ニューマシン『W14』がベールを脱ぐ
メルセデスは2020年、2021年にも、人種差別と戦う意思を示すためにブラックのカラーリングを採用していた。2年越しに“ブラックアロー”が復活する形となるが、どうやら当時とは状況や経緯が異なるようだ。
漆黒のW14をよく観察してみると、マシンの全てが黒く塗装されているわけではない。多くの部分が未塗装で、ボディ素材である黒色のカーボンファイバーがむき出しとなっているのだ。ノーズ上部やエンジンカバーにはマットブラックの塗装が施されているものの、特にボディ下部はほとんどカーボンブラックだ。
このような大胆な試みに出た理由に関してメルセデスのトト・ウルフ代表は、余分な重要を削る意図があったことを隠さなかった。
「我々も昨年は重量オーバーだった」
ウルフ代表はそう語る。
「1グラムでも減らすためにどこを削れるかを考えた。そして今、歴史は繰り返されることとなったのだ」
「このマシンにはカーボン地の部分と、マットブラックにペイントされた部分があることが分かるだろう」
「知っての通り、2020年にカラーリングを変更した時の主な動機は、我々が考える多様性や平等を推進するためであった。あれから黒という色は我々のDNAの一部となったので、そこに回帰できて嬉しく思う」
2022年の新レギュレーション導入以降、各チームは車両がオーバーウエイトに陥ることに悩まされており、昨年はシーズン中に塗装を剥がすチームも少なくなかった。そして今季はメルセデスもその流れに追従する形となった。
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